武田科学振興財団、2020年度「武田医学賞」受賞者を決定 ~2020年11月12日(木) オークラ東京にて贈呈式を開催~

プレスリリース発表元企業:公益財団法人 武田科学振興財団

配信日時: 2020-09-16 10:00:00

一條 秀憲 博士

宮脇 敦史 博士

公益財団法人 武田科学振興財団(理事長:飯澤 祐史、所在地:大阪市中央区)は、2020年度「武田医学賞」を下記の2氏に贈呈することを決定しました。
贈呈式を2020年11月12日(木)午後6時よりオークラ東京 プレステージタワーにおいて開催し、受賞者には賞状、賞牌、楯ならびに1件につき副賞2,000万円を贈呈します。
「武田医学賞」は、医学界で顕著な業績を挙げ、医学ならびに医療に優れた貢献を果たされた研究者に贈呈されるものです。1954年に武田薬品工業株式会社の創業170周年記念事業の一つとして設けられ、1963年の当財団設立とともに財団事業として継承し、本年度で64回目を迎えます。「武田医学賞」の受賞者数は、本年度を含めて132名となります。

一條 秀憲 博士(いちじょう ひでのり)
東京大学 教授(62歳)
受賞テーマ:ストレス応答の分子機構解明に基づく創薬基盤の創成
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/225061/LL_img_225061_1.jpg
一條 秀憲 博士

宮脇 敦史 博士(みやわき あつし)
理化学研究所 チームリーダー(58歳)
受賞テーマ:革新的生命可視化技術の開発研究
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/225061/LL_img_225061_2.jpg
宮脇 敦史 博士


■一條 秀憲 博士
<学歴・職歴>
1985年 3月 東京医科歯科大学 歯学部 卒業
1990年 3月 同 大学院歯学研究科博士課程 修了(歯学博士)
1990年 4月 Ludwig癌研究所 Uppsala Branch留学 研究員
1992年 4月 東京医科歯科大学 歯学部 助手
1995年 4月 (財)癌研究会癌研究所 生化学部 研究員
1997年 5月 同 主任研究員
1998年 2月 東京医科歯科大学 歯学部 教授
2000年 4月 同 大学院医歯学総合研究科 教授
2002年 9月 東京大学 大学院薬学系研究科 教授
2011年 4月 同 総長補佐(~2012年3月)
2012年 4月 同 大学院薬学系研究科 副研究科長(~2014年3月)
2012年10月 同 創薬オープンイノベーションセンター長(~2015年3月)
2015年 4月 同 教育研究評議員(~2017年3月)
2015年 4月 同 創薬機構 機構長(現在に至る)
2018年 4月 同 大学院薬学系研究科 研究科長・薬学部長(~2020年3月)
2019年 4月 同 ライフサイエンス連携研究教育拠点長(現在に至る)

<受賞歴>
1997年度 歯科基礎医学会賞
1998年度 日本癌学会奨励賞
2001年度 日本歯科基礎医学会ライオン学術賞
2008年度 日本癌学会JCA-Mauvernay Award
2013年度 持田記念学術賞
2015年度 高峰記念第一三共賞
2016年度 上原賞
2017年度 安田医学賞 (研究助成)
2019年度 紫綬褒章(秋期)

<研究業績>
受賞テーマ:ストレス応答の分子機構解明に基づく創薬基盤の創成
研究業績 :
細胞のストレス応答機構の解明は、長年に亘り生命科学における最重要課題のひとつとして注目され、各種疾患との深い関わりも知られるものの、未だにストレス応答の分子機構によって疾患の病態メカニズムを明示的に記述できた例は少ない。一條博士は、細胞死を誘導するタンパク質リン酸化酵素としてApoptosis Signal-regulating Kinase 1(ASK1)を発見して以来、ASKファミリー(ASK1, ASK2, ASK3)の機能解析を中心にストレスシグナルの研究分野で世界を牽引してきた。ASKファミリーは酸化ストレス、浸透圧ストレス、小胞体ストレス、病原体感染などの環境変化に応答し、驚くほど多彩な細胞応答や疾患に関与することが明らかにされており、今では「生体のストレス応答機構を理解するための鍵」として位置づけられている。
臨床的にも、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)や糖尿病性腎症(DKD)を対象にASK1キナーゼ阻害剤の臨床治験も進行中である。また、研究水準の一指標として、一條博士のh-indexは84、論文の総被引用回数は30,000回に上る。以上のように、一條博士は、過去四半世紀に亘り一貫して、物理化学的ストレスの感知・情報処理・応答の分子機構の解明に従事し、常に「ストレス応答の破綻と疾患」という視点から新たな創薬基盤の創成に貢献をしてきた。


■宮脇 敦史 博士
<学歴・略歴>
1987年 3月 慶應義塾大学医学部卒業
1991年 3月 大阪大学医学部大学院医学研究科博士課程 修了
1991年 4月 日本学術振興会 特別研究員
1993年 4月 東京大学医科学研究所 助手(~1998年12月)
1995年10月 HFSP long-term fellowship, UCSD Pharmacology
1997年10月 Research Pharmacologist, UCSD Pharmacology
1999年 1月 独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター
先端技術開発グループ 細胞機能探索技術開発チーム
(現 国立研究開発法人理化学研究所 脳神経科学研究センター
細胞機能探索技術研究チーム) チームリーダー(現在に至る)
2004年 1月 独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター
先端技術開発グループ グループディレクター(~2009年3月)
2005年 7月 東京大学 分子細胞生物学研究所細胞機能情報研究センター
プロテオーム研究分野 客員教授(~2010年3月)
2006年 4月 自然科学研究機構基礎生物学研究所 発生ダイナミクス研究部門
客員教授 (~2011年3月)
2006年10月 独立行政法人科学技術振興機構
ERATO「生命時空間情報」プロジェクト 研究総括(~2012年3月)
2007年 4月 早稲田大学 理工学術院分子神経科学研究 客員教授(現在に至る)
2008年 4月 独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター 副センター長
(~2018年3月)
2009年 4月 慶應義塾大学 医学部 客員教授(現在に至る)
2010年 4月 東邦大学 理学部 客員教授(~2011年3月)
2012年 4月 横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 客員教授(現在に至る)
2013年 4月 独立行政法人理化学研究所 光量子光学研究領域
生命光学技術研究チーム
(現 国立研究開発法人理化学研究所 光量子光学研究センター
生命光学技術研究チーム) チームリーダー(現在に至る)

<受賞歴>
2004年10月 財団法人 材料科学技術振興財団 山崎貞一賞
2006年 5月 Harvard University, Department of Chemistry and Chemical Biology,Woodward Visiting Scholar
2006年12月 日本学術振興会賞
2007年 3月 塚原仲晃記念賞
2007年 6月 慶應義塾大学医学部三四会 北里賞
2008年 4月 文部科学大臣賞 科学技術賞開発部門
2012年 2月 井上学術賞
2013年 6月 藤原賞
2014年12月 Arthur Kornberg Memorial Award
2015年11月 Columbia Univ. The 37th Annual W. Alden Spencer Award.
2015年12月 島津賞
2017年11月 紫綬褒章
2017年12月 上原賞

<研究業績>
受賞テーマ:革新的生命可視化技術の開発研究
研究業績 :
現代の生命科学においては、生きた細胞の中で生体分子がどのように振舞うかを理解することが強く求められている。生体分子の動的な振る舞いは、細胞の増殖、分化、移動、死などの機序を知る上で重要であり、それを直接的に可視化する技術が、生物関連のさまざまな学術分野で注目されている。宮脇博士は、蛍光・発光タンパク質を材料に、分子生物学や生物構造学や光物理化学の技術と知識を総動員し、生きた細胞、組織、器官、個体の中で起こる生物現象を可視化するためのバイオイメージング技術を開発してきた。
蛍光カルシウム指示薬cameleonの開発に始まり、世界で最も明るいVenus、光照射で色が変わるKaedeやDronpa、細胞周期の進行をリアルタイムに可視化する蛍光指示薬Fucci、オートファジーを可視化するKeimaやSRAI、レチノイン酸の蛍光指示薬GEPRAなど、様々な基本的細胞機能を観察する数多くの新規技術を開発した。さらに、組織透明化試薬Scaleを開発し、神経回路を3次元的に再構築する技術開発研究の世界的潮流を生み出した。また、ニホンウナギに由来するUnaGの開発では、ヘム代謝動態の解析に基づく臨床診断薬の開発を進めている。宮脇博士が開発した革新的な生命可視化技術は、独創性に富みながらも、多くの研究者に寄与する実用的基盤技術として、生命科学研究の発展に大きく貢献した。


■FAQ
Q. 武田医学賞は国際賞ですか
A. 武田医学賞は日本人研究者を対象に贈呈しています。
国際賞ではありません。

Q. 武田医学賞の選考方法について
A. 財団の理事・評議員等の推薦をもとに、選考委員会で審議・決定します。
選考委員長は岸本 忠三先生(大阪大学 教授)にお願いしています。
その他の選考委員については公表しておりません。

Q. 武田科学振興財団について
A. 当財団は、科学技術の研究を助成振興し、我が国の科学技術および文化の向上発展に寄与することを目的とし、武田薬品工業株式会社からの寄附を基金として1963年に設立されました。武田医学賞(褒賞事業)のほか、研究助成、奨学助成(外国人留学助成、医学部博士課程奨学助成、海外研究留学助成)、国際シンポジウム開催、杏雨書屋(きょうう しょおく、本草医書等の所蔵・管理等)、出版物の刊行を行っています。


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