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少子化進捗に伴う「廃校」問題を考える

2020-03-04 07:39:16

画像はイメージです。

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 少子化時代の進捗は「廃校」という問題を産み落としている。

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 文部科学省の「文部科学統計要覧」は、こんな実態を浮き彫りにしている。

★1989年(平成元年)の全国の小学生数は約960万人/中学生約561万人。対して2017年(平成29年)は、約3分の2の644万人余/約4割減の333万人余。

★89年度の学校数(国・公・私立)計1521校が、17年度には977校と約64%に減少している。540校余りが廃校となっている。

★16年5月1日時点で廃校は「再活用されている70・6%(4198校)」「再活用の用途未定21・2%(1260校)」「再活用用途決定済み5・3%(314校)」「取り壊し予定2・9%(171校)」という状況。

 少子化進捗の影響を調べている中で、記した様な事実に直面した。だがその限りでは「都市部への人口集中+少子化=地方の廃校増加」と捉えた。が、廃校数が多い自治体を調べ驚いた。1位:北海道/2位:東京都/3位:岩手県。全国に共通した問題なのである。

 文科省も『~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクト』を立ち上げている。地方公共団体の活用方法。利用者を募集している未活用の廃校設備等。そうした情報を集約し、一覧で公表。マッチングを進めようという枠組みだ。隔靴掻痒の感もあるが・・・

 幸いこんな事例を知った。04年10月に廃校となった東京・世田谷区の旧池尻中学校がある。現在は「世田谷ものづくり学校」に生まれ変わっている。世田谷区が千代田区に本社を構え、不動産コンサルティングで定評があった開地総合企画に相談したのが契機だった。

 開地総合企画は「プロの目」から1975年建築という築古校舎に改修費5000万円を投じ、「一般オフィス」「(スタートアップ前の事業者も使いやすいフリーアドレス型の)コワーキングスペース」「(スタートアップ後の事業者向けに環境を整備した)創業支援ブース」を用意した「世田谷ものづくり学校」を開設(法人化)した。

 担当者は狙いを「周辺には自宅で仕事をしているデザイナー、クリエイターが多かった。最寄り駅は東急線の池尻大橋で三軒茶屋と渋谷の間にあり、若者が集まりやすい。ものづくりを行う(若手)起業家に利用してもらい、エリアの産業振興の拠点にしたいと考えた」としている。

 入居者相互が、あるいは地域と入居者が接点を持ちやすいように各種のイベントも開催している。「当初は雨漏りに悩まされた」こともあったし、いまなお廊下等の共有部分は中学校時代同様に冷暖房なしのまま。だが60事業者が入居。「想定通りの展開になっている」とする。

 長崎県壱岐の島市から「廃校」の活用を依頼されたこともある。「壱岐の島出身の社員を雇い、Uターン職員として派遣。実績を上げることができた」とも聞いた。

 学校は、エリアを代表し象徴する建物。どんな風に変わるのかは、地域の活性化にも大きく影響する。廃校対応を「(エリア)創生」のチャンスと捉えるべきであろう。

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