多段エッジコンピューティングを組み合わせたローカル5Gの実証実験を開始

プレスリリース発表元企業:NTTコミュニケーションズ株式会社

配信日時: 2019-10-16 13:00:00

検証のイメージ

今後の展開

Smart Data Platformロゴ

NTTコミュニケーションズ(以下 NTT Com)は、多段構成のエッジコンピューティングを組み合わせたローカル5Gの実証実験(以下 本実験)環境を構築し、2020年2月より検証を開始します。
エッジコンピューティングとは、端末から近い位置のサーバーでデータの処理を行うことにより遅延の抑制や可用性の向上などのメリットを得る技術です。NTT Comは、端末からの距離が異なる複数のエッジサーバーを多段で構成し、ニーズに応じて最適な位置におけるデータ処理を可能にする多段エッジコンピューティングの技術開発を進めています。
本実験では、この技術をローカル5Gと組み合わせることにより、トラフィック制御やセキュリティなどの機能を加えた高付加価値な無線ネットワークを構築し、技術的な検証や、ビジネスへの活用に必要な仕様の検討などを進めていきます。

また、NTT Comは、ローカル5Gの有効な活用が見込まれる産業オートメーション分野について、同分野における規格の標準化を進める「OPCファウンデーション」(※1)への参画を2019年内に予定しています。標準規格に対応した技術開発を行うことで、産業オートメーション分野をはじめとしたデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に貢献していきます。

1.背景
ローカル5Gは、超高速、超低遅延で多数同時接続が可能な5Gを、局所的な範囲で利用する形態の無線ネットワークで、企業や自治体が、自らのサービス提供や業務遂行のために構築することが可能です。
総務省が制度整備を進めており(※2)、年内にも、ローカル5G無線局免許の申請受付が開始される予定です。免許を取得した企業や自治体は、所有する工場やビルなどの建物内や敷地内において、割り当てられた周波数を専有して通信することができるようになり、かつ未登録の機器が接続できないネットワークを構築できることから、セキュアな無線通信環境を利用できるようになります。
NTT Comは、ビジネスにおけるローカル5Gの普及を見据え、従来培ってきたネットワークやクラウドの技術を活かした高付加価値なサービスの提供に向けて、本実験を開始します。

2. 多段エッジコンピューティングのメリット
エッジコンピューティングとローカル5Gは、遅延の低さや可用性の高さなどの共通する特長を備えており、組み合わせることによって大きなメリットが得られます。
NTT Comは昨年より、ネットワーク上でトラフィックが集中する箇所(ネットワークエッジ(※3)、CPE(※4)など)に多段でコンピュートリソースを配置し、通信内容に応じた適切な位置で、トラフィック制御やセキュリティなどの機能を提供するプラットフォーム「VxF基盤」(※5)を開発してきました。本実験では、このプラットフォームをローカル5Gのモバイル環境における多段エッジコンピューティングに応用します。
エッジコンピューティングでは、エッジの位置によって得られる効果が異なります。ネットワークエッジで利用する場合は、複数拠点からのデータ収集が可能になると同時に、通信量および通信コストの削減やデータ漏洩リスクの軽減が見込まれます。また、CPEで利用する場合は、遅延の極小化とネットワーク障害の影響を受けないことによる可用性の確保などの効果が期待できます。こうした目的に応じてエッジの位置を選択したり、組み合わせたりすることが、多段エッジコンピューティングにより実現できます。

3. 本実験の内容
ラグビートップリーグに所属するNTT Com「シャイニングアークス」のホームグラウンドである「アークス浦安パーク」(千葉県浦安市)に実験環境を構築し、2020年2月から検証を開始します。
検証では、ローカル5Gで用いる電波の伝搬・通信特性や、システムの機能検証を行います。また、スポーツ分野や「Smart Factory」(※6)における利用など、さまざまな活用事例を想定しながら、「VxF基盤」の機能拡充に求められる要件を抽出していきます。
さらに2020年度以降は、NTT Comが提供する「Smart Data Platform」(※7)や「Flexible InterConnect」(※8)と組み合わせた実証実験を複数拠点で実施する予定です。
なお本実験環境は、ローカル5Gと多段エッジコンピューティングのショーケースとしての利用や、他の企業と連携したオープンイノベーションの場としての活用も行っていきます。
<検証のイメージ>
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/196262/img_196262_1.png

4. 「OPCファウンデーション」への参画について
「OPCファウンデーション」は、産業オートメーション分野などの業界において、安全で信頼性あるデータ交換を行うこと目的とした相互運用の標準規格「OPC UA」の開発と維持を行っています。NTT Comは、「Smart Factory」分野において「OPC UA」を活用していくため、2019年内に同団体に参画する予定です。
前述の実証実験と、「OPC UA」をローカル5G上で活用するための検証を並行して進め、さまざまな産業機器を安全に無線接続できる規格の実現を目指します。

5. 今後の展開
本実験で主に想定するスポーツやものづくり(Smart Factory)のほかにも、映像配信や流通などさまざまな分野で、多段エッジコンピューティングとローカル5Gの新しい活用方法を提案していきます。
また、NTTグループをはじめとした5Gおよびローカル5G関連の事業者と連携し、社会における5Gの普及拡大に向けて取り組んでいきます。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/196262/img_196262_2.png

(参考) エッジコンピューティングのメリット
エッジコンピューティングが整備された環境において、センサーなどの端末は、インターネットを介して接続するデータセンターのサーバー(クラウド)などではなく、より端末に近い場所(エッジ側)にあるサーバーと通信を行います。
これにより、例えば以下のようなメリットが期待できます。
・クラウドよりも近い場所と通信を行うため、遅延を抑えられる。
・災害などにより、クラウドやインターネットで障害が発生しても、自律的に機能を提供可能となりシステム停止のリスクを軽減することができます。
・エッジ側でデータの選別や加工などの1次処理を行う場合、クラウドとの通信量を削減することができる。またその結果、多数のセンサーによる大量のデータ収集や、端末とのデータ通信量が多い用途にも活用しやすくなります。また、エッジがデータをキャッシュとして保持したり、エッジで各処理を代替したりすることにより、クラウドとの通信量を削減できます。
このためエッジコンピューティングは、ARやVR、またそれらを利用したネットワークゲームのような大容量で低遅延を求められるコンテンツに活用できるほか、高い可用性が求められる工場向けIoT、コネクテッドカーのような事業領域にも適しています。


※1: 「OPC」は、産業オートメーション分野やその他業界における、安全で信頼性あるデータ交換を目的とした相互運用を行うための標準規格です。「OPCファウンデーション」によって、仕様の開発が行われています。
※2: 関連する省令案やガイドライン案が公開されています。
(参考)「電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に係る意見募集 -ローカル5G等導入のための制度整備-」(総務省による報道発表資料)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000396.html
※3: ネットワークエッジとは、建物や敷地などのお客さま拠点から、ネットワーク経由でクラウドなどに接続するポイントで、トラフィックを集約して処理するために設置される機器のことです。
※4: CPE(Customer Premises Equipment)とは、主に建物内や敷地内などのお客さま拠点内において、トラフィックを集約して処理するために設置される機器のことです。
※5:「VxF基盤」とは、トラフィック制御やセキュリティなどの高付加価値機能を、迅速に展開、組み合わせて提供するためのプラットフォームです。
※6: デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて社会的課題を解決する「Smart World」のコンセプトにもとづき、製造業など、工場を有するお客さまのDXを推進する取り組み。
※7: NTT Comが提供する、データ利活用に必要なすべての機能をワンストップで利用可能なプラットフォームです。詳しくは、下記Webサイトをご参照ください。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/196262/img_196262_3.png
https://www.ntt.com/business/sdpf/
※8: お客さま拠点と、お客さまが利用されるさまざまなクラウドサービス、データセンターなどをオンデマンドでセキュアに接続可能な次世代インターコネクトサービスです。





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