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期待がかかるアトラス彗星 5月末に最大光度

2020-04-02 08:53:45

ニューメキシコにある天文台から撮影されたアトラス彗星と銀河M81・M82(右下)。(c) Rolando Ligustri (CARA Project, CAST)

ニューメキシコにある天文台から撮影されたアトラス彗星と銀河M81・M82(右下)。(c) Rolando Ligustri (CARA Project, CAST)

 2019年12月28日、ハワイにあるATLAS(Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)の観測によって発見されたアトラス彗星は、今年2月の時点で17等星に過ぎなかった。だが3月には8等星にまで光度を増してきており(この間の増光は4000倍にも達する)、地球に最も接近する5月23日から太陽に最も接近する5月31日にかけて非常に明るくなるのではと、専門家の間では現在注目の的となっている。

【こちらも】彗星C/2019 Y4 (ATLAS) が地球に接近中

 ATLASとは、地球に接近し、衝突する恐れのある小惑星を衝突の直前(数週間から数日前)までに自動で察知するロボット探査システムで、2015年から稼働を開始している。このシステムの特徴は掃天観測と呼ばれる手法で、複数の望遠鏡で短期間に全天の星空をまんべんなく撮影し、撮影時刻の異なる画像の比較によって、恒星とは微妙に異なる動きをする小惑星を自動で検出する点にある。

 ATLASの実績は専門家の信頼に値するもので、高い評価を得ているが、中でも2019年6月にカリブ海に落下した直径4mの小惑星2019MOの発見は驚愕に値する。

 そのような優れたシステムが、今回は彗星の発見にも貢献したわけだが、このアトラス彗星の素性もまた我々に大きな期待を抱かせるのに十分なのである。というのもこの彗星の軌道は1844年の大彗星とほぼ一致するからだ。この大彗星は直径がおよそ2660~5940km程度と推定されており、アトラス彗星はこの大彗星と何らかの関係があるのではないかと考えられている。

 彗星の軌道や光度の予測は、太陽に接近するにつれて、彗星本体が太陽によって熱せられることでガスを放出し、その影響で軌道が変化するため、非常に難しい。したがって、現時点で肉眼で見られるほどの明るさになるという確実な予測をすることは困難ではあるが、1997年のヘールボップ彗星並みの明るさが期待できるのではないかともいわれている。

 地球に最も接近する5月23日は新月であり、夜空も暗く、彗星観望の条件としては最高ではある。日本でも見られる位置にあり、同じく日本で肉眼で見ることができたヘールボップ彗星から23年ぶりに、我々はその雄姿を観られることになるのかもしれない。

 新型コロナウィルスの脅威は日本人が楽しみにしていた東京オリンピックを延期に追い込んだが、その代わりに宇宙の神様は私たちに粋な計らいをしてくれているのかもしれない。5月下旬を楽しみにしていよう。

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