DeepSeek、Huawei「Ascend 950」向け開発ツール群を公開 TileLangなど6件

2026年10月3日 23:01

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記事提供元:Tech Times

Photo by Solen Feyissa on Unsplash

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DeepSeekは9月30日、HuaweiのAIチップ「Ascend 950」向けに、TileLangを含む6つの開発コンポーネントをオープンソースで公開した。計算処理からチップ間通信までを対象とし、Huaweiも開発を支援した。開発者がAscend向けのAI処理を実装するための選択肢が広がる。

■計算・通信を担う6つのコンポーネント

公開されたのは、TileLang、DeepGEMM-Ascend、DeepEP-Ascend、TileKernels、FlashMLA、DeepSelectの6件だ。DeepSeekは、従来NVIDIA製GPU向けに公開していたツール群に対応するAscend向けの構成として説明している。

DeepGEMM-Ascendは、AIモデルの学習や推論で使う行列演算を担う。公開されたリポジトリによると、既存のDeepGEMMと同じAPIを使え、BF16、FP8、FP4形式の行列演算に対応する。DeepEP-Ascendは複数のチップを使う際の通信を扱い、学習と推論の両方を対象とする。

TileKernelsはベクトル演算やメモリアクセス、FlashMLAは注意機構の計算、DeepSelectは必要な要素を選び出す処理に関わる。DeepSeekはFlashMLAのAscend向けリポジトリで、疎な注意機構に使うカーネルを公開した。これは、長い入力を効率よく処理するための計算の一部を担う。

DeepSeekによると、Huaweiは開発全体を技術面で支援した。両社はAscend 950を128基使う構成で、計算処理とチップ間通信の最適化にも取り組んだ。公開されたツール群は、Ascend向けの基盤ソフトウェアであるCANNの上で利用する。

■TileLangが広げる開発先

TileLangは、AIの計算を実行する小さなプログラム「カーネル」を記述するための言語だ。北京大学などの研究者による2025年の論文は、データを小さなまとまりである「タイル」として扱い、計算の流れと、処理をハードウェアへ割り当てる方法を分ける設計を説明している。

開発者は計算の流れを記述し、コンパイラが対象機器に応じた割り当てや同期の多くを処理する。TileLangの公開資料にはNVIDIA CUDA、AMD ROCm、Apple Metalが対応先として載っており、9月30日にはAscend 950への正式対応が追加された。Ascend向けにはCANNなどの実行環境が必要となる。

この仕組みは、同じ言語を複数のハードウェア向け開発に使う道を広げる。DeepGEMM-AscendのAPI互換も、既存のDeepGEMMを使う開発者には移行時の手掛かりになる。一方、実際の移行作業は、使うカーネルや機器固有の機能、求める性能に応じて変わる。

■CUDAの蓄積とオープンソースの狙い

NVIDIAはGTC 2026で、CUDAに関わる開発者が600万人を超えると説明した。CUDAにはcuDNN、cuBLAS、NCCLなど、AIの計算や通信を支えるライブラリが蓄積されている。開発者が使い慣れたツールや既存のコードも、ハードウェアを選ぶ際の重要な要素だ。

米戦略国際問題研究所のグレゴリー・アレン氏は2025年4月の米議会証言で、DeepSeekの技術力とオープンソースの活動がHuaweiのCANN環境の改善を後押しし得ると述べた。同時に、CUDAから全てのAI処理を移すには数年かかる可能性が高いと見積もった。

DeepSeekがツールを公開したことで、開発者はAscend向けの実装を調べ、改良に参加できるようになった。複数の機器に対応するTileLangでは、ほかの機器向けに得た開発経験も生かしやすい。今後の使いやすさは、対応する処理の範囲や、実際の機器上での性能改善に左右される。

■DeepSeek V4への対応と学習の動向

DeepSeekは4月24日、長さ100万トークンの入力に対応する「DeepSeek-V4-Pro」と「DeepSeek-V4-Flash」のプレビュー版を公開した。Huaweiは同日、Ascendのスーパーノード製品群が両モデルに対応したと発表した。TrendForceによると、Cambricon、Hygon、Moore Threadsも公開時に対応を進め、Moore Threadsは北京智源人工知能研究院のFlagOSを使って自社製チップ上での推論に対応した。

Huaweiは2027年にAscendを使ったモデル学習が広がるとの見通しを示している。今回のDeepEP-Ascendも学習と推論の双方を用途に掲げる。ソフトウェアの対応範囲が広がるなか、大規模な学習でどの程度の性能と安定性が得られるかが、今後の採用を左右する。

Bloombergは9月、DeepSeekが内モンゴル自治区のデータセンターに少なくとも16万基のAscend 950DTを導入する計画だと報じた。同報道によると、現時点でDeepSeekがそのチップを学習に使う計画はなく、モデルの運用に充てる方針だ。HuaweiはAscend 950DTを2026年第4四半期に投入する予定としている。

■公開ソフトの利用とデータの扱い

公開された開発ツールを自社の環境に導入して使う場合、モデルの入力データをどこで処理するかは、その運用環境によって決まる。DeepSeekのオンラインサービスやAPIを利用する場合は、同社のサービスにデータを送るため、導入形態ごとに扱いを確認する必要がある。

DeepSeekのプライバシーポリシーは、同社が収集する情報を中国国内のサーバーに保存すると説明している。開発ツールを使った自社運用と、同社のサービスを利用する運用では、データの流れが異なる。組織で利用する開発者にとっては、ツールの動作と併せて、データの送信先や社内の利用条件を確かめることが実務上の論点となる。

元記事: DeepSeek and Huawei Open-Source Toolkit Lets Developers Ditch CUDA Without Rewriting Code

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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