「公務員だけど退職代行って利用できる?」
「そもそも、一般社員と公務員の退職ってどう違う?」
一般会社員だけでなく、公務員として勤務している方の中にも退職代行の利用を検討している方は多いでしょう。公務員が退職代行を利用する場合、一般会社員とは異なる点がいくつか存在します。
この記事では、公務員が退職代行を利用する場合の注意点や特徴、一般会社員との違いを詳しく説明していきます。
退職代行を利用する前に、一度目を通しておきましょう。
- 案内人
『退職希望者』と『退職代行業者』の懸け橋になることを目標に本プロジェクトを立ち上げる。自分たちの退職時の経験から悩みに寄り添い、安心して利用できる退職代行業者のみを紹介する。
公務員は一般会社員と何が違う?
公務員でも退職代行を利用することは可能です。しかし、一般会社員とは利用する退職代行業者や、退職代行利用後の流れが異なります。
そもそも、一般会社員と、公務員では何が異なるのでしょうか?両者の違いを確認していきましょう。
退職のルールが異なる
一般会社員の場合、退職に関しては民法第627条に基づいて規定されています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
民法627条
このように、雇用期間の定めがない正社員の場合であれば、いつでも雇用契約の解約申し入れが可能となります。企業側は申し入れがなされてから2週間で退職を成立させなくてはならないという決まりがあるのです。
そのため、退職代行業者を利用すればトラブルなく即日退職できるケースも多いでしょう。
一方で公務員の退職は民法に加え、国家公務員法・地方公務員法によって規定されていることから一般会社員とは異なる退職方法となるのです。
職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。
国家公務員法第61条
各公務員によって法律や規則が異なるため、規定された法律に則った退職手続きを行う必要があります。一般会社員とは異なり、退職代行業者と取り合って貰えない場合や、退職代行業者を利用しても職場との連絡を取り合う必要が生じる場合もあります。
公務員は「辞令」がある
公務員には一般会社員とは異なり、「辞令」があります。入庁する際に任命権者(知事、市長、教育長など)から辞令を受けるのと同じように、退職日にも辞令を受ける必要があるのです。
退職する際に、辞令交付式として退職の辞令交付を受ける必要があることから、退職代行を利用したとしても出席をするよう圧を掛けられる場合が多くなっています。
即日退職は難しい
公務員の場合、辞令交付式だけでなく、法律によって即日退職が難しい場合も多くなっています。特に有給休暇がない場合は、残りの日数分出勤する必要も生じます。
欠勤扱いにしてもらうことも不可能ではありませんが、公務員の場合は20日以上欠勤することで処罰の対象となってしまうため、欠勤は望ましくありません。
(1) 欠勤
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
人事院規則
疾病などによる例外はありますので、有給休暇の日数と照らし合わせながら退職代行の利用を検討する必要があるでしょう。
公務員の種類によっても異なることも
一括りに公務員といっても、地方公務員・国家公務員、職種によって退職代行利用が可能かどうかは異なります。
特に、以下のご紹介する自衛官と教員は注意が必要です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
自衛官の退職は厳しい
自衛官の場合は、他の公務員と異なり自衛隊法という法律によって退職の決まりが規定されています。
(退職の承認)第四十条
第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
自衛隊法第40条
特別な任務期間などによって退職を承認できない場合があるため、自衛隊の場合は退職代行を利用しても退職までに時間がかかってしまうことがほとんどです。
自衛官の退職代行について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてくださいね。
教員の退職代行も要注意
教員の場合も退職代行を利用したからといって即日退職することはほぼ不可能です。特にクラスを受け持っている場合などは、有給休暇が残っている場合でも引継ぎなどで出勤をする必要があります。
退職代行を使うことで職場との関係が不穏になり、出勤するのが辛くなる可能性もありますので、退職代行の利用が本当に必要なのかどうかを検討する必要があるでしょう。
また、教員の場合も他の公務員と同じく辞令交付式がありますので、その点も意識しておくことが重要です。
公務員対応の退職代行を利用しよう
公務員の退職代行の場合、一番おすすめなのは弁護士に依頼することです。公務員は国や自治体によって雇用されているため、民間の退職代行業者では取り合ってくれないことがほとんどです。
退職代行を利用しなければ退職意向を伝えられないという場合は、弁護士への依頼を検討しましょう。
しかし、弁護士依頼の場合は費用が割高となってしまいますよね。弁護士以外にも公務員対応が可能な退職代行業者もあるため、そちらを検討してみてもいいでしょう。
民間でも公務員対応業者はある
基本的に、公務員の退職代行は民間業者を取り合ってくれないことがほとんどです。しかし、中には労働組合が運営する公的な退職代行業者も存在します。
公務員対応可能といったサービスを掲げている退職代行業者の場合は、公務員の退職に関しても詳しいことが多いです。弁護士への依頼が難しい方は、公務員対応の退職代行業者利用を検討してみましょう。
労働組合が運営する退職代行業者に関しては以下の記事も合わせてご覧ください。
最低限の接触で退職するなら弁護士
最低限の接触で退職したい場合は、弁護士への依頼が確実です。職場が即日退職を認めれば、そのまま有給消化に入れる場合もあります。
退職の時期は、公務員の職種によっても異なりますが、どのような公務員でも共通して弁護士への依頼がおすすめであると言えます。退職を取り合ってもらえない場合などは弁護士への依頼を検討してみるといいでしょう。
また、弁護士であれば、各種ハラスメントへの対応も可能であるため、トラブルを抱えている場合は弁護士へ依頼するようにしてください。
公務員でも退職代行利用を検討しよう
公務員でも退職代行を利用することは可能です。ですが、公務員の職種によっては退職代行を利用しても即日退職が難しいことがほとんどです。
一般会社員とは異なり、民間の退職代行業者では取り合って貰えないことも多いため注意が必要となります。法律に則りながらも、満足のいく退職ができるように、弁護士や公務員対応の退職代行業者を利用しましょう!