ファーマフーズの絶好調株価は本物か

2020年10月15日 08:10

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 前3月期まで3期間の平均増収率:48.87%、平均営業増益率:118.53%。そして今期も「52.1%、57.7%増」計画。ファーマフーズ(東証2部)である。本校作成時点の時価は1700円出入り水準。年初来高値(9月18日:1721円)圏内。

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 収益動向を見せつけられると「株価は素直に反応している」とも言えるが、IFIS目標平均株価850円や「(予想)PER61倍強」「同PBR10倍強」を勘案すると私が投資家なら「待て、待て、急いては事を仕損じる」と思いたくもなる。「株価は市場が決めるもの・・・」と承知していながら、もである。

 創業者社長の金武示乍氏は決算発表に際し冒頭で『「食」という字は人を良くすると書く。日常摂取している食品は美味しさと栄養の他に、体に良い機能を持っているのではないかと考える。当社グループはそうした認識に基づき「医薬」と「食」の融合「ファーマフーズ(Pharma Foods)」を実現するために』と、判で押したように語る。医食同源。

 事業構成は以下の3部門。

(I)機能性素材事業: 独自に機能性食品用の素材を研究・開発し、食品メーカー等に販売。主力は認知・記憶力さらには筋肉量増加に効果が期待される「ファーマギャバ○R」「ボーンペッパ○R」、そして美白機能に有効とされる「セレプロン」。前期で8億円近いセグメント利益を生み出している。

(II)バイオメディカル事業: 独自のニワトリ由来の抗体作成技術(アラジンテクノロジー)、卵黄由来の生理活性ペプチド技術による創薬事業。医薬品企業との共同研究開発契約で進められている。既に「悪性腫瘍プロジェクト」では抗.ESTL1(標的分子)抗体に関する特許で日本・米国で成立。「骨形成プロジェクト」では卵黄由来の「リブロタイト○R」が、AMED(日本医療研究開発機構)から「難治性疾患実用化研究事業」の選定を3年連続で受けている。前期は4500万円のセグメント損失。これからが同社の先行きを占う上で、ポイントの事業である。

(III)通信販売事業: 独自の機能性素材を配合したサプリメントや医薬部外品(「タマゴ基地○R」ブランド)、化粧品(ソニャンド○Rブランドなど)をECで消費者に直接販売。前期のセグメント利益21億4900万円。ファーマフーズではネット比率を一段と高めたいとしているが、「機能性素材事業のBtoB化も視野に入れている」とする見方も聞かれる。

 投資は自己判断。幸い常に手元不如意。株価動向をとくと眺めることにする。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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