米英豪の深宇宙レーダー網DARC、テキサス州に第3拠点計画 最終承認はこれから

2026年9月13日 00:16

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記事提供元:Tech Times

静止軌道付近の物体を昼夜や天候に左右されず監視する米英豪共同のレーダー網「Deep Space Advanced Radar Capability(DARC)」で、米宇宙軍は第3拠点の優先候補地に米テキサス州レイク・キカプーを選定した。必要な承認と契約締結を経て2027年に建設を始め、2029年に土木工事を終えた後、試験・評価を進めて2030年の運用受け入れを目指す。

今回決まったのは候補地であり、建設の最終決定ではない。英国の第2拠点も計画承認を待つ段階にあるため、3拠点で構成する監視網の完成時期には、今後の審査や工事、試験の進行が影響する。

■テキサス州を第3拠点の優先候補地に

米宇宙軍は2026年9月9日、テキサス州アーチャー郡のレイク・キカプーを、DARCの第3・最終拠点となる米国サイトの優先候補地に選んだと発表した。所在地はフォートワースの北西約120マイル(約193km)である。

DARCは、米国、英国、オーストラリアが協力して整備する3拠点の地上レーダー網だ。3カ国は22年間の覚書に基づいて計画を進めており、米宇宙軍が事業全体を主導する。

米宇宙軍の計画では、テキサス州での建設は契約締結と必要な承認を経て2027年に始まる。土木工事を2029年に完了し、その後に技術試験と評価を実施して、2030年に運用受け入れへ移行する予定だ。

ダグラス・シース宇宙作戦部長は、テキサス州の選定により、同盟国とグローバルな深宇宙センサーネットワークを整備する計画を維持できると説明した。エリック・“HB”・ヘルナンデス=バケロ空軍宇宙調達・統合担当次官補は、テキサス州の拠点によってネットワークの強靱性が高まり、長期的な宇宙領域把握に必要な継続的監視につながるとしている。

■昼夜を問わず静止軌道を監視

DARCは、深宇宙にある物体や活動を探知し、追跡・識別する能力の向上を目的としている。主な監視対象は、地球の赤道上空約3万5800kmに位置する静止軌道付近である。

静止軌道には、通信、気象観測、早期警戒などを担う軍事・民生衛星が配置されている。地上から見るとほぼ同じ位置にとどまるため、特定地域へ継続的にサービスを提供できる一方、軌道上の物体や衛星の接近を把握することは、衛星の安全な運用や宇宙領域の状況把握にとって重要になる。

静止軌道の監視には地上の光学望遠鏡も使われるが、一般に観測可能な時間帯や雲などの条件に影響される。DARCは電波を利用するレーダーで、昼夜や天候を問わず継続的に観測できるよう設計されている。

米宇宙軍によると、既存の地上光学システムと比べ、感度、精度、処理能力、追跡の機動性を高め、静止軌道付近にある比較的小さな物体にも対応することを目指している。3拠点が完成すれば、監視範囲を重ねながら静止軌道を継続的に観測する構成となる。

■27基のアンテナを一つのシステムとして運用

DARCの各拠点では、27基の地上アンテナを組み合わせ、一つのレーダーシステムとして動作させる。単独の巨大アンテナを使うのではなく、校正した複数のアンテナで取得した信号を統合することにより、遠距離にある物体を高い精度で追跡する考え方だ。

開発を担当するノースロップ・グラマンは2025年8月、西オーストラリア州のサイト1で、27基のうち7基を使った複数アンテナ試験を実施した。複数のアンテナを一つのシステムとして動作させ、複数衛星の動きを追跡したという。

同社によると、この試験では数週間にわたってデータの収集、分析、調整を続け、アンテナの校正と追跡技術を確認した。計画された27基すべてを使った状態ではないものの、複数アンテナを統合して運用するDARCの基本構成を実地で確かめる段階となった。

■3カ国の拠点で監視範囲を補完

最初のDARC拠点であるサイト1は西オーストラリア州に建設され、2024年12月に完成した。米宇宙軍は2025年9月、正式な試験・評価が続くなかで同サイトの早期使用を承認し、実運用を通じた習熟や検証を進めている。

運用には、宇宙領域把握を担当するMission Delta 2と、米フロリダ州エグリン空軍基地に司令部を置く第20宇宙監視飛行隊が関わっている。初期運用は、エグリン空軍基地の統合レーダー運用センターから行われている。

第2拠点については、英国防省がウェールズ南西部ペンブルックシャーのコーダー兵営を候補地としている。英国側では環境影響評価や住民・関係者からの意見聴取などが進められてきたが、米宇宙軍の9月9日時点の発表では、なお計画承認を待つ優先候補地と位置付けられている。

オーストラリア、英国、米国に拠点を分散させることで、単一地点からは見通せない範囲を相互に補う。3地点の観測範囲を重ねることは、対象物の位置や軌道を求める精度の向上に加え、いずれかの拠点で障害が発生した場合の監視能力維持にもつながる。

■宇宙監視の歴史を持つレイク・キカプー

レイク・キカプーは、米国の宇宙監視用レーダーと縁の深い場所でもある。かつて同地には、米国南部に展開された旧空軍宇宙監視システムの主送信施設が置かれていた。

旧システムは、複数の送信・受信施設を組み合わせ、地球を周回する人工物体を探知するレーダー網だった。レイク・キカプーの施設は216.98MHz付近の連続波を使用し、放射電力は768kWとされ、当時、世界で最も強力な連続波送信施設の一つとして知られていた。

この旧監視システムは2013年に運用を終了した。その後、マーシャル諸島のクェゼリン環礁では、新しいSバンドレーダー「Space Fence」が2020年3月に運用受け入れと初期運用能力へ到達した。Space Fenceは主に低軌道の物体を高感度で探知する一方、中軌道や静止軌道の物体を追跡する能力も備える。

DARCは、静止軌道付近を継続的かつ広域に監視することに重点を置いた別のシステムである。レイク・キカプーへのDARC整備が承認されれば、同地は旧レーダー網の運用終了から十数年を経て、再び米国の宇宙監視を担う拠点となる。

■完成時期を左右する承認と試験

テキサス州のサイトは、最終的な計画承認と契約締結を経て初めて建設段階へ移る。米宇宙軍の発表では、2027年の着工、2029年の土木工事完了、2030年の運用受け入れが計画されている。

一方、英国サイトも計画承認を待っており、オーストラリアのサイト1では早期使用と並行して試験や開発が続いている。このため、3拠点を統合したネットワークの完成には、各国での承認、建設、機器統合、試験・評価を順次進める必要がある。

テキサス州の選定によって、米国拠点の候補地と現時点での工程は明確になった。今後は、必要な審査と契約を完了できるか、さらに3カ国の設備を一体の監視網として統合できるかが、2030年の運用受け入れ目標に向けた焦点となる。

元記事: Space Force Closes Allied Deep Space Radar Network With Texas Site, Targets 2030 Operations

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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