2020-08-11 12:55:51
イラン株が躍進している。テヘラン証券取引所の「Overall index」の上昇率は、年初来から450%を超え、約8カ月で5.5倍となった。好調なのは今年だけでなく、近年は順調に上昇している。
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〇イラン株価指数(Overall index)の推移 ※()は前年末比
・2016年末 79,486.6
・2017年末 95,561.5(+20.2%)
・2018年末 161,405.0(+68.9%)
・2019年末 377,012.0(+133.6%)
・2020年8月9日 2,078,546.7(+451.3%)
■イランの概要
・人口: 8,280万人
・GDP: 3,480億ドル
・通貨: リアル(1$=42,000リアル)
・主要産業: 石油関連産業
・主要輸出国: 中国、イラク、トルコ、UAE、アフガニスタン
・主要輸入国: 中国、UAE、トルコ、インド、ドイツ
■制裁解除が高成長のきっかけに 米国との関係悪化が懸念
イランは核兵器の開発疑惑に伴う経済制裁が長く続いていたが、2015年7月、欧米と「共同包括行動計画(JCPOA)」を結び、制裁が解除された。高い成長率とインフレの抑制につながり、株価上昇のきっかけとなった。
しかし、米国は2018年にJCPOAを離脱し、単独で経済制裁を再開した。イランのGDP成長率はマイナスとなり、インフレ率も再び上昇した。 2020年初頭には米軍がイラン革命防衛隊の司令官を殺害し、イランが報復として在イラク米軍基地をミサイル攻撃した。
〇イランの経済成長率など(2020年 IMF推計)
・GDP成長率: -5.98%
・インフレ率: 34.22%
・失業率: 16.3%
■経済悪化もイラン株式は堅調 バブルの懸念も
米国との関係悪化によるイラン経済のダメージは小さくないが、イラン株は堅調に推移している。7月にはロウハ二大統領が、信憑性は不明ながらも国内の新型コロナウイルス感染数が推定2,500万人を超えたと発表したが、現時点では調整の様子も見られない。
イラン株が450%超も上昇したことは驚異的なことだが、実体経済の悪化とコロナウイルス感染拡大がある以上、楽観はできないだろう。バブル状態に入っている可能性も否定できない。
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