三越恵比寿店、2021年2月末で閉店 収支改善のめど立たず

2020年4月1日 07:58

印刷

三越恵比寿店 (c) 123rf

三越恵比寿店 (c) 123rf[写真拡大]

 三越伊勢丹ホールディングスは、東京都渋谷区恵比寿の複合施設・恵比寿ガーデンプレイスにある「三越恵比寿店」を、2021年2月末で閉店することを決めた。恵比寿ガーデンプレイスの核店舗となってきたが、周辺の店舗やインターネット通販との競合で赤字が続き、収支改善のめどが立たなかった。

【こちらも】伊勢丹相模原店跡地を野村不動産が取得へ、複合商業ビルの開発を検討

 三越恵比寿店は1994年、サッポロビールの工場跡地を再開発した恵比寿ガーデンプレイスの核店舗として開業した。売り場面積は約1万8,000平方メートル。三越日本橋店の分店と位置づけ、周辺で増加したマンション住民に向けた化粧品や高級食材の販売に力を入れてきた。

 しかし、周辺店舗などとの競争で苦戦を続け、赤字に陥っている。渋谷地区で商業施設の再開発が相次ぎ、さらに競争が厳しくなりそうなこともあり、2017年から2019年にかけて段階的に売り場を改装したものの、目に見えた効果が上がらず、収支改善が困難と判断したもようだ。従業員は他の店舗に振り分けて雇用を継続する。

 百貨店業界は、若者の百貨店離れやインターネット通販の台頭で厳しい時代を迎えているところへ、新型コロナウイルスの感染拡大で頼みの綱だった訪日外国人の顧客が壊滅して深刻なダメージを受けている。三越伊勢丹ホールディングスは三越銀座店など東京都心の3店舗に経営資源を集中させ、この苦境を乗り切りたい意向とみられる。

 新型コロナの大流行は当分の間、収束すると思えず、経営環境はますます厳しさを増しそうな状況。三越伊勢丹ホールディングスは東京都府中市の伊勢丹府中店、相模原市の伊勢丹相模原店、新潟市の新潟三越を閉店しているが、百貨店業界全体で不採算店や地方・郊外店の閉鎖が相次ぐ可能性が強まっている。(記事:高田泰・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事