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相場展望6月23日号 株式相場の流れが変化する『潮目の兆し』か? 乱高下し始め、上昇の危うさが膨らむ。8月頃注意?

2020-06-23 07:00:27

■I.米国株式市場
●1.米国株式の上昇期(3月24日~6月8日)『金融、コロナ・バブル相場』
 1)バブル期に見られた「買うから上がる、上がるから買う」という状況となり、短期筋や個人を中心に割り切って投資するというムードになり、市場の関心が需給相場に集中した様子。

【前回は】相場展望6月16日号 高株価とファンダメンタルズとの乖離は持続せず

 2)こうなると、新型コロナの影響から実体経済の回復が遅れるというネガティブな見方はかき消されてしまっている。

 3)株式市場においては、コロナ対策として打ち出された、
  (1)米連邦準備制度理事会(FRB)による、量的資金緩和策と低金利策
  (2)米政府による財政措置が続くという期待
 で空前の効果が高まり、株式市場は高株価を演出している。

●2.ポジティブ・サプライズ 『米労働省6/5発表の米雇用統計の前月比+250万人増加』で大幅な株高
 1)米株式市場は雇用減少を予測していただけに、このサプライズを好感し、NYダウは6/5に+829ドル高の27,110ドルとなった。翌6/6は+461ドル高の27,572ドルと直近最高値を出した。

 2)しかし、FRBは「コロナショック」を極めてシビアに見ており、2020年経済見通しを▲6.5%、失業率も2020年で9.3%と予測している。雇用も緩慢なペースでした改善が進まないことを示唆している。なお、失業率は4月14.7%、5月は13.3%と前月比改善しているようにえるが、いずれも1933年5月の25.6%に次ぐ失業率の高さであることに留意したい。

●3.米株式の乱高下期(6月9日~) 『ボックス相場』
 1)株価上昇期間が3ヶ月を超え、6月11日にはNYダウは▲1,861ドル下落・▲6.9%下落し、他の主要株価指数(ナスダック総合、SP500)も急落し、恐怖指数(VIX)は急騰した。
  ・下落の要因は、ニューヨーク市で新型コロナ感染者数の再増加が懸念され、市場の熱狂は水を差されたためだ。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は、「新型コロナの終焉にはほど遠く、感染が再び勢いを増すリスクは依然ある」と述べている。
  ・経済が順調に再開すれば、景気回復が予想通りV字型回復になるとの心地よい期待を抱いていた投資家に警鐘を鳴らしたように見える。

 2)ただし、調整の定義と言われる「▲10%の下落」には至らなかった。

 3)当面は、比較的狭いレンジでのボックス相場に移行すると見られる。

●4.米国株式の上昇に危うさをはらむ懸念『コロナ・バブル崩壊』、8月頃に警戒か?
 1)新型コロナ感染拡大の第2波は払拭されたわけではなく、金融政策頼みの急ピッチな株価上昇には危うさが膨らむ。

 2)より長期的な見通しに伴う不確実性を軽視すべきでなく、株価上昇に伴ってリスクは大きくなっている。その場合、悲観的な見方が広がり、実体経済が株式市場に追いつくまで上昇基調が一時停止する可能性がある。

 3)ただし、現在はまだそこまで行っていない。

 4)しかし、超低金利によって、債務返済額が利益を上回る状態に陥ったゾンビ企業が急増し米国企業全体の18%を超えたことに留意したい。

 5)注目は、(1)経済活動再開と、(2)それに伴う新型コロナの感染の再拡大、(3)ワクチン開発。

●5.UBSが警告を発す
 1)知名度の低い銘柄の急騰の誘惑に負けないように助言。

 2)富裕投資家はそのような急騰銘柄は敬遠を。

●6.米、先週分の新規失業保険申請件数は150.8万件と、予想(129万件)を上回った
 1)米・失業保険継続受給者数は2,054万人と、予想(1,985万人)を上回った。

 2)ただ、経済再開もレイオフの第2波で労働市場の回復遅れが懸念される。

●7.FRB(米連邦準備制度理事会)関連の発言
 1)パウエルFRB議長: 危機体制崩さず。
 2)クリーブランド地区連銀総裁: 米回復は長い道のり、緩和策の維持必要。ワクチンで景気回復という楽観シナリオに重点を置かず。

●8.米国経済の小売売上高は前月を上回る
 1)5月小売売上高は前月比+17.7%増と、市場予想+8.4%増を大きく上回った。

●9.11月の大統領選挙予想で、バイデン候補が支持率でトランプ大統領を13%上回る
 1)有権者を逆撫でするトランプ発言等で、トランプ支持の岩盤だったキリスト教福音派の支持率はこの2ヶ月で11%も低下、農村部でも過去1ヶ月で14%下落した。

 2)大統領選と同時に行われる上院選挙でも、共和党は悲惨な選挙結果になる事態もあり得る。

続いて、「中国株式市場」「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ

■II.中国株式市場
●1.失業者は7,000万人超?
 1)中国政府が、製造業3,000社を対象にした4月調査では、海外からの受注指数は、前月比▲12.9ポイントも悪化。こうした受注減少による打撃が、広東省の工場を直撃している。

 2)中国政府が発表している都市部の失業者には、故郷に引き揚げた農民工は含んでいない。そのため、国家統計局が発表する失業率は低い数値となる。中国のシンクタンクによると、中国全土の実際の失業率は20%余り、失業者は7,000万人を超えるという試算がある。

 3)政府は危機感
  ・習近平指導部は5月、重要政策を決める全人代(全国人民代表大会)を2ヶ月遅れで開催したが、例年示してきた経済成長率の数値目標を示せなかった。新型コロナ感染拡大の影響が、読み切れなかったからだ。これは、強気の習近平国家主席と現実の李克強首相との意見が割れたためという説もある。

  ・一方、雇用対策を徹底する方針を繰り返し強調した。雇用の問題を放置すれば、労働者の不安が高まり、その矛先が政府に向かいかねないという危機感を持っているからだろう。すでに、一部地域では不満を訴える抗議活動も起きていると香港メディアが伝えた。

 4)「世界の工場」と言われてきた広東省で、生産を支えてきた農民工は工場に戻れるのか、その先行きは見通せない。

●2.中国を悩ますアフリカ諸国に対する不良債権問題
 1)中国は2000年から2017年にかけて、アフリカ諸国に合計1,460億ドル(約15兆6,200億円)を融資した。

 2)この大半が未返済と考えられる。

 3)返済策として、2018年にエチオピアに対して行った「低金利で返済期限を繰り延べる」方式から、新型コロナ危機により「債務免除」という寛容さを示す要請が高まっている。

■III.日本株式市場
●1.日経平均6月16日の+1,051円高の要因と、反動に注意
 1)急騰の背景の主因は、ランチタイム中に報道されたトランプ米政権の1兆ドル(107兆円)インフラ投資である。日銀の政策決定会合で決めた35兆円増の企業の資金繰り支援策の影響はさほどでもない。

 2)注意したいのは、あくまで「米国の巨額インフラ投資」であって、これが『日本経済に直接効果が及ぶことがない』のに日経平均が大幅上昇した点に、注意が必要。外資系の超短期筋の買い仕掛けと思われるので、いずれ反動安となる公算がありそう。

 3)内外の短期筋のマネーゲームが、先物に集中して相場をリードしていることに留意。

●2.日本経済は上方修正も、回復の見通しは不透明
 1)5月輸出はコロナの影響で前年同月比▲28.3%減、輸入は▲26.2%減、貿易収支▲8,334億円の赤字。下げ幅は10年7~8ヶ月ぶりの下落率となった。
  ・各国で経済活動再開の動きがあるが、新型コロナによる貿易不振は出口が見えない。

 2)日銀が議事録公表「新型コロナ影響が長引く可能性」など指摘。
  ・企業などの資金繰りが、かなり長い期間にわたって支援する必要が生じる可能性。
  ・影響が長期化すれば、企業の資本が毀損、貸出債権が不良債権化するリスクに注意。企業や金融機関の財務基盤が悪化しないか、目配りが必要。

 3)6月の日本景気判断の基調判断を2年5ヶ月ぶりの上方修正
  ・文言は「下げ止まりつつある」として、4~5月に使った「悪化」の文言を削除した。
  ・内需の悪化は歯止めがかりつつあり、2~3ヶ月先の先行き判断は大きく改善した。
  ・ただ、輸出や生産、雇用では改善の動きが鈍く、回復の見通しは不透明のままだ。元の姿に戻るには、まだ時間が必要。

 4)なお、4月の日本の失業者数は652万人と悪化している点に注意したい。

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)
  ・6758 ソニー       イメージセンサーはカメラの重要部品で需要は拡大基調。
  ・7725 インターアクション イメージセンサーの製造用検査装置を手掛け、受注好調。
  ・9519 レノバ       太陽光・バイオマス・洋上風力発電に期待。

執筆:中島義之(なかしま よしゆき) 

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