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「どこでも通用する力を身につけるため」に転職する若者たち

2019-01-21 18:09:45

 取引先の担当者で、約半年ほど一緒に仕事をしていた女性が転職するとのことです。
 その理由は「今の会社には3年くらい勤めたので、そろそろ環境を変えて違う仕事を経験するため」だと言います。
 決めている訳ではないが、独立して仕事をすることにも興味があり、私がそういう形で仕事をしていることについて、「どんな感じか」と質問されました。ただし、今のところは会社勤めでいろいろ経験してみようということです。

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 女性が在籍していた取引先は、それなりの知名度があって待遇も悪くない会社です。仕事内容に不満があった訳でもなく、人間関係も良好な様子でしたから、純粋に自分のキャリアとして、仕事の経験値を上げるための転職だと思います。

 こういう理由で転職する若者は最近意外に多いようで、ある調査によれば、希望通りの会社に入った後に転職した人の転職理由を追いかけると、そのほとんどは「どこに行っても通用する力を身につけたい」ということだそうです。「同じ会社に居続けることは危険」と考える若者が増えていると言います。

 私の身近では、わりと若い世代と定年に近い60代の両極で、独立して仕事をすることを考えている、もしくはすでに実行している人たちが結構大勢います。
 60代のシニアの場合は、それまで勤めた企業での経験を活かして独立しようという人がほとんどですが、中には企業ブランドありきの殿様商売的な発想の人や、資格があれば仕事がある、今までの人脈で紹介してもらえるなどと安易に考えている人がいて、どちらかというと独立する上でのマインドに問題があります。

 その一方、若い世代の場合は、事業内容や商材に関する課題を感じることはあっても、マインドが問題と思うことはほとんどありません。自分が起点となって、周りに過度に依存せずにできることは自己完結しようとする行動が、基本的に身についており、それまでのキャリアを見ると、今の仕事につながることがきちんと逆算して積み上げられています。
 例えばエンジニア職で商品やサービスの開発を経験し、次は営業職でセールスの現場を知り、さらに経営企画で事業計画や会社のお金の動きなどを扱う仕事を経験した上で起業するという感じです。

 それなりの規模の会社であれば、これらの仕事をすべて一社で経験することは可能ですが、それが自分のプラン通りになることはなく、あくまで会社の意向次第です。自分で計画的にキャリアを積むには転職するしか手段がありません。
 また、一社だけでの経験は、偏りがあるというのも確かです。経験を増やすという意味では、転職によって違う会社のやり方を知っておく方が望ましいでしょう。

 これを企業側から見ると、どんなに職場環境を整えても、どんなに良い待遇や良い内容の仕事を与えても、転職を防ぐことはできないということです。
 さらに、この不透明な時代背景で、「同じ会社に居続けるのがリスク」と考える人が、今後増えるのは間違いありません。同じ会社に居続けるのは、愛着という反面、会社に依存しているとも言えます。愛着があっても自分のキャリアのために依存しないとなれば、転職する人は増えるでしょう。

 私がよく相談を受けるテーマの一つに、退職者対策があります。離職率の低下が主な目的ですが、昨今の環境変化の中で、それ自体がどんどん難しくなってきています。
 これから会社が考えなければならないのは、人が辞めていく前提でどう振る舞うのかということです。

 会社に対しては愛着や感謝を持っていて、それでも辞めてくわけですから、その人といかにつながりを継続するかを考えた方が、会社にとってはプラスでしょう。仕事上の取引関係でつながっても良いでしょうし、出戻り歓迎という仕組みがあっても良いでしょう。場合によっては退職者を集めてOB会のようなコミュニティを作っても良いかもしれません。辞めていく人にとってのメリットが提供できれば、こういう取り組みも成立させることができるでしょう。

 これらは、すべての退職者に一律にできることではありませんが、これまでのように退職すると縁が切れてしまうのは考え直す必要があると思います。
 私自身、独立してから数年後に、退職した会社から仕事の依頼を頂いたことがあります。当時は「よく依頼してくれたな」という感謝がありましたし、一方で縁を切らずに付き合いを続けていた自分なりの意識もありました。

 「どこでも通用する力を身につけるため」に転職する若者を応援すれば、会社にとっても有益なことがあると思います。

執筆:小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

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