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アウディ、コンパクトEV「A2 e-tron」欧州で受注開始へ―LFP電池と空力設計で高効率化

(Audi.com)[写真拡大]
アウディは、欧州市場向けの新型コンパクトEV「Audi A2 e-tron」をパリで世界初公開した。ドイツでは2026年9月10日に受注を始め、同年12月から納車する予定である。価格は3万8200ユーロ(約682万円)から。日本への導入時期や価格は発表されていない。
■初代A2の思想を受け継ぐエントリーEV
Audi A2 e-tronは、アウディの電気自動車ラインアップでQ4 e-tronの下に位置する5ドアのコンパクトモデルである。車名は、1999年から2005年まで生産された初代Audi A2に由来する。
初代A2は、アルミニウム製スペースフレームや空力を重視した車体設計を特徴としていた。新型は車体構造やパワートレインを直接受け継ぐものではないが、エネルギー効率と日常での使いやすさを重視する考え方を、電気自動車として再構成した。
車体寸法は全長4.32mで、ホイールベースは2.77m。駆動方式は全仕様で後輪駆動となる。125kW、140kW、170kW、240kWの4段階の出力と、総容量52kWh、61kWh、84kWhの3種類のバッテリーを組み合わせる。
車両はVolkswagen Groupの改良型電気自動車プラットフォーム「MEB+」を採用し、ドイツのインゴルシュタット工場で生産する。
■WLTP電費12.8kWh/100km
140kW仕様にオプションのエフィシエンシーパッケージを装着した場合、WLTPによる電力消費量は暫定値で12.8kWh/100kmとなる。アウディによると、同社の量産車として過去最少の電力消費量である。
効率向上には、パワーエレクトロニクス、モーター、トランスミッション、空力設計の改良が寄与している。パワーエレクトロニクスには、従来のシリコン系半導体に代えて炭化ケイ素(SiC)半導体を採用した。
SiCは、電力を変換する際の損失を抑えやすいワイドバンドギャップ半導体である。アウディによると、新たな変調方式によって部分負荷時のスイッチング損失を最大33%低減し、可変スイッチング周波数によって損失を最大20W削減した。
永久磁石同期モーターでは、内部の積層鋼板を従来の0.3mmから0.2mmへ薄くし、磁気コアで生じる鉄損を抑えた。ステーター巻線もスター結線からデルタ結線に変更し、効率の高い回転域を調整している。
トランスミッションには低摩擦オイルを採用し、ギア比を10.2対1とした。アウディは、パワーエレクトロニクス、モーター、トランスミッションの改良により、駆動システムの効率を従来比で最大10%高めたとしている。
■Cd値0.24の空力設計
エフィシエンシーパッケージ装着車の空気抵抗係数はCd値0.24で、アウディのコンパクトモデルとして最も低い水準となる。
車体前部には、冷却が必要ないときに閉じるアクティブクールエアインテークを備える。床下の広い範囲を覆うパネルのほか、前輪周辺の気流を整えるエアカーテンや、タイヤとホイールアーチの隙間で発生する乱流を抑える部品も採用した。
ドアハンドルはウインドートリム部分に組み込んだ翼状のセンサー式とし、車体表面からの張り出しを抑えている。こうした空力対策により、エフィシエンシーパッケージを装着しない場合と比べ、WLTP電費を最大0.9kWh/100km改善するという。
■LFPとNMCの2種類のバッテリー
52kWhと61kWhのバッテリーには、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)セルを採用する。セルをモジュールへ組み込んでからパックに収納する従来方式ではなく、セルをバッテリー筐体へ直接組み込むセル・トゥ・パック構造を用いた。
セル・トゥ・パック構造は中間のモジュールを省くことで、限られた空間にセルを効率よく配置できる。アウディは、LFPバッテリーについて、耐久性と熱安定性に配慮した構成であり、日常的に100%まで充電できるとしている。
84kWhバッテリーには、ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)系セルを採用する。84kWh仕様は170kWと240kWのモデルに設定される。
充電時にはバッテリー温度を管理するプレコンディショニング機能を利用できる。ナビゲーションで急速充電器を目的地に設定すると、到着時に適切な充電性能を発揮できるよう、走行中にバッテリー温度を調整する。
■最大航続距離は646km
52kWhのLFPバッテリーを搭載する125kW仕様のWLTP航続距離は最大423kmである。DC急速充電は最大100kWに対応し、適切な条件ではバッテリー残量10%から80%まで約24分で充電できるという。
61kWhのLFPバッテリーを搭載する140kW仕様は、WLTP航続距離が最大515kmとなる。エフィシエンシーパッケージ装着時に12.8kWh/100kmの電費を掲げるのは、この仕様である。
84kWhのNMCバッテリーを搭載する170kW仕様は、ラインアップ最長となる最大646kmのWLTP航続距離を実現する。
同じ84kWhバッテリーを搭載する最上位の240kW仕様は、WLTP航続距離が最大630km。0~100km/h加速は5.7秒、最高速度は200km/hとなる。ほかの3仕様は最高速度を160km/hに制限する。
アウディのドイツ向け製品情報では、A2 e-tronの電力消費量を15.7~12.8kWh/100km、最大航続距離を646kmとしている。実際の電費や航続距離は、選択する仕様、気温、道路状況、速度、空調の使用などによって変化する。
■V2LとV2Hに対応
A2 e-tronは、車載バッテリーから外部へ電力を供給する双方向充電に対応する。Vehicle-to-Load(V2L)では、荷室内の230Vコンセントや、充電口へ接続する別売りの放電アダプターを介して、ノートパソコン、eバイク、キャンプ用品などへ電力を供給できる。
Vehicle-to-Home(V2H)では、対応する双方向DCウォールボックスや住宅側の設備と組み合わせ、車両の高電圧バッテリーを家庭用蓄電池として利用できる。太陽光発電の余剰電力を車両に蓄え、必要な時間帯に住宅へ戻す使い方も想定する。
停電時の非常用電源として利用するには、双方向ウォールボックスに加えて、住宅側に対応機器を導入する必要がある。V2Hの利用可否や必要設備は販売地域、電力契約、住宅設備によって異なる。
■室内空間とデジタル装備
荷室容量は後席使用時が396L、後席を倒した状態では最大1336Lとなる。170kW仕様と240kW仕様には、容量13Lのフロントトランクも設ける。
シフトセレクターをステアリングコラム周辺へ配置し、センターコンソールを収納スペースとして活用できるようにした。マグネットと機械式ロックを組み合わせた「Fidlock」固定システムも採用し、カップホルダーなどの対応アクセサリーを着脱できる。
運転席には、11.9インチのAudi virtual cockpit plusと、12.8インチのMMIタッチディスプレイを組み合わせた曲面型パノラマディスプレイを備える。
センターコンソールには、スマートフォン2台を同時に充電できるワイヤレス充電トレイを設定する。Qi 2.2に対応し、対応機器では1台当たり最大25Wで充電できる。発熱による充電出力の低下を抑えるため、アクティブ冷却機能も備える。
オプションには、マトリクスLEDヘッドライト、拡張現実ヘッドアップディスプレイ、パノラマガラスルーフ、プログレッシブステアリング、可変ダンパー、Sonosのサウンドシステムなどを用意する。
■運転支援機能を用意
A2 e-tronには、アダプティブクルーズコントロール、車線維持支援、緊急ブレーキ支援、前後のパーキングセンサー、後退カメラなどの運転支援・安全機能が設定される。標準装備とオプションの範囲は仕様や販売地域によって異なる。
オプションの学習型駐車機能は、運転者が事前に操作した駐車経路を記録し、同じ場所で再現できる。リバースアシストは、狭い場所などで直前に前進した経路をたどり、車両の後退操作を支援する。
■MEB+を活用して生産
A2 e-tronは、Volkswagen GroupのMEB+を基礎とする。駆動システムやバッテリー技術の一部は、同じグループ内の電気自動車と共通する。
一方、A2 e-tronでは空力設計、内外装、装備構成などによってアウディとしての位置付けを明確にしている。MEB+を使うことで専用プラットフォームの開発を避けながら、初代A2から続く効率重視の考え方を盛り込んだ。
生産を担当するインゴルシュタット工場では、既存の生産設備や約250台のロボットを活用する。アウディによると、開発期間も同等の従来モデルと比べて21カ月短縮したという。
生産順序を組み立て開始の6日前に固定する「パールチェーン」と呼ばれる方式も導入し、部品供給と生産計画を効率化する。車両では、アルミニウム、鋼材、プラスチックなど、リサイクル材を一部含む300点以上の部品を使用する。
■ドイツ価格は約682万円から
ドイツでの価格は、52kWhバッテリーを搭載する125kW仕様が3万8200ユーロ(約682万円)からとなる。
61kWhバッテリー搭載の140kW仕様は4万1900ユーロ(約748万円)から、84kWhバッテリー搭載の170kW仕様は4万8900ユーロ(約875万円)から、240kW仕様は5万1200ユーロ(約915万円)からとなる。
ドイツでは2026年9月10日に受注を開始し、最初の納車は同年12月を予定する。これらの価格、仕様、装備内容はドイツ市場向けで、日本仕様とは異なる可能性がある。
Audi Japanの公式サイトでは、2026年9月9日時点でA2 e-tronを国内の販売モデルとして掲載していない。日本での発売時期、価格、仕様は明らかにされていない。
元記事: Audi A2 e-tron Debuts With Record Efficiency: Same Platform as Cheaper VW ID.3 Neo
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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