VDES社会実装の加速化に向けた産学官の連携強化
配信日時: 2025-10-27 15:59:36
~東京大学大学院との共同研究開始および研究会の発足~
IHIは、船舶の安全で高効率な運航に貢献可能なシステムであるVDES※1の社会実装を加速するため、産学官連携の強化に取り組んでいます。このたび、東京大学大学院工学系研究科 柴崎研究室(システム創成学専攻)と、VDESの社会実装に伴う経済的効果および環境負荷低減効果を定量的に評価する共同研究を開始しました。さらに、VDESに興味を持つ研究機関の皆様と広く議論を交わし、VDES社会実装の有効性を総合的に評価することを目的として「VDES研究会」を立ち上げました。
VDESは、自船の位置などを通報する装置としてすでに普及が進んでいるAIS※2を拡張し、船舶や海洋分野を対象に双方向通信によるネットワーク構築を可能にするシステムです。さらに衛星の利用により、全地球規模で船舶の安全・安心や洋上業務の連携を実現することが期待されています。
VDESの導入により、海上安全の向上、入出港の円滑化、海運の効率化など幅広い分野での活用が見込まれます。これらによって、安全性向上による流通量増加や、効率化による流通コストの削減など、経済的効果が期待されています。加えて、航路情報の相互共有により高効率運航が可能となることで温室効果ガス(GHG)排出量の削減や、GHG排出規制の管理明確化など、環境負荷低減効果も期待されています。
このたびの共同研究および研究会では、船舶から収集された既存の運航データ(速度や航路等)や貨物データなどを用いて、VDES社会実装時の経済的効果および環境効果を定量的に評価し、VDES導入の有効性を実証します。
2028年1月にはSOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約)の改正が予定されています。VDESはAISとともに船舶の法定機器になる見込みであることから、各国でも普及に向けた取り組みが進められています。IHIは現在、経済安全保障重要技術育成プログラム※3にてVDESの技術実証を推進するとともに、衛星VDESコンソーシアム※4の代表幹事としてVDESの利用促進に取り組んでいます。さらに今回の研究会発足により、国内研究機関の協力のもと、産学官の連携強化によりVDESの社会実装を推進・加速してまいります。
IHIグループは、衛星コンステレーションの構築やVDESの社会実装を通じて、陸・海・空そして宇宙におけるさまざまな情報を収集・分析し、新たな価値を創出することで、安全・安心な社会の実現を目指してまいります。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/89117/280/89117-280-4ff9bbe7537a477dca47ba53b46d33ce-540x342.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
VDESの特徴と今回の共同研究概要
<東京大学 柴崎研究室について>
東京大学大学院工学系研究科 柴崎研究室(システム創成学専攻(技術経営戦略学専攻兼担))は、国際物流および海上輸送の分野において高い専門性を有しています。AISなどの船舶動静データを活用した物流推計やモデル構築等の研究実績を有し、先進的な研究を実施しています。
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※1 VDES (VHF Data Exchange System)
次世代AIS と呼ばれるVDESは、VHF 周波数帯を利用した海上の通信システムで、船舶・海洋を対象として船舶・地上・衛星間の双方向デジタル通信ネットワーク構築を目的としている。2019年に衛星が送受信可能なVHF 周波数帯が割り当てられ、現在、世界各国でVDES 衛星を使った実証が進められている。国内でも、「経済安全保障重要技術プログラム(Kプロ)」で地上系を含むVDES システムの技術実証が開始されている。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/89117/280/89117-280-25d7bebfcdd24f776baa6037a49f5951-938x571.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
VDES概要
※2 AIS (Automatic Identification System)
船舶自動識別装置。2002年からIMOにより、一定規模以上の船舶への搭載が義務付けられている装置。船舶同士が自動的に電波で識別番号や位置、速度、針路などの情報を送受信し、周辺船舶の動静把握や衝突回避に活用されている。
※3 経済安全保障重要技術育成プログラム(Kプロ)
経済安全保障推進会議及び統合イノベーション戦略推進会議の下、内閣府、文部科学省及び経済産業省が中心となって、府省横断的に、経済安全保障上重要な先端技術の研究開発を推進するプログラム
経済安全保障重要技術育成プログラム - 科学技術・イノベーション - 内閣府
※4 衛星VDES コンソーシアム(https://vdes.jp/)
2022年10月25日
海と宇宙の連携による海上安全の向上に向けて「衛星VDESコンソーシアム」設立のお知らせ
https://www.ihi.co.jp/all_news/2022/aeroengine_space_defense/1198064_3479.html
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