シキボウ、中国の子会社を解散 東南アジアへシフト

2019年2月21日 15:44

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 シキボウ【3109】は20日、同社が中国に置く連結子会社を解散すると発表した。解散するのは、「上海敷紡服飾有限公司」で、1995年に中国上海市で設立された。同社はこの解散に伴う費用は約1億3,000万円と見込んでおり、2019年3月期の連結決算で特別損失として計上する予定だ。なお2019年3月期の業績予想は他の要因も含めて精査中として正式な発表は先送りされた。

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 シキボウは大阪市中央区に本社を置く繊維製造販売企業。創業は1892年で、現在は繊維だけでなく化学工業品や産業資材、そして不動産開発事業を合わせて行っている。

 同社は中国の経済成長に合わせて、1995年、上海に100%出資の連結子会社を設立し、繊維製品の縫製を行い日本向けに輸出していた。しかし近年は日本国内百貨店のカジュアル販売が不振のため受注が減少しており、中国国内でも、人件費をはじめとしたコスト上昇が進み業績の悪化が進んでいた。同社はこの状況に対して業績回復のめどが立たないと判断し、解散することを決定。2019年2月20日をもって解散し、今後は中国の法令に従って、解散ならびに清算の手続きを行う予定としている。

 シキボウは現在、2018年3月期から2020年3月期にかけての中期経営計画を進行中である。これによると、既に中国での繊維事業は高コスト化と赤字化で問題となっており、黒字化に向けての選択と集中が課題となっていた中、差別化製品を製造できるベトナムの協力縫製会社への生産移管を進めていた。今回の決定も、この中期経営計画に準じたものであると言える。

 アパレル業界は長年にわたり、中国市場での経済成長から恩恵を受けてきたが、今後は、経済成長の主戦場が東南アジア、そして西アジアへと移行しつつあると言われており、各社もその対応を迫られそうだ。(記事:福井廉太・記事一覧を見る

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