マーサー 「役員報酬サーベイ-Mercer Executive Remuneration Guides 2019」の結果を発表

プレスリリース発表元企業:マーサージャパン株式会社

配信日時: 2020-05-26 15:00:27



世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役・島田圭子)は、日本における役員報酬に関する市場調査「Mercer Executive Remuneration Guides (以下、MERG) 」(https://www.mercer.co.jp/about-mercer/lines-of-business/information-solutions/mercer-executive-remuneration-guides.html)の2019年版レポートを発表した。

マーサージャパン組織・人事変革コンサルティング部門の井上康晴は、「『日本再興戦略改訂2014』において、「コーポレートガバナンス改革」が成長戦略の最重要課題の一つとして位置づけられて以降、持続的な企業価値の向上にむけた改革が進んでいる。過去最多の企業に参加いただいた前回サーベイに引き続き、今回のサーベイにおいても多くの企業に参加いただいており、政府の方針や市場の動向に対する関心の高さを表していると考えられる」と述べている。

近年、日本においては、コーポレートガバナンスに関する関心がこれまで以上に高まっている。同部門の亀長尚尋は、「2019年12月に改正会社法が成立・公布されるなど、進展するコーポレートガバナンス改革に企業は一層取り組むことが求められている。2018年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにより、先進的な取組を行う企業や充実した開示を行う企業は増加傾向にあり、自社の取組・開示の検討に際しては、市場プラクティスや他社事例は非常に有用である。本サーベイでは、報酬データだけでなく、ガバナンスに関する企業の対応状況やサクセッションプラン(後継者計画)の策定・運用等、時流を踏まえて項目をアップデートしているので、ぜひ活用して頂きたい」と述べている。

調査結果ハイライト


参加企業数は272社(前年比17社減少)
日系企業における社長の総直接報酬水準(基本報酬+短期インセンティブ+中長期インセンティブ)の中央値は9,010万円
日系企業は「役位」を基準に報酬水準を決定する傾向
過半数の企業が各報酬レベルでターゲット水準ポリシーを定めており、さらにその約50%の企業がベンチマーク企業群における50%ileを自社の報酬水準のターゲットとして設定
日系企業の74%が中長期インセンティブ導入済み。日系企業の39%が譲渡制限付株式を導入
諮問委員会(報酬・指名)の設置状況は、報酬委員会が55%、指名委員会は51%となっており、一般的になりつつある
サクセッションプランは、43%の企業が導入済み、30%が導入を検討
海外子会社の報酬水準を管理・把握している日系企業は74%


マーサー役員報酬サーベイ(MERG)について


ヨーロッパで500社以上の参加企業を持つ20年以上の実績のある役員報酬サーベイであり、日本では2013年から調査を開始
役員報酬に必要なデータ (基本報酬・手当・短期インセンティブ・中長期インセンティブほか)を網羅的に提供
本調査はグローバル統一基準で設定されている調査項目に加え、日本独自の質問項目(任意の諮問委員会の設置状況、中長期インセンティブの動向、サクセッションプランの実施状況等)も設け、グローバル多国籍企業の報酬マネジメント、日本特有の役位等いずれにも対応
役位ベースでの比較に加えて、職務(CEO, CFOなど)や、役割の大きさを反映したグローバル共通のジョブザイズ(PC: Position Class)を用いた比較も可能


1. 参加企業概要

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2. 報酬水準

■日系企業における社長の総直接報酬の中央値は9,010万円
本サーベイの結果からみると、日系企業の役員の総直接報酬は近年おおむね上昇傾向にあるといえる。しかし、日本に拠点がある外資系企業と比較した場合、同じ役割の大きさであっても、報酬額は外資系企業より低い水準にある。また、海外に目を転じると、依然諸外国より低い水準にあることが分かる。今後、グローバル経営を志向する多くの日系企業にとっては、グローバルでの優秀な経営人材の獲得・リテンションを妨げないよう、グローバルで一定の競争力を有する報酬水準を実現していくことが求められる。

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3. 報酬決定要素

■報酬決定の要素として、多くの日系企業では「役位」を重視している
役位を報酬決定要素とする場合、社内における序列や位置づけを報酬に連動させることができる一方で、

1.同一企業内においても、役位がジョブサイズ(役割の大きさ)の序列と必ずしも一致していないこと、
2.他社比較という面では、報酬水準の比較対象企業が必ずしも同じ基準で役位を用いているわけではないこと

の2つの理由から必ずしも適切ではない、という課題がある。今後、日系企業でも、社外人材の登用やグローバルでの報酬ガバナンスを考慮した場合、「職務」や「役割の大きさ」を軸とした報酬水準設定が必要になると思われる。


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4. 報酬ポリシーの有無、ターゲット水準

■過半数の企業が各報酬レベルでターゲット水準ポリシーを定めており、さらにその約50%の企業が、ベンチマーク企業群における50%ileを自社の報酬水準のターゲットとして設定
改正内閣府令による開示規制の進展等、報酬決定プロセスの透明性に対する要請が強まる中で、日系の上場企業においても、報酬水準ポリシーを明確に定める企業が多くなりつつあることがうかがえる。

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5. LTIの導入状況と採用しているビークル

■日系企業の74%が中長期インセンティブを導入済み
株主との利害共有や、中長期的な企業価値向上を狙いとした役員へのインセンティブ付与の観点から、中長期インセンティブの導入・拡大に対する社会的な要請が強くなっており、導入率は今後さらに高まっていくことが予想される。

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■中長期インセンティブとして採用しているビークルは、譲渡制限付株式(39%)が最も多く、自社株信託スキーム(32%)、通常型ストックオプション(23%)が続く。
昨今の税制改正や経済産業省によるインセンティブプラン導入の手引き、改正会社法により、グローバルスタンダードである譲渡制限付株式やパフォーマンスシェアはますます拡大すると考えられ、株式報酬型ストックオプションや自社株信託スキーム等、日系企業独自のLTIビークルを見直す動きは今後も継続すると考えられる。



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6. 任意設置の諮問委員会設置状況

■報酬委員会を設置している企業は55%、指名委員会を設置している企業は51%
2019年7月に実施された東京証券取引所の調査では、補充原則4-101.(独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会など独立した諮問委員会の設置)に対して、市場第一部の約56%が“comply(遵守)”している(2018年12月比+4.1pt)。報酬の決定手続きの透明化や、CEO等のサクセッションプランが求められる中、任意の諮問委員会の関与は非常に重要であり、今後、任意の諮問委員会の設置はますます拡大していくと考えられる。

その際、諮問委員会の形式要件を整えるだけでは十分ではなく、諮問委員会の目的を定め、いかに活用していくかを十分に検討するなどして、実効性のあるガバナンス体制を構築することが今後の日系企業の課題となる。
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7. サクセッションプランの実施状況

■経営陣における人材マネジメント上の課題として、特に「後継者育成」、「リーダーシップ開発」、「人材獲得」に課題を抱える企業が多い

■43%の企業がサクセッションプランを導入済み、30%の企業が導入を検討

多くの企業が経営陣の後継者育成を課題だと認識している一方、サクセッションプランを実際に実施している企業は43%に留まっている。非連続で破壊的な変化が進む現代においては、経営トップや経営層の重要性はますます高まっており、より競争力と持続性の伴った経営体制を構築するため、体系的で実効性の高い後継者育成の仕組み作りが今後の課題となる。
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8. 海外拠点の報酬水準の管理・把握

■海外子会社の報酬水準を管理・把握している日系企業は74%

■管理・把握の対象は、総報酬水準が多数

経済産業省主導のコーポレート・ガバナンス・システム研究会において、『グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針』が新たに取りまとめられたことを踏まえ、海外子会社の報酬水準の管理・把握はより一般的になっていくことが予想される。

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