平成26年度 新生!ふくしまの恵み発信事業 第2回メディアツアーを実施 「福島牛」その安全・安心と品質向上に向けた取り組みや、繁殖・肥育農家の生産現場を巡る 平成26年12月2日(火)、報道関係者が黒毛和牛生産地を訪問

プレスリリース発表元企業:福島県

配信日時: 2014-12-17 11:00:00

福島県は、平成26年度 新生!ふくしまの恵み発信事業の一環として、県と畜産関係者が一丸となって、ブランド回復に取り組んでいる「福島牛」の産地を巡るメディアツアーを12月2日(火)に実施いたしました。

このツアーでは、県内で実施している肉用牛における放射性物質の「全頭検査」について視察後、「福島牛」の焼肉ランチをおとりいただき、福島牛の販売現場、そして黒毛和牛の母牛を飼育し子牛を生産する「和牛繁殖農家」と、それを肉牛として出荷できる状態まで育てる「肥育農家」を視察していただきました。

「福島牛」は県を代表する黒毛和牛のブランドです。震災前は素牛(子牛)、肉牛とも市場において高い評価を得てきました。素牛については、今も県内の家畜市場では全国平均価格を上回る値で取り引きされていますが、肉牛(枝肉)については原発事故による風評の影響で1割から2割安い価格で取り引きされています。その影響は、肥育農家を経済的に苦しめるばかりか、繁殖農家にも波及し悪循環を生むことが大きく懸念されており、平成22年に155億円あった肉用牛の県内産出額は、平成24年には83億円にまで減退しています。

震災直後の平成23年7月19日に国から県内全域の牛に対する出荷制限の指示が出されましたが、福島県は、と畜後の放射性物質の「全頭検査」体制をいち早く確立させ、飼料の安全性を確保する体制も整ったことから、同年8月25日には出荷制限が一部解除され、現在に至っています。以来、放射性物質の基準値を超えるものは一頭たりとも流通されていません。

こうした安全対策の取組内容を始め、震災前と変わらぬ良質な牛肉を出荷するために、レベルの高い子牛を育てることで「福島牛」ブランドの向上にかける繁殖農家と、風評に苦しみながらも最高の黒毛和牛の生産にこだわる肥育農家を訪問し、ぜひ、生産者の生の声に耳を傾けていただきたいと思い、今回のメディアツアーを企画いたしました。

なお、福島県では、今回のメディアツアーに先立ち、平成26年11月17日(月)に第2回メディアセミナー「『福島牛』その安全・安心と品質向上に向けた取り組み―繁殖・肥育農家の生産現場から―」を都内で開催しました。今回、12月2日に行われたメディアツアーにはこのメディアセミナーに参加した方々も含め、東京や福島から新聞・雑誌記者、フリージャーナリスト、さらにテレビ局の報道関係者など30名を超えるメディア関係者が参加され、セミナー会場で見聞きした内容を現地で確認できる機会となりました。

・風評の影響を訴える肥育生産者の元に集まる報道関係者
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■県内で行われる「全頭検査」を視察
まず最初に向かった先は、福島県農業総合センター。ここでは県内でと畜される肉牛の全頭検査が行われています。今回は、実際の検査の手順や内容について、農業総合センター 安全農業推進部 部長 佐藤 一雄が解説しました。

・福島県農林水産部畜産課 課長 伊藤 純一(右から2人目)
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・検査のために持ち込まれた牛肉を職員が細かく刻む
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・測定室は関係者以外立ち入り禁止のため、ドアの外から視察する報道関係者
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■昼食では「福島牛」の焼肉ランチを堪能
その後、一行が向かったのは、JA全農福島が運営する焼肉レストラン「牛豊・朝日店」。今回のメディアツアーでは、「福島牛」のおいしさを参加者に充分に認識していただくことも重要なプログラムのひとつと考えていましたので、選りすぐりの良質な肉を、堪能していただきました。

・当日、試食用に振舞われた「福島牛」のリブロース
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■「愛情館」で流通現場を視察
昼食後は、「牛豊・朝日店」と同じ敷地内にあるJA農産物直売所「愛情館」に立ち寄りました。そこでは、店内の一角に「福島牛」の販売コーナーがあります。愛情館 課長 佐藤 武彦さんに話を聞いた後、販売状況なども視察していただきました。

・販売される「福島牛」には「検査済」の緑の丸いシールが貼られている
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■石川町の和牛繁殖農家を訪問、生産者に話を聞く
その後、一行は、「福島牛」の代表的な産地のひとつ、石川郡石川町に向かいました。訪問先は、JAあぶくま石川 繁殖牛部会長 渡邉 一雄さんの牛舎。ここでは、6頭の母牛を飼育しています。
「震災の直後に一時期、子牛相場が下がってしまい、結果的には石川家畜市場が閉鎖されることになってしまった」と語る渡邉部会長。その表情や語り口から無念さがにじみ出ていました。福島県産の子牛は、現在、市場で高い評価を得ていますが、そうしたデータには表れにくい、今なお深く残る震災の爪痕に報道関係者らは聞き入っていました。

・以前は母牛を25頭まで増やしたこともあった渡邉部会長(写真中央)
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・渡邉部会長が飼育する黒毛和牛の母牛
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■棚倉町の肥育農家を訪問、生産者に話を聞く
最後に訪問したのは、東白川郡棚倉町の肥育農家、JAグループ福島肉牛振興協議会 副会長 沼野 博さんの牛舎。沼野さんは、息子の裕一郎さんとの親子経営で、約200頭の黒毛和牛を飼育しています。
ここでは、市場で購入した仔牛を約20カ月の間、肥育します。肥育は「自分の腕次第で高く売れたり、そうでなかったりする。そこが面白い」と語る沼野副会長。しかし、たとえ良質な肉牛を出荷しても、今は、それが他産地の2~3ランク下のものと同等の価格で取り引きされてしまいます。「風評の影響で低く評価されるのが悔しい」という沼野副会長。子牛価格の高騰も影響し「とにかく必死です」とツアー参加者に語りました。

・原発事故でも「やめるつもりはなかった」と語る息子の裕一郎さん
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・沼野副会長が肥育する黒毛和牛
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