「好き」を核にした学習が、世界で勝負できる人材を生む【ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け】

2019年8月2日 11:58

印刷

記事提供元:biblion

 【第1回】本連載は、ロボットプログラミング教室「ロボ団」を運営している重見彰則さんによる書籍『ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け』から、課題発見力と創造力、そして課題を解決するソリューションを生み出す力を培うロボ団のメソッドをお伝えします。

「好き」を核にした学習が、世界で勝負できる人材を生む【ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け】

 本連載は、書籍『ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け』(重見彰則著、2019年6月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

ロボットプログラミング教室「ロボ団」とは

ロボットプログラミング教室「ロボ団」とは小学生を中心としたロボット制作とプログラミング教室です。日本全国50教室以上、海外でも展開中!体験会・ご見学は随時受付中!

教育機関は30年前から変わっていない

 「習い事をさせるのはなんのためですか?」

 私は、保護者の方をお招きした説明会で必ずこの質問を投げかけます。
 そうすると、保護者の方はピアノや水泳、野球、習字など30年前のご自身の習い事を思い出します。実は、それらの習い事は今でも人気上位の習い事です。

 では、少し視点を変えて、社会に目を移してみましょう。そこにあるものは30年前と同じでしょうか?
 30年前はスマートフォンどころか携帯電話も普及していませんでした。もちろん、インターネットやSNSもまだほとんど使われていません。社会は大きく変化していきました。

 しかし、習い事も学校も、30年前からほとんど変わっていないのです。習い事や学校などの教育機関と社会のギャップは、どんどん広がっています。果たして、それで大丈夫なのでしょうか?ロボ団は、「好きを学びに、社会とつながる」をミッションとして、「ロボットを動かしたい」という子どもの意欲をプログラミングへの関心につなげています。
 独自のカリキュラムと専用アプリで、プログラミングやプレゼンテーションを実践し、STEM教育(Science科学・Technology技術・Engineering工学・Mathematics数学)の基礎を学びます。その中で、論理的思考力や問題解決力・協調性・やり切る力などを身につけていくことができるのがロボ団の教室です。

 プログラミングは、今の社会のあらゆるものの基盤となっています。
 しかし、日本においては、プログラムされたものを使う側にはなっていても、仕組みを知らない人が圧倒的多数。そうした社会の中で、〝生み出せる側〟にまわることができれば、子どもの選択肢は確実に広がります。つまり、プログラミングについての学びは有効なキャリアパスだといえるのです。

好きなことは夢中になって頑張れる

 正直に告白します。私は学生時代、勉強が好きではありませんでした。「やらされている」という感覚がとにかく性格的に合いませんでした。これは、私だけではなく多くの子どもたちの傾向かもしれません。「やりなさい」といわれると、とにかくやりたくないのです。

 一方で、「やめなさい」といわれるゲームは何十時間でも没頭できる。他にも、習い事としてやっていた水泳は、没頭して練習をしていました。これも、別段誰かにやらされたわけではありません。ただ、水泳が好きで、楽しくて楽しくて仕方なかったのです。

 私が、こうした経験から思ったことは、「やらされていることは頑張れない」、「好きなことは、自ら頑張る」ということです。
 子どもを見ていても、同じことがいえませんか?
 サッカーが好きな子は、ずっとボールを追いかけている。絵を描くことが好きな子は、ずっと時間を忘れて絵を描いている。
 私自身、小学生から塾に通っていましたが、夢中になっていた水泳と比較して、集中して勉強に打ち込むことはできませんでした。そのため、残念ながら思うような学習成果はあげることができませんでした。
 こうした自分の経験が、教育事業をスタートする際の基盤になっています。
 「好き」を活用して、「好き」を原動力に、子どもたちの力を伸ばす。今の、ロボ団の在り方は自身の原体験に裏打ちされたものなのです。
Photo credit: Got Credit on Visual Hunt / CC BY (5324)

 via Photo credit: Got Credit on Visual Hunt / CC BY

ロボットプログラミングで、算数が得意になる!

 ロボ団の「好き」を核にしたロボットプログラミング学習が、算数や理科などの教科の伸びにつながっていることをあらわすデータがあります。
 一般的に、日本の算数・数学や理科の勉強が楽しいと思う生徒の割合は先進諸国と比較すると最低レベルだといわれています。さらに、学年が上がるにつれて算数・数学、理科などの理系科目が嫌いになる傾向はどんどん強まっていくのです。その結果、日本では6割から7割の生徒が文系だといわれています。

 ロボ団でのロボットプログラミングの活動は、子どもたちが算数・理科の楽しさを知る良い機会になるのだということが最近のアンケート調査でわかってきました。ロボ団に通う子どもたちへ算数の好き嫌いを尋ねたところ、一般の子どもたちよりもロボ団に通う子どもたちの方が1・5倍も「算数好き」の割合が高かったのです。
 
 ロボ団では、子どもの興味関心の高いレゴのロボットを教材にすることで、プログラミングを通じて科学・技術・工学・数学などに強い子どもたちを育てていきます。
―好きを学びに、社会とつながる―全国で100教室を...
via www.amazon.co.jp

ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け


¥800
―好きを学びに、社会とつながる―
 全国で100教室を超えるロボットプログラミング教室「ロボ団」のビジョン、教育メソッド、その仕組みを知ることができる1冊です。
販売サイトへ

「好き」を社会につなげる体験を散りばめる

 ロボ団は、子どもの「好き」を伸ばす環境を設け、「好き」を学びにつなげ、学んだことを社会につなげる役割を果たしたいと思っています。子どもたちは、社会に向けて自分たちの積み重ねてきた学びを披露したり試したりすることで、一層「好き」という気持ちを高め、学習に対しても前向きになります。

 ロボ団では現在、企業やJAXA(宇宙航空研究開発機構)、大学などとタイアップして、子どもたちが得たプログラミングの知識・技能を活かせる機会を設けています。
 海外に目を転じると、子どもたちが社会で自身の力を試す機会が日本よりも多く設けられています。社会で自分たちの力がどう活きるのかを知ることができた子どもたちは、ボランティアとして活動を続けたり、技能を活かして起業したり、社会貢献できる方法を考えたりします。社会でこれまで学んだことを活かす体験は、子どもたちに自信を与え、主体的に生きる力へと結びついていくものなのです。

 従来の学校教育では、暗記に重きを置き、偏差値で評価をしてきました。一方で、ロボ団では「自発・創発・実学」を教育の軸としています。こうした教育により、社会適応力を育み、子どもたちの未来に新たな選択肢を用意することができるのです。

 (次回に続く)

書籍著者:重見 彰則さん

書籍著者:重見 彰則さん夢見る株式会社代表取締役。1985年兵庫県生まれ。関西大学総合情報学部に入学。卒業後は経営コンサルティング会社で中小企業を支援する業務に従事する。“人”の重要性を痛感し、教育分野での起業を決意し、2012年に夢見る株式会社を設立。「ロボ団」をFC事業で国内外100教室以上を展開。 元のページを表示 ≫

関連する記事

タケコプターはどうやって充電しているのか?【スマホでサンマが焼ける日】
大前研一「教育を変えると、世の中が5年で変わる。21世紀の義務教育と大学の役割」
大前研一「日本企業が世代交代で失速する理由」
大前研一「講義型から対話型へ。世界で活躍する人材を育てる『考える教育』」
大前研一「アジアで根強い詰め込み型『教える教育』」

※この記事はbiblionから提供を受けて配信しています。

関連記事