「勝つ」組織の設計~モチベーションを高める評価基準~

2011年3月9日 15:37

 今月から経営全般に関するコラムを執筆させて頂く高橋です。専門はSEO対策などのWEBマーケティング戦略&戦術なのですが、本コラムにおいては経営全般というテーマを論じさせて頂きます。今日は私が敬愛する経営者ジャック・ウェルチ(元GE最高経営責任者)の言葉を引用し、強い組織の設計に必要な事を論じていきたいと思います。
 
■勝っている企業は最高だ!byジャック・ウェルチ
 
 「勝つ」とはどういう事だろうか。
 競合企業に勝つ?自分自身に勝つ?あの経営者に勝つ?
 
 いずれも違うと私は考える。
 企業経営において「勝つ」とは、「目的を達成する」という事と同義だ。
 売上目標を達成する。利益目標を達成する。そして最終的には企業の掲げる企業理念を体現する事が、長期的な「勝つ」という事だろう。
 
 しかしこうした目標達成力の高い組織を作り上げるのは容易ではないのは明らかだ。新規に設立された企業の85%は5年以内に何らかの事情で閉鎖しているというのが実情で、ごく限られた企業だけが利益を高め数十年存続していく事が出来る。
 
 消えゆく企業と発展する企業。
 この違いはどこにあるのだろうか。
 
■あなたの会社の従業員のモチベーションの源泉は何か
 
 もちろん両者の違いを明確に分ける事など出来る訳が無い。
 しかし、ここではあえて従業員のモチベーションにフォーカスして発展する企業の条件を論じたい。
 
 当然だが、発展する組織の従業員はモチベーションが高い。働く事に喜びを見いだしているのだ。では人はどんな時に仕事に喜びを見いだすのだろうか。そう考えると少し答えが見えてくるように思う。
 
 思うに、人が働くモチベーションは様々だ。給料、仕事内容、企業立地など枚挙に暇がない。しかし誰もが意識的にせよ無意識にせよ一貫して重視するのは、企業が従業員に求める価値基準の一貫性ではないだろうか。
 
 ある行動をとった際、ある人からは評価されるがある人からは評価されない。そんな状況では真に求められるべき行動は何なのかがわからず、結果として仕事で発揮されるパフォーマンスは落ちしてしまう。逆に、常に一貫した基準のもとに授業員の仕事が評価される職場であれば、仕事を「どのように」進めれば良いのか「どのような」結果を目指せばいいのかが明確となり、仕事ははるかに効率化されるだろう。
 
 どんな人間も無駄な仕事はしたくはない。効率的に働きたいはずである。効率的に従業員が働ける為の一つの要素として、一貫した評価基準の存在は少なからず寄与するように私は思う。
 
■評価基準の作成には現場を巻き込もう
 
 ではどのように一貫した評価基準を浸透させれば良いのだろうか。
 
 思うに、企業毎・職種ごとに「優秀さ」の定義は異なるはずである。仮に経営者である私が明日から「WEBエンジニアになる」といっても新卒採用のWEBエンジニアの数十分の一の価値しか会社に提供出来ない。「WEBエンジニアリング」という領域における私の優秀さは0に等しいからである。
 
 この事はWEBエンジニアリングだけのみならず、全ての職種に適用して考えられる。求められる内容が違えば優秀さの定義が異なるのは当たり前だ。よって、それぞれの現場に応じた「優秀さの定義」は現場発信で作られていくべきだと私は考える。「現場」で作成された「優秀さの定義」は当然ながら「現場」で不可避に共有される。つまり「評価基準の作成」と「組織への浸透」を同時発生的に達成する事が出来るという点も魅力だろう。
 
 当たり前だが、「守られない制度」ほど無意味なものはない。守られない法律に意味がないのと同じである。だから経営者が勝手に作成し、勝手に従業員に押し付ける額縁に入ったお奇麗な名言など何の意味も持たない。
 
 あくまでも皆の腑に落ちた評価基準を策定しなくては意味がないという事だ。
 そのためには「現場の従業員が評価基準の策定プロセスに関わった」という事実が非常に重要となる。プロセスに関与する事で、その基準策定は他人事ではなくなり、「自分も関与したのだから守らなければならない」という正統性を生むのだ。そうした組織への参加意識を高めるという意味でも評価基準の作成に現場を巻き込むのは効果的な手法と言えるだろう。
 
■現場の意見と経営者の視点をすりあわせる
 
 当たり前の事だが、現場の意見だけを重視し評価基準を策定するのでは本末転倒である。現場の従業員には大局をつかむ事は出来ない。今後の会社の方向性や従業員に持っていて欲しい行動規範は経営陣にもたっぷりと発信したい内容があるだろう。だから、現場の案と経営陣の案をすりあわせなくては本当に良いモノは生まれないように思う。
 
 結局のところ、経営陣と従業員どちらか一方が我慢しなくてはならない体制では遅かれ早かれひずみが生まれ、どこかで組織が崩壊してしまう。
 
 互いに情報発信の機会を持ち、相互了解の元に評価基準を定めていくのが最もベターな方法であると私は思う。経営陣が勝手に決めた「全く守ってもらえない評価基準」と現場の新鮮な意見を取り込んだ「守ってもらえる評価基準」。
 
 勝つ組織を作る為の一つのステップとして、従業員のモチベーションや仕事効率を高める一つのソリューションとして、どちらが優れているかは明らかなのではないだろうか。

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