ケニア:ダダーブの治安悪化で、診療所の閉鎖を余儀なく、スタッフは退避へ
配信日時: 2015-05-29 13:30:26
ケニア北東部の治安悪化が深刻度を増したことにより、国境なき医師団(MSF)はスタッフ42人をダダーブ難民キャンプ群から首都ナイロビへ退避させた。予防的な措置であるものの、MSF診療所4ヵ所のうち2ヵ所が閉鎖され、病院での産科診療も停止、その他の医療業務も大幅な人員不足となるとみられ、ソマリア人難民らの高い医療ニーズに応える体制に直接的な影響が出る見通しだ。
[画像: http://prtimes.jp/i/4782/271/resize/d4782-271-701624-0.jpg ]
可能な限り早期に全面再開を目指す
「難民も医療スタッフも、治安悪化の矢面に立たされています」。ケニアでMSF活動責任者を務めるチャールズ・ゴードリーは「今の状況では人道援助の提供を著しく制限されている」と話す。
MSFは可能な限り早期に活動を全面再開できるよう、武装勢力に対し医療施設・患者・スタッフの尊重を呼び掛けている。同時に、スタッフの無事と安全の確保を行いつつ、状況分析を継続。安全についての確証が得られ次第、医療活動の全面再開の検討に入る。
近年、ダダーブ難民キャンプ群の人道援助は治安の悪化と、多くの援助団体における資金減のため、縮小傾向だが、ソマリアよりも安全な避難先であることは今も変わりない。
ダダーブ難民キャンプ群は35万人が暮らす世界最大の難民キャンプ。MSFは過去20年にわたり同地で活動、紛争下の祖国を逃れて来る複数世代のソマリア人を受け入れてきた。現在、同キャンプ群を構成する5つのキャンプの1つ、ダガレイで唯一の医療援助提供者として、ベッド数100床の病院と2つの診療所を運営している。同病院は、外科、産科、HIV/エイズ・結核の入院・外来診療と、栄養失調児のための入院治療を提供。2014年の外来診療は18万件、入院患者は1万2000人、産前健診は1万2000件、分娩介助で生まれた子供は3240人に上った。2015年4月2日のガリッサ大学襲撃事件に際しては、ダダーブから1チームをガリッサ病院に派遣し、負傷者の治療を支援するとともに、ガリッサ空港に避難していた学生に医療援助を行っている。
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