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大変なことを継続するには他人の目が必要という話

2018-06-08 18:17:36

 私が今までいろいろな企業のマネージャーと出会ってきましたが、ほとんどが現状の課題をどうしようかと真面目に考えている人ばかりでした。
 そう思っていても、なかなか思い通りには進まない訳ですが、最近、私たちコンサルタントの仲間内で話した中で、いろいろ思い当たることがありました。

 例えば、ダイエットや様々な体力アップのトレーニング、その他やらなければならないが、それが本人にとってはつらいとか、本人の意思に反したような取り組みで、それを実行するには本人の意思だけでは難しく、誰か他人の励ましやダメ出しなどの関与がなければ、これを継続するのは難しいものだという話です。

 理屈や方法がハッキリとわかっていたとしても、それを実行、継続するためには、自分一人の意識だけでは難しく、誰か他人の目が必要なのです。
 例えば、自宅学習や通信講座のようなものでは続けられないが、家庭教師や塾ならば続けられるというようなことですが、こういう事例は、まさに実行力や実践力の難しさや、知っているのとできるのとは違うということを示しています。

 これは仕事の場でも同じで、本人がどんなに真面目で信頼できる人材でも、期限の設定、上司のチェック、周りからの目など、監視があったり同伴者がいたりしないと、なかなか実践が伴わないことがあります。人間の意志の強さを、そこまで過信してはならないということです。

 よく自主性を重視することや、自分で判断させるということは、育成や成長のために大事だと言われます。それは間違いなくその通りで、私はその部分を主体で考えなければならないと思っています。
 ただし、それが100%ではダメで、誰かが見ている、誰かに怒られるなど、他から何らかの刺激が得られる環境でないと、その取り組みを継続することは難しくなります。

 最近、さかんにある会社のダイエットメソッドが宣伝されています。食事の管理とパーソナルトレーニングがメインのようですが、これもただノウハウだけを知っているだけでは結果を出すことが難しく、伴走してくれるトレーナーがいるから、継続して頑張れるということがあります。

 よほど自己管理や自己節制ができる人であればよいですが、そんな人はめったにおらず、多くの人間は自分の意思だけでは、つらいことや大変な取り組みを続けることはできません。
 どんなに意志が強そうな人でも、メンター、コーチ、アドバイザーといった存在の人がいないと、自分だけで厳しい取り組みを続けるのは難しいのです。

 今、多くの会社では、この機能を上司が担っています。
 本人に判断させて当事者意識を持たせる、自分で決めさせることが育成につながるのは間違いありませんが、それだけではうまくはいきません。
 しかし、このあたりに遠慮気味の上司が、最近増えている感じがします。

 ある程度の比率でのアドバイスや励まし、それらをさらに一歩進めた監視や強制がなければ、自分にとってハードルが高いことはなかなか成し遂げられません。
 逆に言えば、そういうものを活用すれば、人は多少つらいことでも継続して、結果を出すことができます。

 そのコツは、「監視に見えない監視」「強制と思われない強制」です。言い換えると「見守り」「アドバイス」となります。
 何か自分の課題解決に取り組んで、それを達成するには、必ず他の誰かの後押しが必要です。決して遠慮せず、かといって嫌がられないように、うまく刺激を与えることが、人材育成にとっては大事ではないかと思います。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

執筆:小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

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