シリア:包囲下の町マダヤで続く餓死――MSFは援助と医療搬送の阻害を非難

プレスリリース発表元企業:国境なき医師団(MSF)日本

配信日時: 2016-02-01 12:30:49

包囲下の町マダヤでは、輸送団による支援の提供後も住民の餓死が続いている。シリア政府主導の勢力連合が救命医療物資の搬入を阻んでいるため、医薬品が手に入らず地元の医療者も患者のニーズに対応できないでいる。また緊急に搬送しないと命が危うい患者が多くいるにも関わらず、いまだに医療搬送すら認められていない。MSFは包囲戦略の責任を負うすべての陣営に対し、国際人道法に準じ、速やかに医療・人道援助の立ち入りを認めるべきだと非難をもって訴えている。



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新たに16人が餓死

MSFオペレーション・ディレクターのブリス・デ・ル・ヴィンヌは「依然として飢餓で亡くなる人が増えていて、何週間も前に搬送されていなければならないはずの重体患者が町にとどまっている現状は、到底容認できません」と訴える。

マダヤでは2015年夏にあった激しい爆撃と、冬になり始まった包囲の強化により人道援助が著しく制限され、最重度栄養失調の処置に十分な量の治療食をはじめ、必須医薬品が手に入らない。

MSFは、150万~200万人がシリア政府主導の勢力連合および反政府勢力の包囲下にあると推計。こうした包囲地域の多くで、患者の医療搬送が阻まれ、医薬品や治療食は検問所でたびたび差し止めに遭っている。そのため、地元の医療従事者は直面するニーズに対応しようがない。医師のいないマダヤの状況は特に深刻となっている。

マダヤでMSFの支援を受ける保健職員は、1月に行われた3回にわたる輸送団の支援搬入後も、16人が亡くなったと報告している。

早急な医療物資の搬入および患者の搬送を要請

また人口2万人のマダヤに、320人の栄養失調患者がいると見られ、そのうち33人は重度で、迅速かつ効果的な処置をしなければ命も危うい。

デ・ル・ヴィンヌは「マダヤには、独立した常駐の医療が緊急に必要です。町内で受けられる医療が極めて限られたものである限り、保健状況は今後も悪化することが懸念されます。包囲戦略の責任を負う各陣営は国際人道法に準じ、速やかに医療・人道援助の立ち入りを認めるべきです。これらの地域からの医療搬送に対する制限も解除されなければなりません」と話す。

MSFが支援している医療従事者からは、首都ダマスカス南西のモアダミヤなど、国内の他の町での栄養失調も報告されている。

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