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「先に要件を言わないコミュニケーション」の不快

2020-01-27 19:01:49

 友人や知人から、要件を言われずに「明日時間ある?」などと先に予定を聞かれた経験は、多くの人にあると思いますが、あまり快く思わない人も多いと思います。
 私も同じで、そういう時は必ず「なんで?」「何がある?」と聞き返すことにしていますが、それは要件を聞かなければ、そのことに充てる時間があるかないかの判断ができないからです。
 仮に「予定が入っていない」としても、それも含めて自分の予定であり、その空いている時間をどう使うかは要件次第です。

 「要件を言わない電話」もあります。明らかな営業電話は放っておけば良いですが、そうではない友人や知人からのものもあります。そういう人から伝言メッセージで、「折り返してください」などと言われることがありますが、私は相手によって対応を変えます。

 日頃からメールやチャットなど使い分けて、適切なコミュニケーションをとっているような人からこんな電話が来たとしたら、よほど何かがあったのかと思って折り返します。
 反対に、いつも要件を言わない電話ばかりしてくるような人の話は、だいたいがメールで済むことか、一方的な頼みごとか、私にとって面倒なことのいずれかです。そんな時は、ショートメールなど電話以外の手段で要件を確認して、「そういう話ならメールして」などと伝えます。

 そもそもこういう人は、ほとんどが口頭か電話でのコミュニケーションです。要件が具体的でない、口で言いくるめたい、事前に言うと断られそうなど、メールやチャットなどの文字にしづらい事情があるからです。
 こういう相手のペースに合わせると、長々と話されたりして余計な時間を取られるので、ちょっと冷たかったり失礼だったりするかもしれませんが、私はできるだけ後回しにするか放置します。

 困るのは仕事の中で、特にマネージャークラスの人にこういうスタイルの人がいる場合です。
 上司から「ちょっといい?」「いま時間ある?」などと投げかけられると、部下としては対応せざるを得ないことが多いでしょうが、その要件が自分にとってはあまり重要ではない会議だったり、こちらの業務状況を考えていない指示命令だったりします。
 定時間際の急な業務指示、「とりあえず話そう」という結論のない打ち合わせなども、先に要件がわかれば回避できることがたくさんあります。こういう上司の行動が、実は企業の生産性を下げる多くの要因となっています。

 「先に要件を言わないコミュニケーション」をしてくる人に共通するのは、「相手の事情への配慮が薄い人」ということです。

 例えば、何でも電話してくる人を批判的に「電話野郎」などと言い、それは「電話は相手の時間を奪う行為」という批判ですが、これに対する反論を聞くと、「電話の方が早い」「直接話す方が伝わりやすい」などと言います。
 電話というコミュニケーションツールは、絶対に必要な場面があるとしても、「電話の方が早い」「直接話す方が伝わる」という反論には、相手がそれを望んでいるかという視点がなく、電話する側の一方的な考えでしかありません。

 今は様々なコミュニケーションツールがあり、仕事ができる人ほどそのツールを場面に応じて適切に使い分けています。
 私がやり取りしている中では、年齢が上の人ほど「とりあえず電話」をはじめとして、コミュニケーションツールの使い方に偏りがあり、面倒に感じることが多々あります。もっと使い分けを身につけなければダメだと思います。

 コミュニケーションはお互いに必要な情報のやり取りであり、「良いコミュニケーション」は、どちらかの一方的な都合では成り立たないものです。
 「まず要件から伝えること」は、そのための大事な条件です。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

執筆:小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

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