たばこと塩の博物館、コレクション形成史と共に逸品を約100点の資料で紹介/2019年3月23日~5月12日 実業と美術 ーたば塩コレクションの軌跡ー

プレスリリース発表元企業:たばこと塩の博物館

配信日時: 2019-03-22 10:30:00

縁台美人喫煙図 山崎龍女画

佐々木謙一郎

大日本煙草史料図録

たばこと塩の博物館では、2019年3月23日(土)から5月12日(日)まで、同館のコレクションがたどってきた軌跡を約100点の資料とともにめぐる「実業と美術 ーたば塩コレクションの軌跡ー」展を開催します。


■「実業と美術 ーたば塩コレクションの軌跡ー」展について
たばこと塩の博物館に収蔵されている資料の収集は、日本の喫煙が紙巻たばこへと大きく変化した、昭和初期に始まりました。この時代は、急速な産業構造の変化、震災や戦争、そして好・不況の波といった様々な要因から、多数の美術品が日本から流出・散逸した時期でもありました。こうした中で、同館の資料は、きせる喫煙の文化を後世に伝えるために収集され始めました。その後、収集活動に関わった美術界の目利きたちや多くの人々の努力によってコレクションは充実していき、火災や戦争などの危機なども乗り越えて今日まで伝えられました。
この展覧会では、たばこと塩の博物館のコレクションがたどってきた軌跡を「資料収集事始め」「昭和初期という時代」「収集品の活用」「たば塩コレクションの特徴」の4つのコーナーで構成し、激動する近代日本の世相やたばこ史、美術・工芸史といった背景を絡めながら、同館のコレクション形成史と逸品を約100点の資料でご紹介します。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/179783/LL_img_179783_1.jpg
縁台美人喫煙図 山崎龍女画


■開催概要
名称 : 「実業と美術 ーたば塩コレクションの軌跡ー」
(ヨミ:ジツギョウトビジュツ タバシオコレクションノキセキ)
会期 : 2019年3月23日(土)~5月12日(日)
主催 : たばこと塩の博物館
会場 : たばこと塩の博物館 2階特別展示室
所在地 : 東京都墨田区横川 1-16-3(とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分)
電話 : 03-3622-8801
FAX : 03-3622-8807
URL : https://www.jti.co.jp/Culture/museum/
入館料 : 大人・大学生:100円(50円)/満65歳以上の方(要証明書):50円(20円)
小・中・高校生:50円(20円)※( )内は20名以上の団体料金
開館時間:午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
休館日 :月曜日(ただし、4/29、5/6は開館)、4/30(火)、5/7(火)


■展示の構成と作品紹介
<資料収集事始め>
同館コレクションの中核をなす、伝統的な日本の喫煙具「きせる」「たばこ盆」「たばこ入れ」や江戸時代の喫煙風俗を描いた絵画・浮世絵・版本類の収集は、昭和7年(1932)から本格的に始まりました。この事業を始めたのは、当時大蔵省専売局長官であった佐々木謙一郎でした。このころ、たばこの需要は、刻みたばこから紙巻たばこへと変化、日本人の喫煙が大きく変わった時期でした。移り変わる喫煙風俗を資料として残すため、喫煙具や浮世絵などの収集を事業として行うことにし、調査・収集には、佐々木の友人で浮世絵収集家であった古堀栄(ふるぼりさかえ)があたりました。このコーナーでは、現在同館が所蔵する資料の収集の始まりと、それを支えた佐々木と古堀の人物像などについて、文献やはがきで紹介します。

Photo.02 佐々木謙一郎
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Photo.03 大日本煙草史料図録
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佐々木が企画した収集事業の成果として刊行された図録。第一部に喫煙具、第二部に浮世絵・絵画等を掲載。当時美術出版に用いられたコロタイプ印刷を中心としつつも、浮世絵図版には木版印刷が用いられている。

<昭和初期という時代>
佐々木謙一郎の専売局での仕事は、関東大震災で被災した工場などの復興事業から始まりました。大正12年(1923)にはたばこと塩の専売制度の見直し責任者になり、戦後に引き継がれる専売事業の基礎を作りました。昭和7年(1932)から9年(1934)までは専売局長を務め、本格的な資料収集がスタートしました。佐々木が専売事業に関わった大正末から昭和初期は、震災、金融恐慌、昭和恐慌と、何度も不況に襲われた時期でもありました。不況により没落した旧大名家や財閥の一部は、金策として持っている美術品や工芸品を大量に市場に放出し、それらは海外へも流出しました。この時期は、日本美術が海外に流出した一方で、在野の研究者や収集家による日本文化の再評価がはかられた時期でもありました。
このコーナーでは、佐々木による専売制度の改正を示す資料とともに、旧家から市場に出た美術品、そして日本文化の再評価を担った研究者や収集家たちの動きを様々な資料で紹介します。

Photo.04 静和園(紀州徳川侯爵家別邸)蔵品展覧入札下見会の様子
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Photo.05 梨子地草花蒔絵提げたばこ盆(紀州徳川家旧蔵)
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このたばこ盆は、『静和園第二回蔵品展覧目録』に掲載されている

<収集品の活用>
専売法の施行以来続いていた元売捌制度によるたばこ販売は、昭和6年(1931)、専売局が小売店に直接卸す形へと変わりました。専売局はたばこの売り上げ増進の一環として、たばこ展覧会を開催しました。専売局の事業紹介、製品のアピールのほか、専売局の収集品、さらには地元の名士などが所蔵するたばこ関係資料(美術品)が出品され、展示品の珍しさもあって連日盛況でした。また、出品された資料のうちいくつかは、展覧会終了後に専売局が購入したり譲り受けたりして、コレクションは充実していきました。このコーナーでは、たばこ展覧会の様子やたばこ展覧会に出品された資料を紹介します。

Photo.06 たばこ展覧会会場の様子
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Photo.07 色子の図 宮川一笑画
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京都で開催されたたばこ展覧会後に専売局が購入した

<たば塩コレクションの特徴>
資料収集は、佐々木の専売局長官在任時に始まりましたが、たばこ展覧会の際にも収集が行われるなど、その後も継続され、コレクションは成長していきました。元々の資料収集の意図は「江戸時代以来の日本のたばこ文化のあり方を探る上で重要なものを集める」ことにありました。そのため、喫煙風俗を描いた肉筆絵画や浮世絵は、絵師や時代に偏りなく収集され、きせる喫煙に関わる喫煙具も実用的なものに加え、近世から近代の装身具・美術工芸として注目すべき作品が多数収集されるといった特徴を持つコレクションとなりました。このコーナーでは、同館のコレクションの中から特徴的なものや逸品の数々を紹介します。

Photo.08 男女遊楽図屏風
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Photo.09 松本幸四郎の肴屋五郎兵衛 東洲斎写楽画
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Photo.10 見立六歌仙 喜多川藤麿画
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Photo.11 汐汲みの図 月岡雪斎画
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Photo.12 黒漆塗り近江八景蒔絵たばこ盆
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Photo.13 形も素材もさまざまなきせる
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Photo.14 美人遊猫図 田中至信画
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■展示関連イベント
【展示関連講演会】
定員:90名 当日整理券制
会場:3階視聴覚ホール

<2019年4月13日(土)>
「専売事業とたばこ史研究」
講師:半田昌之(公益財団法人日本博物館協会専務理事・元たばこと塩の博物館学芸部長)

<2019年4月14日(日)>
「実業家が支えた浮世絵研究 ー平木コレクションー」
講師:森山悦乃(公益財団法人平木浮世絵財団主任学芸員)

<2019年4月21日(日)>
「実業美術館を応援する」
講師:山下裕二(明治学院大学教授)

<2019年4月27日(土)>
「コレクションとわずがたり」
講師:岩崎均史(静岡市東海道広重美術館館長・元たばこと塩の博物館主席学芸員)

【展示解説】
定員:40名 当日整理券制
会場:1階ワークショップルーム
2019年3月24日(日)、5月3日(金・祝)
*担当学芸員が展示の見どころを解説します。

※展示関連イベントはいずれも午後2時から開催。
※参加には入館料が必要です。
※当日開館時より整理券を1名につき2枚まで配布します(配布時に人数分の入館料をいただきます)。


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