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相場展望2月3日号 FRB議長、金融相場の終焉を示唆 新型肺炎ピーク後の株価はV型回復も

2020-02-03 08:15:18

■I.米国株式市場
●1.パウエル発言は金融相場の終焉を示唆
 1)米FOMC(米公開市場委員会)後の記者会見で、パウエルFRB議長は「FRBによる資産購入拡大を4月にも終了する可能性」を示唆した。

【前回は】相場展望1月29日号 米国株に「新型肺炎」がブラックスワン? 目先は反動高も

 2)この発言によって、金融相場の終焉が近づいたとの懸念が投資家心理を冷す。業績回復期待で株価が高水準にあったハイテク株の下げが大きく、調整色強る。

 3)今回のFOMCで、行き過ぎた資金供給が適正水準に縮小されることになり、この先の米株価の上値追いは限定的となる可能性がある。

●2.NYダウ 1月30日 ダウ+124ドル高 ⇒ 1月31日 ダウ▲603ドル安
 1)30日の株式市況

  (1)米国では各国の感染防止策で新型肺炎を封じ込められるとの楽観論が優勢。
  (2)マイクロソフトやコカ・コーラの好決算発表を好感して株価上昇。アマゾンも好決算発表。

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 2)31日の株式市況

  (1)WHOの緊急事態宣言と中国全土への新型肺炎拡大により、米政府は中国に対する渡航制限等を発表。
  (2)サプライチェーンとしての中国の生産・物流に対する懸念、人的交流の低下がもたらす悪影響を嫌気して株価が下落。

●3.米株式市場の楽観主義に衰え無いが、最高値更新は望めず
 1)米景気と業績改善期待感が強く、楽観主義に衰えがなく、世界株価下落の連鎖の歯止め役になっていた。

 2)FRBの資金供給の縮小と景気指標の実質的悪化に意識が傾く可能性もあり、今後の米国株の主要指数(ダウ、ナスダック、SP500)最高値更新は望めず。

●4.米国、世界保健機関(WHO)にならい新型肺炎で緊急事態宣言、2月2日実施
 1)内容:(1)過去14日以内に中国を訪れた外国人は、入国を暫定的に禁止。
      (2)過去14日以内に湖北省を訪れた米国人は、帰国後14日間は隔離。
      (3)湖北省以外の中国を訪問した米国人も、14日間は自宅などで待機。

●5.米政府、中国渡航の中止勧告、新型肺炎拡大で
 1)米国務省は30日、新型コロナウイルスによる肺炎感染拡大を受け、中国への渡航情報を見直し、危険度を最も高い最高レベル「渡航禁止」に引き上げた。

 2)米から中国への渡航制限が、長期化すれば米経済にも影響を及ぼすのは必至。

・続いて、「中国市場」の分析へ

■II.中国株式市場
●1.肺炎拡大懸念から株価指数は大幅安
 1)香港や台湾などアジアの主要株価指数がリスク回避で軒並み大幅に下落した。

 2)春節で休場だった上海総合指数の春節明けの株価指数に注目。

●2.中国経済は新たなリスクを抱え、減速加速
 1)1月中国・製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.0で、昨年12月の50.2から低下した。(ただし、50.0は新型肺炎の本格流行前の数値である)米中貿易摩擦は緩和したものの、輸出受注が減少、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が中国経済の新たなリスクに浮上した。

 2)野村証券のエコノミストは「製造業とサービス業のPMIは新型コロナウイルスの影響で2月と3月に大きく落ち込むと予想している」としている。

 3)ただ、建設部門指数が59.7と前月56.7から上昇しており、地方政府が新規インフラ事業に着手した可能性を示している。

●3.WHOは新型肺炎で緊急事態宣言したが、渡航と貿易の制限は勧告せず
 1)新型肺炎リスクで、中国の国内総生産(GDP)の悪化は免れず。

●4.春節(旧正月)を延長したが
 1)中国政府は春節休暇を3日間延長し2月2日までとしたが、多くの企業は2月10日までは業務再開しない見通し。

 2)2020年の中国の自動車生産が▲3%減少すると予想している米自動車部品企業もある。特に、湖南省は中国全体の自動車生産の9%近くを占める産業集積地でありホンダ(3工場)、ルノー、など多くのメーカーが工場を持っている。

 3)台湾の鴻海精密工業もアップルなどスマホ生産工場が中国本土にあるため、生産調整に追い込まれるということで株価が▲9.9%下落した。

 4)中国の生産工場で最も怖いのは、従業員の新型肺炎の罹患による操業休止の長期化である。

・続いて、「日本市場」の分析と「注目銘柄」へ

■III.日本株式市場
●1.日経平均株価は大幅安
 1)1月30日(1)世界的な肺炎拡大懸念 (2)主要企業決算(2019年4~12月期)
 の発表を受け、先行き警戒感から売りが出て▲401円と大幅安の22,977円。

 2)NYダウも30日に▲603ドルと大幅下落し円高も受け、2月3日日経平均は大幅安を予想。(30日シカゴ日経先物終値は大幅安の22,705円)。

●2.ガートナー社報告
 1)「5G」で過度の期待がピークを迎え、今後は熱狂的な期待が冷めると予想。加えて1月30日は、外国人売りと新型肺炎で「5G関連銘柄」が過剰な株価から大幅下落。

 2)ただ、「クラウド」は市場への浸透が進むと報告 

●3.先物外資系
 1)1月30日は(1)台湾と香港株の大幅安と(2)日本国内の新型肺炎の感染拡大を
 材料にして、Cスイスの売りが爆発した。最近は買い越しだった野村も大量の売り越しに転換したこともあり大幅下落。

 2)米株価が高水準にあるにもかかわらず、日本市場では外資系の売り越しが続いていることから、外資系のハシゴ外しの様相が濃くなってきた。

●4.新型肺炎の経済への影響の実態
 1)JALでは新型コロナウイルスによる広がりにより、中国便の需要が減ったため、運休や減便を検討する。2月便の予約は1カ月前比▲25%減っているが、日を追うごとにキャンセルが相次いでおり、異例の状況となっている。

 2)2018年に海外に出かけた中国人旅行客数は約1億6,300万人で、SARSが流行した2003年は2,000万人に過ぎなかったことを考えると、今後の影響は大きい。中国人旅行客は2018年の春節期間中に1,500億ドル(約16兆3,500億円)を支出した。

 3)旅行客減少の影響を受ける業種は、旅行、航空、化粧品、百貨店、ホテル、観光施設など多岐にわたる。

 4)今後、渡航制限や入国制限などで世界の生産・販売活動や消費など経済に与える影響は大きくなると思われる。

●5.日経平均株価は新型肺炎患者数がピークとなるまで下落 ⇒ 以降はV型の急回復
 1)日経EPS(1株利益)は企業業績悪化の影響を受けて低下し、株価には負。(2019年10月1日 1757円 ⇒ 2020年1月30日 1,635円)この要因もあって、昨年終盤から今年初めの米株価との乖離拡大を生じた。

 2)米イランとの対立と違い、今回の新型肺炎は中国と日本など経済に直接的に実害をもたらすことから、日経平均に対する外国人売りは続くと考えられる。

 3)新型肺炎も加えて、当面は下値模索となる可能性高い。日経平均株価の下値はSARS時の▲14.3%下落の20,600円とみる。

 4)下落期間は新型肺炎ウイルスのよる患者数がピークとなるまでの春頃を想定。株価は患者数のピーク時に底値形成し、そこからV型に急回復するとみる。

■IV.注目銘柄(株式投資に際しては自己責任でお願いします)
 ・7518 ネットワン   循環取引発覚で嫌気され株価急落したが、業績は好調。
 ・9519 レノバ     再生可能エネルギー事業が堅調。
 ・3993 PKSHA    業績は堅調ながら、株価は売られ過ぎ。

 *上記株式は、株式市場が全体的・個別株的に弱くなった時点が買いのタイミング。

執筆:中島義之(なかしま よしゆき) 

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