タイ8月輸出24.3%増、56カ月ぶり高伸び AI投資で電子機器がけん引

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タイの2026年8月の輸出額は前年同月比24.3%増の346億1870万ドル(約5兆4700億円、1ドル=158円換算)となり、2021年12月以来、56カ月ぶりの高い伸び率を記録した。タイ商務省は、海外でのAI関連産業やデジタルインフラへの投資拡大が、電子機器需要を押し上げたとしている。
2026年1~8月の輸出額は2661億4970万ドル(約42兆500億円)で、前年同期比18.9%増だった。
■電子機器が輸出拡大をけん引
8月の工業製品輸出は前年同月比27.1%増え、29カ月連続で前年実績を上回った。商務省によると、コンピューター・機器・部品は42.1%増、電話機・機器・部品は151.2%増、変圧器・部品は55.6%増となった。
映像・音響機器とその部品は1155.7%増、プリント回路は126.8%増だった。商務省は、世界的なデジタルインフラとAI関連投資の拡大が電子機器・技術関連製品の需要を支えているとの見方を示している。
タイ貿易政策・戦略局(TPSO)のナッティヤ・スジンダ副局長も、海外のAI関連産業やインフラへの投資が電子機器需要の拡大につながっていると説明した。
■PCB投資が拡大、ASEANの主要生産拠点に
タイではプリント基板(PCB)を含む先端電子機器分野への投資が急速に拡大している。タイ投資委員会(BOI)によると、PCB産業への投資奨励申請は180件、総額2000億バーツを超え、タイはASEAN最大のPCB生産拠点となっている。
BOIは、従来型のPCBに加え、高密度相互接続基板(HDI)、フレキシブル基板、多層基板など、高度な電子機器やAI関連用途に対応する製品への移行が進んでいるとしている。
2026年上半期のタイへの国内外からの投資奨励申請額は前年同期比37%増の約1兆4700億バーツ(436億ドル)に達した。このうちデジタル分野は約1兆1200億バーツ(330億ドル)を占め、データセンターやデジタルインフラへの大型投資が全体を押し上げた。
■HDD生産でも世界有数の拠点
タイはハードディスクドライブ(HDD)の世界的な生産拠点でもある。BOIによると、世界のHDDのおよそ80%がタイで生産されており、Western DigitalとSeagateが大規模な生産拠点を置いている。
AIやクラウドサービスの拡大に伴い、データセンター向けの大容量ストレージ需要も強まっている。Western Digitalの2026年度第2四半期は、クラウド分野が売上高の89%を占めた。同社のアービング・タンCEOは決算説明会で、2026年分について主要顧客上位7社から確定発注を受け、生産能力がほぼ売約済みだと説明している。
同社は2027年について上位顧客2社、2028年について1社と長期契約を結んでいる。Seagateも2026年1月の決算説明会で、ニアラインHDDの生産能力が2026年末まで割り当て済みで、主要クラウド顧客との長期契約により2027年までの需要を見込めると説明した。
BOIはWestern Digitalによるタイでの235億1600万バーツ規模の追加投資を承認している。対象はアユタヤ県バンパインとプラチンブリー県のHDDおよび関連機器の生産拡張で、クラウドやデータセンター向け需要への対応を目的としている。
■米国向け48.7%増、中国向けも拡大
市場別では、8月の米国向け輸出が前年同月比48.7%増え、35カ月連続のプラスとなった。コンピューター・機器・部品、電話関連製品、映像・音響機器などが増加した。
中国向けは15.5%増だった。電話関連製品や映像・音響機器に加え、生鮮・冷蔵・冷凍・乾燥果実の輸出が伸びた。タイ南部で収穫されたドリアンやマンゴスチンの中国向け出荷回復も農産物輸出を支え、農産物は4.2%増、農産物と農産加工品を合わせると1.4%増となった。
日本向けは19.6%増、欧州連合(EU)向けは23.1%増、オーストラリア向けは81.0%増だった。一方、中東向けは7.8%減、南アジア向けは11.4%減となった。
米国は2026年7月、強制労働で生産された物品の輸入禁止措置を巡る通商法301条調査を受け、タイを含む対象国からの一部輸入品に追加関税を導入した。タイについては12.5%の追加税率が設定された一方、集積回路(IC)やHDDなど2100品目を超える製品が適用除外となっている。
米通商代表部(USTR)は別途、タイを含む16の国・地域を対象に、製造業の構造的な過剰生産能力を巡る通商法301条調査も進めている。
■AI関連ハードウェアの主要輸出国に
国際通貨基金(IMF)は2026年7月版「世界経済見通し」で、タイを韓国、マレーシア、台湾と並ぶAI関連ハードウェアの上位4純輸出国の一つに分類した。対象にはコンピューター関連機器・部品、半導体製造装置、プロセッサー、メモリーチップなどが含まれる。
データセンター投資も拡大する見通しだ。Cushman & Wakefieldによると、タイでは想定されるデータセンター容量の増加に対応するため、2026~2030年に約159億ドル(約2兆5100億円)の開発投資が必要になると見込まれている。
同社によると、タイのデータセンターの事前契約量は2025年上半期から2026年上半期にかけて9倍に増え、アジア太平洋地域でも特に伸びが大きかった。クラウドやAI関連の需要を背景に、2027年末までに約2ギガワットの新規容量が稼働する計画となっている。
タイ政府も半導体・先端電子機器産業の高度化を進めている。国家半導体・先端電子機器委員会は2026年9月、2050年までに2兆5000億バーツを超える投資を呼び込むことなどを盛り込んだ国家戦略を承認した。
■自動車輸出は7.1%減
電子機器が伸びる一方、自動車関連は弱さが残った。8月の自動車・機器・部品の輸出は前年同月比7.1%減となり、3カ月ぶりに前年実績を下回った。オートバイ・部品も12.9%減だった。
自動車・部品はオーストラリア、フィリピン、インドネシア向けなどが減少した一方、日本、米国、メキシコ向けは増加した。タイの輸出拡大は電子機器を中心に進んでおり、品目ごとの差が鮮明になっている。
商務省は、ホルムズ海峡周辺の緊張によるエネルギー・輸送コストへの影響や、米国の通商措置を今後のリスク要因として挙げている。世界的なAI・デジタルインフラ投資が電子機器輸出を支える一方、地政学や通商政策の動向が引き続き焦点となる。
元記事: Thailand AI Exports Break 56-Month Record on Pre-Sold Hard Drives and PCBs
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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