3月9日は「雑穀の日」!雑穀の王者 知られざる「大麦」のパワー

プレスリリース発表元企業:ブルーカレント・ジャパン株式会社

配信日時: 2016-03-08 16:00:00

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来る、3月9日は「雑穀の日」。“おいしさと共に、高い栄養価や機能性、作物資源としての重要性など、雑穀のすばらしさを伝えていく記念日“として日本雑穀協会が定めました。近年、ダイエットを目的に炭水化物を抜いて糖質制限をするなど、主食に穀物を採らないという人が増えていますが、こうした穀物離れが現代人の食物繊維摂取量の減少につながっているという見方もあり、医療業界では穀物からの食物繊維摂取が重要であるとする意見も挙げられています。現在では“穀物繊維”という言葉も生みだされているように、穀物の摂取を見直す動きが年々高まっています。
 雑穀の日を前に、穀物の種類と機能、そして中でも特に注目すべき「大麦」のパワーについてご紹介いたします。

■雑穀の種類と食物繊維量
 穀物というと、白米、玄米、小麦などが日本人には馴染みのあるものですが、近年のグラノーラやオートミールなど欧米で食べられている食品の導入により、摂取する穀物の種類は多様化してきました。しかし、主食に大麦を摂っていた頃に比べると穀物以外からの食物繊維摂取はさほど減少していないのに対し、穀物からの食物繊維摂取量が年々減少しています。近年危惧されている日本人の食物繊維摂取量の減少を回避するには実は穀物に食物繊維を多量に含むものを選ぶのが非常に効果的。たとえば大麦は白米の10~20倍の食物繊維を含むといわれ「1日1食主食を麦ご飯に変えるだけで、日本人が1日に摂取すべき食物繊維摂取量である男性20mg/日、女性18mg/日を軽く上回ることができる」(東京慈恵医科大学付属病院 栄養部課長 濱裕宣先生)といわれます。
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■雑穀の種類と特徴
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■医療関係者も注目! 「最も理想の主食は大麦」
 近年、健康志向の高まりによって食生活の改善や、スーパーフードと呼ばれるような栄養・健康成分を豊富に含んだ食品が世界的に注目されています。日本でも2015年4月から消費者庁による「機能性表示食品制度」が開始され、現在217件(2016年2月15日時点)の健康増進機能を持つ製品が届出を受理されており、大麦においても既に複数の “大麦β-グルカン”を機能性関与成分とした製品が届出を受理されています。
 その中で、いま、かつて多くの日本人が主食としていた「大麦」に改めて医療関係者の期待が集まっており、院内食として用いる病院もあります。その効果は、現代人に不足している食物繊維不足の改善のみならず、糖質の吸収抑制、血中コレステロールの正常化、満腹感の持続作用などにまで及び、偏りがちな現代日本人の食生活に今こそ日常的に取り入れるべき食材として医療関係者の注目を集めています。

■「世界最古」の穀物の1つ、大麦
 現代では白米やパンが主食の中心であるため、なかなか大麦を口にする機会が少なくなっていますが、日本人は昔、大麦をよく摂っていました。その歴史を遡ると、B.C.6000年ごろのメソポタミア文明発祥地、チグリス・ユーフラテス川流域で大麦が栽培され始め、それが弥生時代に中国から日本に伝わったといわれています。その後、奈良時代に日本各地で栽培されるようになって以来、長く日本人の生活に寄り添った食物となりました。麦ご飯として食べる習慣は江戸時代からといわれており、江戸時代の天下人として知られる徳川家康は好んで麦ごはんを食べていたそうです。「脚気(かっけ)」が流行した明治時代には、海軍軍医であった高木兼寛(たかき・かねひろ)が海軍兵の食事に麦ごはんを取り入れ、長い航海中も、脚気患者を一人も出さなかったことをきっかけに、大麦の栄養価の高さが信頼されるようになりました。その後の研究で、脚気の原因は糖質代謝に不可欠なビタミンB1の不足であったとわかり、ビタミンB群を豊富に含む大麦が脚気予防に直結したということが判明しました。
 このように大麦の機能性が実証されていたものの、1970年代以降、食の欧米化が進むにつれて大麦の摂取量は激減。戦後すぐの統計では年間100万トンだった消費量が、今では年間2万トンにまで減っています。
 また、それと連動するかのように大腸がんによる死亡率や糖尿病受療率などが上昇しており、これらの現代病の原因として大麦にも多く含まれる食物繊維の不足が大きく関与すると考えられるようになりました。
 大麦には、“大麦β-グルカン”という食物繊維が豊富に含まれています。この”大麦β-グルカン”の効能についての研究が進められ、糖質の吸収抑制効果があることや腸内の善玉菌のエサになることなどもわかりました。

■食物繊維“大麦β-グルカン”とは
“大麦β-グルカン”は食物繊維の1種で、大麦の可食部である種子の胚乳と呼ばれる細胞に分布している多糖類。穀物の中でも大麦は最も多くβ-グルカンを含有していることが知られています。大麦、オーツ麦、小麦を比較した右図の青い部分が“β-グルカン”を含む部分。大麦は他の2つと比べて胚乳部に“大麦β-グルカン”がギッシリと詰まっていることからも含有量の多さが伺えます。
 また、精麦されても栄養価がほとんど損なわれず、押麦や米粒麦に“大麦β-グルカン”は3~5%程度含まれています。そのため、おいしく、食べやすいように工夫されている加工食品からも“大麦β-グルカン”をたくさん摂取できます。
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■近年注目の集まる“水溶性”食物繊維とは
 “大麦β-グルカン”は食物繊維の中でも「水溶性」という性質を持っています。食物繊維は体内の消化酵素で消化されずに排出される成分ですが、水に溶けにくい不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維の2種類があります。不溶性食物繊維はセルロースやリグニンに代表され、穀類、野菜、豆類のほか、甲殻類などに含まれています。その働きは、腸管内の水分を吸収して、便を軟らかくし、大きく体積を増すことで便のかさが増し、腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発化され、排便を促すというものです。
 一方、“大麦β-グルカン”をはじめとする水溶性食物繊維は果物、海藻類、根菜などに含まれています。ヌルヌルの粘性が特徴です。また、糖の吸収を緩やかにする効果もあり、食後の血糖値上昇を抑制するので、大麦のように水溶性食物繊維が多い食品は低GI(Glycemic Index)食品として話題です。さらに、強い粘性でコレステロールを吸着・排出。善玉菌のエサになるなどの働きもし、免疫系をコントロールしているとも言われる話題の腸内フローラ(腸内細菌叢)の善玉菌比率を改善することにも繋がります。このように多機能である水溶性食物繊維に近年注目が集まっています。

■糖質の吸収を53%抑制、さらに次の食事の糖質も吸収を抑制する「セカンドミール効果」
 近年の研究では、大麦β-グルカンを含む食品の摂取により、糖質の吸収が53%の抑制されることが報告されています。また、朝食に大麦を食べると、朝食の直後だけでなく、昼食や夕食の糖質吸収を抑制することが分かってきました。被験者は朝食として糖質の含有量が50gになるよう調整された大麦、または白小麦パンを摂取。 昼食に全ての被験者が同じ食事(標準昼食)を摂取してその後の血糖を比較したところ、朝食で大麦を食べた場合で昼食後の糖質の吸収が44%抑制されていました。最初に食べたもの(ファーストミール)が、次の食事(セカンドミール)の血糖値にも影響を及ぼすこの持続作用を「セカンドミール効果」と呼びます。
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■朝食に大麦を食べるだけで1日トータルの糖質の吸収を抑制
 朝食に大麦を食べると、一日の累積血糖値を抑えることも期待できます。前項の被験者の朝食、昼食、夕食の各食後2時間の血糖上昇量(IAUC)を累積した値を比較したところ、大麦を朝食に食べた場合で、白小麦パンを食べた場合と比べて30%も低いという結果が出ています。朝食での大麦摂取による夕食後の血糖上昇値については差は認められませんでしたが、一日トータルの累積血糖値は、大麦摂取で有意に抑えられています。“β-グルカン”たっぷりの大麦を朝食に食べることで、1日の糖質や食生活をコントロールできるのです。
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■継続摂取で血中コレステロールも低下
 大麦には糖質の吸収抑制のほかに血中コレステロールの低下も認められています。コレステロールが高めの男女25名を対象に標準食を2週間摂取させた後、大麦β-グルカン非含有食、3g含有食または6g含有食を5週間摂取させて、LDL-コレステロール値を比較したところ、大麦β-グルカンを含む食品を摂った場合の血中コレステロールが低下したという結果が出ました。動脈硬化の原因となる血中コレステロールを低下させることにより、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクを回避することができるため、大麦の継続摂取は有用だといえます。

■大麦市場拡大への好材料続々
 現在、一般食品への採用が進んでいる雑穀の代表格の一つが大麦です。大麦などの穀類を主原料とするグラノーラが朝食市場で勢いをみせるなど、大麦はその健康機能性が再評価され、健康志向の高まりから食生活を見直す一般消費者が増えたことで需要が拡大しています。最終製品では、従来の炊飯用途に加え、手軽に栄養補給できるレトルトなどの商品開発が進んでいます。この需要増を背景に、外食・中食産業でも大麦メニューが定番化するなど、大麦の認知度は着実に上がっています。製菓やパン、麺に配合する原料として業務用での採用事例も増えています。
 大麦は穀類の中でも水溶性食物繊維のβ-グルカンが豊富なのが特徴。海外では早くから機能性が注目され、血中コレステロール低減や血糖の上昇抑制、免疫賦活などが報告されています。米国では「コレステロール低減作用があり、心疾患予防効果がある」とし、大麦β-グルカンを一定量含む加工食品に対して健康強調表示を認めています。日本でも2015年4月から始まった機能性表示食品制度では、先陣を切って大塚製薬が、大麦β-グルカン3000mgを含有するレトルト食品『大麦生活 大麦ごはん』、『大麦生活 大麦ごはん 和風だし仕立て』の2アイテムで届出し、7月に受理され、9月に新発売。この他、雑穀業界大手のはくばくからも新商品が発売され、大麦市場でも機能性表示に向けた取り組みが本格化しています。機能性表示制度については、「従来の主要チャネル、スーパー以外にも、ドラッグストアや調剤薬局などでの販路拡大を狙える」との期待の声もあり、大麦市場で新たな動きが見え始めています。

■新発売!進化した豪州の機能性大麦「BARLEY max」を使った商品も続々発売!?
大麦のある品種の中に、β-グルカンに加えてレジスタントスターチ(消化されづらいでんぷん。小腸で消化されず、大腸に届くためエネルギーになりにくく、整腸作用や肥満などの生活習慣病の予防効果がある)を多く含むBARLEY max(バーリーマックス)という品種の大麦がオーストラリアで開発されました。
レジスタントスターチは、腸の中で緩やかに発酵するのが特徴で、腸の奥まで栄養を届けることができます。大腸と全身機能がリンクしていることは研究から分かっており、腸の奥の有用菌に栄養を届けられるBARLEY maxが腸内バランスの乱れによる健康・美肌トラブルを改善できるのではないかと期待が高まっています。

正式に発売される前からいろいろな食品メーカーが注目。日本の食トレンドを変える可能性あり。
最近はやりの糖質(炭水化物)抜きダイエットのトレンドを変えるかもしれません。本来、炭水化物は必要な栄養素ですが、インスリン分泌を促してしまうことで太るので、炭水化物を抜く、つまり糖質カットですが、インスリンの出にくい低GI型の炭水化物があればカットする必要もなくなるので、糖質カットダイエットの流行に終止符が打たれるか?などの声も上がっています。
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■増刷された慈恵大学病院の人気レシピ本!続編のスイーツレシピ本も春発売予定
 日常で大麦を摂り入れる上で話題のレシピ本は慈恵大学病院発のお医者さんが進めるレシピ。慈恵大学病院は、創始者・高木兼寛が麦飯で難病であった脚気を予防して以来、病院の昼食に麦飯を取り入れるなど、大麦との深い関わりを持ち続けています。大麦が注目される今だからこそ、慈恵大学病院が、コレステロール低減、メタボ解消、糖尿病予防、免疫力向上、そして美容効果と大麦の効用がより広く認知されるように制作されています。今後、慈恵大学では夕食にも麦飯を取り入れることを検討中で、続編となる大麦を使ったスイーツレシピ本も制作中と、さらなる注目が集まることが予想されます。

■手軽に食べられるから続けられる!商品開発が進む大麦の加工食品
食物繊維を積極的に摂ったり、糖質を抑える食生活を続けようとする人は多いと思いますが、実際にはなかなか難しいもの。雑穀の加工技術が進んだことで、従来の炊飯用途に加え、手軽に栄養補給できるレトルトなどの商品開発が進み、手軽に健康へ配慮した食事を摂る方法が増えています。調理も簡単で、普段のごはんに足したり、電子レンジにかけたり、湯煎するだけで食べられるのも、続けられるための工夫です。
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■大麦定番化が進む外食・中食産業でも意外な大麦メニュー
 従来の炊飯用途や加工食品だけでなく、外食や中食にも様々な雑穀メニューが増えています。牛丼店「吉野家」から2015年7月27日より夏期限定メニューとして販売された「麦とろ牛皿御膳」「麦とろ鰻皿御膳」の販売数量は9月末までで300万食達成の予定に対し、8月26日までの約1ヶ月間で300万食を突破する驚異的なヒットを記録しました(現在は販終了)。大麦というと麦飯、麦とろのイメージが定番ですが、他にも様々な外食・中食に大麦が採り入れられています。
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【監修者プロフィール】
青江誠一郎(あおえ・せいいちろう)先生
大妻女子大学家政学部食物学科教授・農学博士、一般社団法人日本食物繊維学会副理事長
千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了。一般社団法人日本食物繊維学会副理事長。雪印乳業株式会社技術研究所を経て2003年度より大妻女子大学家政学部助教授に就任、2007年度より現職。大麦の食物繊維とメタボリックシンドローム予防に関する論文で、2010年度日本食物繊維学会の学会賞を受賞。

濱 裕宣(はま・ひろのぶ)先生
東京慈恵医科大学付属病院 栄養部課長
慈恵医大病院糖尿病教室、「麦ごはんパワーで糖尿病対策」(クックパッド掲載記事)、レシピ本「慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ」発刊など、給食栄養管理と臨床栄養管理をバランス良く機能させ、患者さんの治療に寄与する取組をひろく行っている。


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