米10年債利回り5%台に急上昇、「何かが壊れる」ウォール街で警戒強まる

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米国の長期金利が急上昇し、ウォール街で金融市場への波及を警戒する声が強まっている。米10年債利回りは今週、一時5.2%台まで上昇し、2007年以来の高水準を付けた。
米財務省によると、10年物国債の指標となる固定満期利回り(CMT)は9月23日の5.11%から24日に5.18%へ上昇し、25日は5.17%となった。9月上旬には4.8%前後だったため、短期間で大幅に水準を切り上げた形である。
投資家が警戒しているのは、金利の絶対水準だけではなく、その上昇速度だ。
CNBCによると、調査会社22Vリサーチのテクニカル分析責任者、ジョン・ローク氏は最近のリポートで「何かが必ず壊れる」と警告した。
ローク氏は過去約50年間の米10年債利回りを調べ、今回のように利回りが急上昇した局面を16回特定したという。いずれの局面でも、金融市場で何らかの混乱が発生したか、その後の混乱につながったとしている。
事例には1987年の株価暴落、ドットコム・バブル崩壊、2008年の金融危機、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻に象徴される2023年の米地域銀行不安などが含まれる。
ローク氏はCNBCに対し、「昼の後に夜が来るのと同じくらい確実に、10年債利回りが上昇すると、何かが打撃を受ける」と述べ、「警戒しておくに越したことはない」と指摘した。
米10年債利回りは金融システムの幅広い資金調達コストの基準となっており、住宅ローン金利や企業の借り入れコスト、資産評価、ウォール街の各種投資・資金調達戦略に影響を及ぼす。
利回りが緩やかに上昇する場合、企業や投資家には対応する時間がある。しかし、短期間で急上昇すると、低金利や安定した資金調達環境を前提として組み立てられた投資戦略の弱点が表面化する可能性がある。
ドットコム・バブル崩壊では、過度な株価評価や利益を生み出していないハイテク企業への投機など複数の要因があり、金利上昇だけが原因だったわけではない。一方、借り入れコストの上昇も市場への圧力となった。
住宅市場を発端とした2008年の金融危機では、金利上昇の影響がより直接的だった。変動金利型住宅ローンの利用者が返済額の増加に直面し、融資基準や住宅ローンを組み込んだ金融商品の脆弱性が顕在化した。
■プライベートクレジットとAI投資に視線
現在、市場関係者が注目する潜在的な弱点の一つがプライベートクレジットである。もう一つが、急速に拡大する人工知能(AI)インフラへの巨額投資だ。
プライベートクレジット市場は従来型の銀行システムの外で急速に拡大してきた。一方、AI企業や米大型ハイテク企業はデータセンターなどのAIインフラに巨額の資金を投入しており、一部のプロジェクトでは債券発行などの借り入れや複雑な資金調達手法への依存度も高まっている。
AI関連企業による資金需要は社債市場でも存在感を増している。ロイター通信は、AIインフラやデータセンター向けの大規模な資金調達を背景に、投資家がAI関連債券への選別姿勢を強めていると報じている。
地域銀行も市場が注視する分野である。
ローク氏は、株式市場全体が安定を保つためには地域銀行の値動きが重要になるとの見方を示した。
地域銀行株で構成するSPDR S&P Regional Banking ETF(KRE)は24日、70.94ドルで取引を終えた。8月4日に付けた過去52週間の高値78.35ドルを約9%下回る水準である。
ローク氏は「特に地域銀行は、堅調さを維持するか、少なくとも問題となるような下落を避ける必要がある」と指摘。「地域銀行が下げ続け、さらに銀行株全体が下落するのであれば、強い相場を維持することはできない」と述べた。
■公益株など金利敏感株にも圧力
金利変動の影響を受けやすい業種にも売り圧力が出ている。
特に公益株は、米国債利回りが5%を超えたことで、高配当株と国債との利回り面での競争が激しくなっている。同時に、設備投資の規模が大きい公益企業にとっては資金調達コストの上昇も負担となる。
債券売りは23日に加速した。S&Pグローバルが発表した9月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は58.4と、8月の56.0から上昇し、2021年7月以来の高水準となった。
企業の投入コスト上昇も加速し、力強い景気と根強い物価上昇圧力を示したことで、FRBによる追加利上げへの警戒が強まった。
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25ポイント引き上げ、3.75〜4.00%とした。市場では、その後も追加利上げが実施される可能性が意識されている。
CNBCによると、JPモルガン・チェースのトレーディング部門も投資家に対し、債券市場のボラティリティーを注視するよう促した。株式市場にとっては金利の絶対水準そのものよりも、金利が短期間で大きく変動することの方が強い逆風になり得るとの見方を示している。
ローク氏は、今回の金利上昇がすぐに反転すると想定するのではなく、より長期的な環境変化として受け止める必要があるとの見方を示した。
「債券利回りは長期的な上昇局面にあり、債券市場も長期的な弱気相場にある」と述べている。
どの市場や金融商品が金利上昇に最も耐えられないのかは、圧力が十分に高まるまで見えてこない可能性がある。
ローク氏は「金利が上昇していることを認識し、備えておくべきだ。そして何かが壊れるだろう」と警告した。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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