平成27年度 新生!ふくしまの恵み発信事業 第2回メディアセミナー 福島の「きのこ・きのこ原木」生産、復興へ向けた取組 ― 市場流通する県産きのこが安全・安心でおいしい理由 ― 平成27年10月21日、都内にて開催

プレスリリース発表元企業:福島県

配信日時: 2015-11-04 17:30:00

福島県では、「平成27年度 新生!ふくしまの恵み発信事業」の一環として、第2回メディアセミナー「福島の『きのこ・きのこ原木』生産、復興へ向けた取組 ― 市場流通する県産きのこが安全・安心でおいしい理由 ―」を、去る平成27年10月21日(水)にFUKURACIA東京ステーション(東京都千代田区)で開催しました。新聞・雑誌記者、フリージャーナリスト、テレビ局の報道担当者など42名の関係者を集め、秋冬の本格的なきのこの需要期を控えた時期に、県産きのこの安全性やおいしさ、きのこ原木(しいたけ等を栽培するほだ木の材料)の出荷再開へ向けた取組について、生産者のこだわりも交えてアピールしました。

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きのこ・きのこ原木の安全性、おいしさ、取組をアピール


福島県では、震災以降、県産農林水産物の安全性確保へ向けた取組を徹底させてきましたが、いまだ原子力災害に伴う風評の影響は、払拭しきれていません。
福島県では、こうした風評払拭を図るため「新生!ふくしまの恵み発信事業」を立ち上げ、安全性を伝える情報とともに、ふくしまの豊かな自然と生産者のひたむきな想いが育む農林水産物の魅力やおいしさを、全国の消費者に向けて広く発信しています。本セミナーも、その一環として行われました。

セミナー冒頭、主催者を代表して、福島県農林水産部農産物流通課 課長 金子 達也が、「福島はきのこやきのこ原木の一大産地として知られてきたが、大震災、原発事故、風評の影響で、生産者はいまなお厳しい状況におかれています。そうした苦境に耐えながら、復興の担い手としての誇りを胸に、日々ひたむきに取組む生産者の姿を理解し、その声に耳を傾けていただきたい」と挨拶してセミナーがスタートしました。

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県農産物流通課 金子課長


■きのこ、きのこ原木とも福島は重要な産地
最初のプログラムでは、県林業振興課 主任主査 古川 成治が、福島県の「きのこ、きのこ原木」の生産概要に関する説明を行いました。
きのこについては「野生きのこ」と「栽培きのこ」があり、後者は「原木栽培」と「菌床栽培」に分かれ、さらにそれぞれ「露地栽培」と「施設栽培」があると、きのこの生産を理解するうえで必要となる基礎知識についてレクチャーし、今日では、しいたけについては全国的に「菌床栽培」が主流になりつつあることを紹介。震災前は、「原木栽培」「菌床栽培」生産量の合計でしいたけが全国7位、なめこが全国4位と、福島がきのこの重要な産地であることも紹介しました。

また、きのこ原木について、震災前は福島県が日本一の移出量を誇り、全国の産地にきのこ原木を供給してきましたが、現在、その多くが出荷出来ない状態で、全国では深刻なきのこ原木不足に発展している状況を解説しました。

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県林業振興課 古川主任主査


■林産物においても安全性確保を徹底
続いて、林業振興課 副主査 山田 誠が、福島県の林産物である「きのこ、きのこ原木」生産における安全性確保へ向けた取組を紹介しました。
まず、きのこについては、「福島県安心きのこ栽培マニュアル」に基づいて生産されていて、生産工程から安全性確保へ向けた取組が徹底されていて、しかも、出荷前検査で安全性が確認されたものだけが流通していることをアピールしました。
そして、きのこ原木については、今年の11月下旬に、日本で初めての非破壊検査機器を導入するための準備が進められていることを紹介しました。また、きのこ原木非破壊検査機器に関する実証試験の様子と、それを担当する中通り石川町のきのこ原木生産者のビデオレターが上映され、「短時間で放射性物質が測定できる」などのメリットが紹介されました。

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県林業振興課 山田副主査

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きのこ原木出荷再開へ向けた思いを伝える生産者の阿崎さん


【生産者が語る、きのこ作りにかける思い】
引続きセミナーでは、県内の2名のきのこ生産者のビデオレターが上映された後、福島県原木椎茸再生産をめざす会会長の國分 進さんが登場し、原木しいたけ生産の復興にかける思いを語りました。


<40年近くこだわって生産してきたので、これからも何とか続けたい! ―
浜通り・相馬郡新地町 しいたけ生産者(原木施設) 菊地 久光さん>

菊地さんが営農している浜通りの新地町は、平成26年の7月11日に原木施設栽培のしいたけの出荷制限が解除されました。菊地さんは、同年7月25日に震災後初めて、原木しいたけを出荷することができるようになりました。原木栽培が好きで、40年近くずっとこだわりをもってやってきましたので、出荷停止期間中も「何とかして生産できないか」と、安全性の確保へ向けた取組を粘り強く続けてきました。原木栽培では、菌糸が原木にムラなく根を張り、木の栄養分を吸収しながら成長するようにすることがとても重要です。そのため「菌が木の芯まで回ると収量も多くなる」と語る菊地さん。「長年の経験と菌のまん延状態を見抜く眼力が重要」と力説します。「作っている作物と話ができるようになると一人前。せっかくここまでやってきたので、これからもずっと続けたい」と本格的な復興にかける思いを語っていただきました。

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しいたけ生産者(原木施設)菊地さん


<生産者が一丸となって「きのこ王国・福島」を盛り上げる! ―
中通り・岩瀬郡天栄村 しいたけ生産者(菌床施設)
JA全農福島しいたけ生産販売協議会 会長 大野 一宏さん>

しいたけの菌床栽培を手がける大野さんは、特に、温度や湿度管理が重要と語ります。しいたけは育つ過程で熱を発しますが、芽を作る時期に高温にしないことが大切で、「この温度管理を初期にしっかりやらないと秋口に良いきのこが出てきません」。また、「きのこの味は水次第」と語る大野さん。
ご自身は、井戸から自噴する水を栽培用に使っています。地元で獲れる天栄米は有名ですが、「水が良いからお米もおいしいものができる」とのこと。
復興で重要なのは、消費者の方々から評価を得るために「生産者が一丸となって良質なしいたけ作りに取組むこと」という大野さん。これからも「きのこ王国・福島を盛り上げていきたい」と熱い思いを語りました。

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菌床しいたけ生産者 大野さん


<原木しいたけの本格的な復活へ向けて ―
中通り・本宮市 しいたけ生産者(原木施設)
福島県原木椎茸再生産をめざす会 会長 國分 進さん>

しいたけの原木露地栽培を営んできた國分(こくぶん)さんは、震災後、本宮市の露地栽培の原木しいたけが出荷制限となったため、現在は、原木施設栽培で生産を再開しています。國分さんは「何としてもしいたけの原木露地栽培を復活させたい」との思いから、福島県原木椎茸再生産をめざす会を立ち上げ、会長を務めています。「県内23名の会員が季節ごとに集まり勉強会を行っています。また、県の指導を仰ぎながら、今後の復興について検討しています」(國分さん)
「原木しいたけの復興のためには、阿武隈山系の広葉樹の原木林を再生させることが一番重要です。私たち生産者もともに力を尽くしていく覚悟でやっていますので、ぜひ、応援してください」とメディアへ向けてメッセージを語っていただきました。

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「しいたけの原木栽培で福島県の生産者は確かな技術がある」と語る國分さん


【流通関係者からみた、福島県産きのこの魅力】
続いて、東京都中央卸売市場大田市場でしいたけを担当する、東京青果株式会社 野菜第5事業部 野口 祐司さんからの「福島県産しいたけは、お客様から安定した評価をいただいており、固定客、ファンがきちんとついている」とのメッセージをスライドで紹介した後、県内でしいたけ流通に携わる、JA全農福島 郡山営農事業所 園芸センター長の菅野 康徳さんにご登場いただき、改めて県産しいたけの魅力について語っていただきました。


<安全・安心に加え品質・おいしさをアピール ―
JA全農福島 郡山営農事業所 園芸センター長
郡山パッケージステーション 所長 菅野 康徳さん>

菅野さんが所長を務める郡山パッケージステーションは、県内最大のしいたけの物流拠点で、県内で生産されるしいたけの6~7割が、集荷されてきます。それらはみな菌床しいたけで、「愛情しいたけ」のブランドで出荷されています。
「愛情しいたけ」とは、生産者さんの「愛情」を存分に受け、丹精込めて栽培されたしいたけという意味でこの名がつきました。「愛情しいたけ」は、菌床を作る際にオガ粉の放射性物質検査と吸収抑制対策を行い、さらに、しいたけも出荷前検査を行っていて、「安全性には万全を期しています」と語る菅野さん。そのうえで菅野さんは、「やはり重要なことは品質の良さです。生産者は、相互研鑚して本当に質の高いしいたけを作っています」と力強くアピールしました。

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「『愛情しいたけ』はみんな菌床しいたけです」と語る菅野さん


【料理人に聞く、 福島県産きのこの魅力】
セミナーの最後に、料理人からみた県産きのこの魅力について、郡山市の磐梯熱海温泉 ホテル華の湯 総料理長の齋藤 正大さんからのメッセージをビデオレターで紹介しました。

<福島の多彩なきのこを、ぜひ、お試しいただきたい ―
磐梯熱海温泉 ホテル華の湯 総料理長 齋藤 正大さん>

郡山市に位置し県民に親しまれる磐梯熱海温泉にあるホテル華の湯は、和食を中心とした料理にも定評があります。そこで総料理長を務める齋藤さんは、「震災後は、食材に感謝する気持ちがより強くなり、地元の食材にこだわるようになった」と語ります。
「福島のきのこがおいしいのは、水が良いからです」と語る齋藤さん。「福島の生産者さんたちは、震災後に本当に苦労されました。そして、その苦労に負けず、ものすごく勉強し、愛情を注いで、野菜やきのこを作っています。だから、うまくないはずがありません」と力説します。「福島には多彩なきのこがありますので、ぜひ、いろいろ試してみてください」という主旨のメッセージをいただきました。

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「生産者の顔を見て直接仕入れをしているので、震災後の苦労が伝わってきます」と語る齋藤さん


場内の展示コーナーには日本橋ふくしま館 MIDETTEで購入できる県産きのこの加工品や「愛情しいたけ」、県産乾燥きくらげ、しいたけ菌床、しいたけほだ木などが展示されました。

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