【視点】米家計、投資資産取り崩しの長期傾向続く 2019年の2倍超に

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米国で、株式などの投資資産を取り崩して生活資金に回す傾向が長期的に継続している。JPMorganChase Instituteによると、2026年2〜4月に投資口座から当座預金口座へ資金を純移動した人の割合は8.2%と、2019年同期の4.0%の2倍超、2015年同期の2.4%の3倍超となった。2025年初めには株安に伴って一時的に低下したものの、その後再び上昇した。
投資口座からの資金が家計支出に占める割合も高まっている。調査対象となった当座預金口座からの支出に対し、投資資産からの資金流入は2026年4月時点で6.8%に相当した。2019年4月は3.5%、2015年4月は2.3%だった。
JPMorganChase Instituteは、2015〜26年のチェース銀行の匿名化された当座預金口座2000万件超を分析した。取り崩しは高齢者や高所得層で特に目立つものの、調査対象となったすべての年齢層と所得層で増えている。資金は証券口座と退職口座の双方から当座預金口座に移されている。
同研究所のウェルス・アンド・マーケッツ・リサーチ・ディレクター、ジョージ・エッカード氏は、株式が家計資産に占める比重の高まりを背景に、金融市場と実体経済の結び付きが強まる可能性があると指摘した。投資口座から当座預金口座への資金移動についても、そうした変化を示す動きとの見方を示した。
背景には、近年の米株式相場の大幅な上昇がある。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、S&P500種株価指数は2022年に19.44%下落した後、2023年に24.23%、2024年に23.31%、2025年に16.39%上昇した。2026年は9月28日までに約12.2%上昇していた。
株価上昇によって保有資産の価値が高まると、家計が豊かになったと感じて消費を増やす「資産効果」が生じることがある。一方、消費と株式市場の結び付きが強まれば、大幅な株価下落時には消費が押し下げられる可能性も高まる。
アトランタ連銀が9月2日に公表した研究では、株式市場の変動に対する米国の実質個人消費の感応度が過去約30年間で大きく上昇したと分析した。家計資産に占める株式の重要性が増したことなどが背景にある。
同研究のシナリオ分析では、S&P500が25%下落した場合、株式資産効果によって実質個人消費の伸び率が通常時の想定から約3ポイント押し下げられると試算した。平均的な実質消費成長率2.75%を前提としたケースでは、年間の実質消費成長率は約マイナス0.25%になる。個人消費は米国内総生産(GDP)の約3分の2を占めるため、株価下落による消費への影響は景気全体にも波及し得る。
JPMorganChase Instituteの調査では、投資口座から移された資金が具体的に何に使われたかまでは特定できない。食料品や日常の請求書から旅行、高額品まで幅広い用途が考えられる。ただ、当座預金口座の残高はおおむね安定しており、投資口座から流入した資金が単に預金として積み上がっているわけではないと分析している。
所得上位10%では、2026年2〜4月に投資口座から純取り崩しを行った人の割合が20.3%となり、2015年同期の6.6%から大幅に上昇した。所得が中央値未満の層でも、同じ期間に1.1%から4.1%へ上昇した。
特に変化が大きいのが高所得の高齢層である。65歳以上で所得上位10%に属する人のうち、2025年に投資口座から純取り崩しを行った割合は37.3%と、2019年の24.5%から上昇した。投資口座からの資金流入は、この層の年間支出の14.9%に相当し、2019年の8.0%から拡大した。
若年層でも投資資産を取り崩す動きは増えている。25〜44歳で所得が中央値未満の層では、2025年に純取り崩しを行った割合が7.1%となり、2019年の2.9%から上昇した。
一方で、若年層では投資を増やす人も増加している。25〜44歳のうち、投資口座への純入金があった人の割合は2025年に16.6%となり、2019年の8.5%からほぼ倍増した。高齢層では資産の取り崩し、若年層では新たな投資の拡大が進んでおり、投資資産が家計の貯蓄と消費の双方で果たす役割が大きくなっている。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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