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ソフトバンクGと孫会長の天国と地獄 (10) 弱り目に、祟り目 尽きない悪夢

2020-05-22 12:17:48

 「ビジョンファンドへの情熱が私の情熱の97%。ほとんど頭も胸もいっぱい」とソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が語ったのは、僅か1年前の5月9日。19年3月期の連結決算で、売上高が対前期比5%増加、営業利益が同81%の増加となって初の2兆円超えとなり、過去最高益を記録した決算会見だった。振り返ってみると、この時点がSBGと孫会長にとっての天国だったようだ。

【前回は】ソフトバンクGと孫会長の天国と地獄 (9) ソフトバンクGとヴィジョンファンドに漂う懸念!

 劇的な業績向上の推進力となったのは、17年5月に運用を開始したソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)だ。10兆円ファンドとして知られるSVFは、19年9月末までの2年4カ月で投資枠の上限に達して運用を終了、ベンチャー企業88社に対して累計で8.5兆円の投資を行っていた。

 この投資ファンドが、連結営業利益の53%を占める1兆2566億円の利益を叩き出した。ちなみに、SVFの投資先88社全てが利益につながった訳ではない。その時点で37社の投資先が合計で1.8兆円の利益を計上したものの、評価減に至った投資先が22社で合計0.6兆円の損失を計上した。

 つまり、世間を刮目させた超ド級の好決算となった19年3月期でも、投資先の中で評価益を計上したのは全体の42%に止まり、25%に当たる22社は孫会長の目利きをもってしても当てが外れたということだ。残りの29社は投資後の動きがほとんど現れないような運用期間だったのだろう。

 半年もしないうちに舞台は暗転した。新規株式公開(IPO)で含み益を嵩上げする筈だったウィーカンパニーに、放漫経営が発覚して9月末に上場延期に追い込まれた。1月時点では470億ドル(約5兆円)と評価していたウィーカンパニーの評価額は、9月には78億ドル(8400億円)まで下落した。

 その後SBGは投資のセオリーに反して、2度としないと前振りを付けた上で、ウィーカンパニーに巨額の救済支援を決定した。ところが、その後はSBGとウィーカンパニー創業者の思惑の相違で、訴訟に持ち込まれるほどにこじれた関係が表面化している。

 年明けに世界を震撼させている新型コロナウイルスが、SBGを更なる窮地に追い込んだ。18日に開催されたSBGの20年3月期連結決算のオンライン会見で、通期の営業損失が1兆3646億円、最終損失が9615億円と発表された。特に目に付くのが1~3月期の最終損益が1兆4381億円の赤字になったことで、コロナショックによる影響の甚大さを印象付けると共に、日本企業が計上した四半期の赤字額で過去最大を記録するというおまけまで付いた。

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