宇宙データセンターStarcloudのAI計算装置、米Fireflyの月周回機に搭載へ 2028年以降に実証

2026年10月1日 23:36

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記事提供元:Tech Times

月周回軌道を飛行するFirefly Aerospaceの軌道機『Elytra』のイメージ。StarcloudのAI計算装置『SC-1L』を搭載し、軌道上で画像データを処理する計画だ(Credit: Firefly Aerospace)

月周回軌道を飛行するFirefly Aerospaceの軌道機『Elytra』のイメージ。StarcloudのAI計算装置『SC-1L』を搭載し、軌道上で画像データを処理する計画だ(Credit: Firefly Aerospace)[写真拡大]

米航空宇宙企業Firefly Aerospaceは2026年9月30日、宇宙空間にAI向けデータセンターを構築することを目指すベンチャー、米StarcloudのAI計算装置「SC-1L」を月周回機「Elytra」に搭載する商用契約を発表した。打ち上げ目標は2028年以降で、月周回軌道で画像データを処理し、その結果を地球へ送る計画だ。

■月周回軌道で画像を処理する計画

SC-1Lは、Fireflyの月探査ミッション「Blue Ghost Mission 3」で、軌道機Elytra Darkに搭載される。Fireflyによると、機体上の視覚システム「Solux」が取得するデータをSC-1Lに取り込み、軌道上でAI処理して地球へ送信する。将来の月周辺データセンターに必要な能力を確かめる実証と位置付けている。

Fireflyの宇宙機担当バイスプレジデント、Ray Allensworth氏は、Elytra、Solux、SC-1Lを組み合わせ、月周回軌道でデータの取得から処理、送信までを実証すると説明した。Starcloudの共同創業者兼CTO、Ezra Feilden氏も、地球低軌道でのAIモデルの実行・学習実証を月周回軌道へ広げる計画だと述べている。

Soluxは、衛星測位信号を利用しにくい環境で、カメラ画像を使って宇宙機の位置や姿勢を把握するシステムだ。Fireflyは2026年6月に開発元のSpace-ngを買収した。前身の「Sol3」は2025年3月のBlue Ghost Mission 1で使われ、Fireflyによると、月面への降下中に危険を避ける機動を2回実行した。

Fireflyは別途、月の撮像サービス「Ocula」向けにNVIDIA Jetsonと子会社SciTecのソフトウェアを使い、Elytra上で画像を処理する計画も発表している。SC-1LはStarcloudが搭載する装置で、今回の契約ではSoluxのデータを扱う。いずれも月周回軌道で処理を行い、地球へ送るデータを選ぶという構成だ。

■地球へ送る前に計算する意味

地球と月の平均距離は約38万4000kmで、光が進むだけでも片道約1.28秒を要する。月周辺で取得した画像をいったん地球へ送り、分析結果を月へ戻す運用には、通信時間に加えてデータの送信量も関わる。

SC-1Lの計画は、画像を取得する機体の近くで処理し、必要な結果を地球へ送るものだ。データの発生場所に計算装置を置く点は、地上で使われるエッジコンピューティングの発想に通じる。Fireflyは、この構成で月からの通信量に制約がある場合にも、分析結果を届けやすくするとしている。

Starcloudは2025年11月、NVIDIAのH100 GPUを載せた初の衛星「Starcloud-1」を地球低軌道へ打ち上げた。同社によると、軌道上で言語モデルの学習と推論を実行した。SC-1Lでは、この軌道上計算の取り組みを月周辺のデータ処理へ広げる。

高性能な計算装置の運用には放熱も欠かせない。StarcloudのPhilip Johnston CEOはMcKinseyのインタビューで、冷却液でチップの熱をラジエーターへ運び、赤外線として宇宙空間に放射する方式を説明した。真空中では機体の外へ熱を逃がす際に熱放射を利用するため、計算能力を増やす計画ではラジエーターの面積も設計上の要素となる。

■NASAの月探査後もElytraを運用

Blue Ghost Mission 3は、NASAの商業月輸送サービス(CLPS)の一環として、月の表側にあるグルイテュイゼン・ドーム(Gruithuisen Domes)を調べる。Fireflyは2024年12月、約1億7960万ドルでNASAから6つの科学機器の輸送・運用を受注した。着陸機Blue Ghostと探査車を使い、ドーム地形の組成などを調査する予定だ。

NASAによると、この一帯はシリカに富むマグマから形成された可能性がある。地球では似た組成のマグマの形成に水やプレート運動が関わるため、月での形成過程が研究課題となっている。探査車や着陸機の機器は、グルイテュイゼン・ガンマ山周辺の地質や物質の性質を調べる。

Elytra DarkはBlue Ghostを月周回軌道へ運び、着陸後は通信を中継する。Fireflyの計画では、月面での主要な探査が終わった後もElytraを月周回軌道で最大5年間運用し、SC-1Lの実証や撮像サービスに使う。SC-1Lの搭載契約は、月探査に使う軌道機へ商用の計算装置を加える計画だ。

元記事: Starcloud Signs First Commercial Lunar Data-Center Contract With Firefly

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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