ホワイトハウスが政策PRゲームサイト公開 テトリス側は許諾否定、日本政府も知財利用に懸念

2026年9月6日 23:32

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記事提供元:Tech Times

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米ホワイトハウスは2026年9月3日、政権の政策を題材にしたブラウザゲーム5本を集めた「Arcade」を公式サイト上で公開した。国境管理や子ども向け投資口座などをゲーム形式で訴求する試みだが、既存ゲームに似た仕組みや宣伝表現、移民を扱う内容を巡って、権利者や支援団体、議員から批判が出ている。

今回の公開に先立ち、ホワイトハウスなど米政府機関のSNSでは、日本のゲームやアニメを想起させる映像の利用が相次いでいた。日本政府は2026年4月と6月、在日米国大使館を通じて知的財産の利用に関する懸念を伝えている。

■政策を題材にした5本のブラウザゲーム

「Arcade」はwhitehouse.gov内に設けられ、arcade.govからもアクセスできる。公開されたのは「Flappy Bill」「Build the Wall」「Rio Run」「Supply Line」「Trump Savings Tycoon」の5本で、いずれもレトロゲーム風の簡素な画面を採用している。

「Build the Wall」は、落下するブロックを積み上げて国境を守るゲームだ。説明には「迫り来る大群から国境を守れ」とあり、ブロックゲーム『テトリス』を思わせる構成になっている。

「Rio Run」は『スネーク』型のゲームで、プレイヤーが川沿いを移動し、移民を表しているとみられる人物を集めて「国外退去」させる。「Supply Line」では、コンベヤー上を流れる食品を選別し、政権が掲げる「Make America Healthy Again」の基準に合わない品目を取り除く。

「Flappy Bill」は、法案を運ぶハクトウワシを操作してナショナル・モール上空の障害物を避けるゲームだ。「Trump Savings Tycoon」では、空中を飛ぶ現金や金塊を集め、子どもの「Trump Accounts」を満たしていく。

Trump Accountsは、2025年成立の大型減税・歳出法に基づいて設けられた子ども向けの投資口座である。2025年1月1日から2028年12月31日までに生まれ、一定の条件を満たす米国市民の子どもについては、口座開設の申請が行われると連邦政府が一度限り1000ドルを拠出する。1000ドルは約15万6000円に相当する。

サイトには「Coming Soon」と記された枠もあり、別のゲームを今後追加する方針が示されている。ホワイトハウスのデジタル戦略責任者、Kaelan Dorrは、Arcadeを「体験できる政策」と表現した。

■テトリス側は制作への関与と許諾を否定

ホワイトハウスはArcadeの公開に際し、Xbox、PlayStation、Nintendoのゲーム機の起動画面を思わせるアニメーションをSNSに投稿した。別の映像では、SEGAのロゴを連想させる意匠が、トランプ政権のスローガンを示す「MAGA」に変化する演出も使われた。

The Tetris Companyは9月4日、「Build the Wall」の制作には関与しておらず、テトリスのブランドや知的財産を許諾していないと表明した。同社は問題を確認中とし、著作権侵害を重大に受け止めているとも説明した。

ゲームのルールや一般的な仕組みが、直ちに著作権で独占されるわけではない。一方、具体的な画像、音声、ロゴ、キャラクター、画面構成などが既存作品の著作権や商標権を侵害するかどうかは、実際に使われた表現や利用目的などに基づいて個別に判断される。現時点で、Arcadeを対象とする権利者からの訴訟は確認されていない。

■日本政府は米政府の知財利用に懸念

Arcadeの公開以前から、ホワイトハウスなど米政府機関のSNSでは、ゲームやアニメの映像を政治的な広報に取り入れる投稿が続いていた。

2026年3月には、米国によるイランへの攻撃映像と『Wii Sports』とみられるゲーム映像を組み合わせた動画が、ホワイトハウスの公式Xアカウントに投稿された。また、『ぽこ あ ポケモン』を想起させる画像を用いた投稿について、株式会社ポケモンは知的財産の使用を許可しておらず、制作にも関与していないと説明した。

同年4月17日の衆院外務委員会では、こうした投稿が取り上げられた。茂木敏充外相は一般論として、公的機関であっても著作権者の承諾なく著作物を複製することは適切ではないとの認識を示した。外務省も、在日米国大使館に日本側の立場を伝えたことを明らかにした。

日本政府は6月にも、米政府による日本のアニメやゲームなどの利用を巡って在日米国大使館に懸念を伝え、権利者への配慮を求めた。日本政府による伝達はArcade自体を対象にしたものではないが、その公開前から続いていた米政府のコンテンツ利用を巡る対応である。

■任天堂の対米訴訟は知財問題とは別

Nintendo of Americaは2026年3月6日、米政府を相手取り、米国際貿易裁判所に訴訟を起こしている。ただし、この訴訟はArcadeやゲームの知的財産を巡るものではない。

訴訟では、国際緊急経済権限法に基づいて課された関税について、Nintendo of Americaが支払った金額と利息の返還を求めている。米連邦最高裁が同法を根拠とする関税について大統領の権限を認めなかった判断を受けて提起されたものだ。

■移民をゲーム化した表現に反発

とりわけ強い批判を集めたのが、国境管理を題材とする「Build the Wall」と「Rio Run」だ。ホワイトハウスはArcadeの告知で「壁を築け。国外退去させろ。Trump Accountを満たせ」と投稿しており、ゲームを政策広報の手段として明確に位置付けている。

テキサス州イーグルパスで活動するFrontera Federationの共同代表、Amerika Garcia GrewalはAFPに対し、「彼らは何年も人々の人生をもてあそんできた。今度は自分たちがしていることをビデオゲームにした」と批判した。

国境地域で支援活動を行うAMIGOS San Diego CommunityのAdriana Jassoも、ゲームには政権の「真剣さの欠如」が表れていると述べ、移民を取り巻く現実を軽く扱っていると問題視した。

ゲームの仕組みをゲーム以外の分野に取り入れる手法は、一般にゲーミフィケーションと呼ばれる。Arcadeでは、プレイヤーが国境管理や国外退去を模した操作を直接行うことで、政策上の行為をゲームの目標や得点へ置き換えている。単にゲーム風の映像を広告に使うだけでなく、利用者自身に政策を模した行動をさせる点が特徴となっている。

■公式政府サイトを使った党派的発信

ホワイトハウスはArcadeについて、「楽しさと勝利の文化」と、民主党が描く「暗い社会主義的ビジョン」との違いを示す取り組みだと説明した。Dorrも、大統領の成果を全米の人々に伝えるための新しい方法だとしている。

こうした説明から、Arcadeが一般的な行政情報の提供ではなく、政権の政策と党派的メッセージを伝えることを目的としている点が読み取れる。ただし、ホワイトハウスはゲーム制作に外部業者を使ったか、どの程度の公費を投じたかという報道各社の質問には回答していない。

連邦職員の政治活動を制限するハッチ法は、大統領と副大統領を適用対象から除外している。一方、ホワイトハウス職員を含むほかの連邦職員には同法が適用され得る。Arcadeの公開が具体的な法令違反に当たるとの公的判断は、現時点では示されていない。

Arcadeは、政治広報で使われてきたゲーム風の映像やミームを、実際に操作可能なコンテンツへ広げたものだ。公式政府サイト上で継続的な展開を示したことで、政策を身近に伝える手法としての評価だけでなく、知的財産の扱い、政府サイトにおける党派的発信、移民政策を娯楽として表現することの是非が、改めて問われる形となった。

元記事: White House Arcade Games Cement IP Pattern Japan Twice Protested, Nintendo Already Suing

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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