地味だが着実経営が進む、エバラの強みとこれから

2020年4月9日 06:55

印刷

 エバラ食品工業(エバラ)は「黄金の味」で知られる、焼き肉のたれで首位。1958年に、業務用で立ち上がった(前19年3月期では総売上高比率18%強)。

【こちらも】北の達人コーポは何故、起業の地を北海道に求めたのか

 宮崎遵社長は、創業期から大事にしている思いをこう語っている。『おいしいものを、さらにおいしくする調味料。あったらいいなという調味料を食卓に届けたい』。あったらいいな・・・はどこかで耳にしたフレーズである。

 エバラの強みは、圧倒的なシェアに求められる。前期実績に顕著。「焼き肉のたれ市場:46.8%」「すき焼きのたれ市場:63.0%」「浅漬けの素市場:48.9%」といった具合。そうした現状を築き上げてきた主力商品は・・・

★肉まわり調味料(前3月期総売上高比率29.7%): 焼き肉のたれ(68年)、黄金の味(78年)。

★鍋物調味料(22.1%): すき焼きのたれ、キムチ鍋の素、プチッと鍋(2013年、1人分の鍋つゆをポーション/プラスチック容器に詰めた)。

★野菜まわり調味料(6%): 浅漬けの素(91年)。

★ポーション調味料: プチッとうどん、横濱鄭舶来亭カレーフレーク。

 そんなエバラは20年3月期から24年3月期の5カ年の中期経営計画を進めている。『基本戦略』とし(I)コア事業による収益強化と戦略事業の基盤確立、(II)“エバラらしく&面白い”ブランドへの成長が掲げられている。そして『連結数値目標』とし「営業利益28億円、海外売上高20億円、ROE6%」を謳っている。詳細はホームページでご確認いただくとして、宮崎社長はこう噛み砕いている。

 「基本戦略は、お客様のニーズに合わせた豊富な商品ラインアップで実現していく。黄金の味も17年のリニューアル以前は201g・400g・590gの3つのラインアップだけでしたが、いまは201g・360g・480g・590gとお客様のライフスタイルに合わせたものに充実させている。

 また値ごろ感を重視するお客様には西日本エリアを中心に普段の使い勝手に適した“極旨焼き肉のたれ”を、九州エリアでは“バリ旨焼き肉のたれ”を展開している。ポーション調味料にも一段と注力していく。

 例えば“プチッと鍋”では鍋以外のメニューにも使える汎用性を訴求し、年間定番化を図っている。また今後の成長の源泉と捉えているのが海外事業。業務用商品が主体だが、東南アジアを深く・広く・速く攻める。と同時にハラル(イスラム法上で許されている食べ物・食材)対応が必須と考えている。そうした視点からマレーシア・シンガポールを軸に展開をする」

 ちなみに営業利益28億円は前期比17%増。着実な社風を示した目標といえる。過去3年半余エバラの株を保有していると株価の上昇率は13%弱。小幅ながら連続増配が続いている。やはり着実。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事