『クルマは造り方を売っているII』(1) BMW先行か? AIで「マスカスタマイゼーション」

2020年6月4日 11:47

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BMWが採用したNVIDIAのIsaacSDKプラットフォームのイメージ。(NVIDIAの発表資料より)

BMWが採用したNVIDIAのIsaacSDKプラットフォームのイメージ。(NVIDIAの発表資料より)[写真拡大]

 『クルマは造り方を売っている』と言えば疑問に感じる人が多くいる。やはり「人気車種」が問題であり、「売れ筋商品」を追い求める風潮が大多数だからだ。現在、セダンよりもSUVに人気があるが、プラットフォームがセダンとSUVが共通であることを知っているだろうか?そのおかげがあって、ユーザーは手ごろな値段で高品質のクルマが手に入る幸福を感じているだろうか?

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■ネット社会の産業革命(AIで「マスカスタマイゼーション」)

 ネット社会が広がることで、クルマもネットで注文し、しかもオプションによって「自分だけの1台」を造り上げることが出来るシステムとなってくる。その広がりはすでに世界中であり、顧客からの注文をネットで受けて、その顧客の注文に応え、世界中の生産拠点で生産し、届けることが出来るシステムだ。これを実現するためにAIを利用しないことは考えられないし、すでに急速に進んでいる。

 この機能を実現するには、第1に、自動車メーカーは『混流生産』が出来ていなければ話にならない。1台ずつ違ったオプションであるため、資材調達、部品調達、組み立てを「短期間にメーカーが在庫を抱え込むことがない」よう、1台ずつ生産出来なければならない。

 さらに、オプションによって全く違う仕様となっている1台1台が連続して注文が入ってくることを想定して、「注文順に生産」出来る『順序生産』になっていないと、納期が遅れ、生産が混乱し、在庫を抱え、コスト上昇で商売が成り立たなくなる。

 また、世界中の顧客に都合の良い場所で生産出来なければならないため、世界の生産拠点のどこであっても、その製品が「同じ品質で生産」出来なければならず、『スイング生産』を前提としていなければ成り立たない。注文を受け、遠くの生産拠点で資材集めから始め、完成したら船便で送るなどでは、現実的ではなくなる。ユーザーの近くで、短納期で完成、納品できなければならない。

 こうしたシステムを目指し、製造業では生産技術開発がしのぎを削っているのだが、現在のところ、ドイツメーカーが国のバックアップを受けて熱心であり、ネット注文で可能となる「マスカスタマイゼーション」がAIを使って実現されようとしている。

 日本企業ではトヨタが先頭であり、歴史的にみても、これらに応えられる「トヨタかんばん方式」で先行している。現在のところのTNGAである。業種は違うが、日本企業としては建設車両の「コマツ」が先頭を行く。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: 『クルマは造り方を売っているII』(2) トヨタ・スバル・マツダのグローバルプラットフォーム

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