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相場展望5月7日号 米国・日本株の振り返りと、2~3番底の予想シナリオ 「日経平均上昇」と「1株利益(EPS)低下」の共存は矛盾

2020-05-07 07:07:49

■I.米国株式市場
●1.NYダウの振り返りと、今後の予想シナリオ
 1)(1)2009年3月のリーマンショック安値6,469ドルから、11年かけて3段上げ2020年2月23日に29,568ドルと、+457%上昇した。
   (2)新型コロナのパンデミックをキッカケとして、2020年3月23日の18,213ドルとわずか約1ヶ月で▲38.4%下落と暴落した。
   (3)暴落の反騰で4月29日に24,633ドルと、+38.4%上昇となった。

【前回は】相場展望5月1日号 日経平均PERから見ると、すでに割高 米欧日の中央銀行からの過剰マネーに、踊らされない様に

 2)今後のシナリオ
  (1)長期間の上昇基調に亀裂が入ったため、戻り一巡後に、さらに2段下げを想定。
  (2)5~6月下げ2番底 ⇒ 7月戻り試し ⇒ 8~9月に3番底 ⇒ 10月以降本格上昇

●2.米NYダウのPERが高水準の19.89倍(4/30)に到達し、下落リスクが高まる
●3.4月米供給管理協会(ISM)指数
 1)製造業総合景況指数:3月49.1⇒4月は41.5に低下(市場予想36)

●4.新型コロナ関連
 1)米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は『第2波』の発生を確信していると話した。

 2)ウイルス発生源の主張でトランプ政権と中国の対立激化が懸念。

 3)米経済活動再開の動きが出てきた。

 4)世界保健機構(WHO)は6日、制限措置緩和を慎重に進めないと、新たな都市封鎖に舞い戻るリスクがある、と警鐘を鳴らした。

●5.企業業績(1~3月期)
 1)米航空大手4社  全社で▲4,800億円超の赤字、新型コロナで旅行需要が急減し打撃。

 2)配車大手ウーバー 新型コロナ禍で3,700人削減、CEO報酬返上。

●6.経営破綻
 1)米連邦破産法11条適用の申請(日本の民事再生法に相当)
  ・Jクルー   米衣料品大手。新型コロナが引き金で、全米規模の小売業者。
  ・ゴールドジム 米スポーツジム運営大手。世界700ヶ所でジムを展開。

■II.中国株式市場
●1.中国、5連休「収束ムード」で1億2,000万人が大移動 ⇒ 新型コロナ感染2波の恐れ
 1)前年同期の3分の1に留まるとはいえ、名所に観光客殺到。

 2)2次感染拡大に注目。

●2.米国は、新型コロナを巡る中国の対応に対して懲罰的措置を取る可能性あり
 1)検討措置内容
  (1)対中国への関税引き上げ
  (2)中国政府に対する損害賠償請求
  (3)世界のサプライチェーン(供給網)から中国排除への取組みの加速化
   ・調達・製造について、中国から米国回帰や他地域に移すように企業に働きかける方法模索。
   ・方法には、税制優遇措置や国内回帰に向けた政府補助なども検討。

 2)米中対立の再燃が懸念される。

 3)国連の統計では、中国は2010年に米国を抜いて世界最大の製造国として台頭。

●3.新型コロナ後の中国
 1)中国の生産力の低下(欧米は中国一辺倒を見直し)
  ・世界のサプライチェーンの見直しで、米欧日が中国に投資した生産拠点を中国外への移転が加速する。
  ・移転先は、米欧日の自国や東南アジアに分散化。

 2)中国の貿易黒字縮小が加速
  ・生産拠点の国外移転にともない、中国は生産能力と輸出低下に見舞われ、中国は貿易黒字確保に腐心することになる。

 3)中国の膨張する軍事・対外支援政策が曲がり角に直面
  ・今まで中国は、米国から得た巨額の貿易黒字を財源として、軍事・対外支援の膨張を果たすことで国威を高揚し影響を拡大してきた。

 4)急速な雇用減が社会不安を招き、不満が一党独裁の共産党支配に向かうリスク
  ・中国は世界の工場になることで、高い経済成長率が実現でき、雇用増大を図ることで国民から中国共産党の信頼を得てきた。 
  ・また、中国は投資に対して巨額の補助金等を出すことで生産拠点の誘致・強化を果たしてきた。
  ・生産移転は即、失業問題(⇒国内不安定化)に直結する。

 5)中国の打開策
  ・「中国製造2025」計画の下、巨額の補助金で「半導体の国産化」を軸とした製造強国を目指している。

 6)中国包囲網の行方
  ・米欧は、(1)中国による兵器の開発と(2)米欧の技術の盗み、を非常に警戒している。
  ・米欧が露との冷戦期に共産国への軍事・戦略物資の輸出規制をしたココム(COCOM)を中国締め出し策として再現すれば、中国は完全に孤立し、大きな打撃を受ける。

続いて、「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ

■III.日本株式市場
●1.日経平均の振り返りと、今後の予想シナリオ
 1)三尊天井を形成し、下落の方向性を示唆
  (1)三尊 2018年01月 24,129円。
       2018年10月 24,448円
       2020年01月 24,115円

 2)新型コロナ感染拡大と原油安でNYダウ下落したのを起因として
  (1)1月17日高値24,115円から、3月19日の16,358円までの短期間で▲32.1%暴落

 3)戻り節目の50%達成
  (1)3月23日から戻り基調となり、4月30日に節目の下落に対する50%戻り20,365円を達成(下げ幅▲7,757円に対して、上げ幅+4,007円と戻り率+51.6%)。

 4)2番底~3番底もあり得る
  (1)あふれる失業者や企業業績悪化で実態経済は厳しさを増していることに意識が傾く。大きく戻したため、反動を覚悟。

  (2)2番底としては、『5~6月』、日経平均は『15,000~16,000円』を想定。3番底は『8~9月』で、日経平均は『14,000~16,000円』を想定。

 5)10月以降は、『本格上昇』

●2.日経平均が上下する最近の構図
 1)上昇時は、(1)NY株上昇が牽引 (2)野村の買戻し。
 2)下落時は、野村の売りに対して、日銀のETF買いなど官製相場が下支えする。という構図。

●3.企業業績悪化のなかで、日本株が上昇するという、共存は矛盾
 1)日経平均PERは16.50倍(5/1)に上昇、EPSは1,189円(5/1)に低下した。
 2)結果としては、株価下落を呼び込むことで矛盾解消するのが歴史の教え。
 3)4/30に日経平均は(1)NY株大幅上昇と(2)原油高を背景に、半値戻しを一時達成したが、終値では失速して半値戻しが未達に終わったことから、当面の株価は調整に入る可能性が高い。

●4.5月1日、日経平均の下落
 1)野村が売り筆頭で、メリルリンチとモルガンスタンレーが売り方に付いたためで、市場全体が総悲観に転じたということではない。
 
●5.緊急事態宣言の延長で経済損失▲45兆円の試算(第一生命経済研究所)
 1)新型コロナ感染拡大で日本企業の経営環境が一段と悪化。
 2)事業者・個人への支援の重要性高まる。
 3)支援の穴埋めに、新型コロナ終息後は大増税が必至。

●6.東証1部上場企業で決算発表した199社、1~3月期の純利益(前年同期比)▲67.3%減
 1)新型コロナ感染拡大により事業環境が急速に悪化した。東京証券取引所第1部の上場会社で4月30日までに決算発表した199社で、全体の13.5%に当たる。

 2)新型コロナ感染防止に向けた行動自粛にともない、航空・鉄道会社では赤字転落が続出。純利益の減少率は、製造業▲59.3%、非製造業▲76.7%と落ち込んだ。

 3)東証の調べでは、2部を含めて392社が3月決算発表を当初予定から延期した。

●7.企業業績
 1)百貨店の売上高  4月は▲7割超減、「5月は数字無いかも」の声。
 2)三井物産     2021年3月期の連結純利益は前期比▲54%減の1,800億円の見通し。

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)
 1.コロナ後は、省人化投資が進展を想定
    ・6594 日本電産
    ・6954 ファナック
    ・6981 村田製作所

執筆:中島義之(なかしま よしゆき) 

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