「スター・ウォーズ」新作映画2本に進展の兆し レイの新ジェダイ再建とフィローニ作品

(Lucasfilm.com)[写真拡大]
映画「スター・ウォーズ」の新作として発表されながら、公開時期が決まっていない2企画に動きが見え始めた。業界誌「Production Weekly」の2026年9月3日号に、デイジー・リドリーがレイ役で復帰する新ジェダイ・オーダーを描く映画と、デイヴ・フィローニが手掛ける新共和国時代の無題作品が掲載されたと、ComicBook.comが同日報じた。
掲載はLucasfilmによる正式な製作開始の発表ではなく、撮影入りや公開を保証するものでもないが、長く具体的な続報が限られていた2企画が、現在も開発対象として扱われていることを示す新たな材料となる。両作には、崩壊や混乱を経験した組織をどう立て直すかという共通の構図も見いだせる。
■公開日未定の2企画が業界誌に掲載
Production Weeklyに掲載されたのは、シャルミーン・オベイド=チノイが監督を務めるレイ主演作と、フィローニが監督する無題の映画である。いずれも2023年4月の「スター・ウォーズ セレブレーション」でLucasfilmが発表した企画だが、2026年9月5日時点で公開日は発表されていない。
Production Weeklyは、映画やテレビ番組の企画・制作情報を業界関係者向けに掲載する専門誌である。同誌への掲載から、企画が正式に製作承認されたことや、キャスティング、ロケーション選定、スタッフ採用が直ちに始まることまでは確認できない。今回の動きは、両作が少なくとも開発候補として残っていることを示す兆候と捉えるのが妥当だ。
公開日が決まっている次の「スター・ウォーズ」劇場映画は、ショーン・レヴィ監督、ライアン・ゴズリング主演の「スター・ウォーズ/スターファイター」である。日本では2027年5月28日に日米同時公開される予定で、主要撮影はすでに終了している。
これに先立ち、「スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー」が2026年5月22日に公開された。レイ主演作、フィローニ監督作、ジェームズ・マンゴールドがジェダイの起源を描く企画については、いずれも具体的な公開時期が示されていない。
■レイ主演作は新たなジェダイ・オーダーを描く
レイ主演作は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」より後の時代を舞台とし、レイが新たなジェダイ・オーダーを築く物語として発表された。「Star Wars: New Jedi Order」という呼称が報道などで使われているものの、正式な作品名としては発表されていない。
監督を務めるオベイド=チノイは、「セイビング・フェイス」と「川が私を連れ去る前に」でアカデミー賞短編ドキュメンタリー映画賞を受賞している。本作が実現すれば、長編劇映画の監督デビュー作となる。デイジー・リドリーはレイ役で復帰する。
脚本にはこれまでデイモン・リンデロフ、ジャスティン・ブリット=ギブソン、スティーヴン・ナイトが関わり、2025年1月にはジョージ・ノルフィの起用が報じられた。脚本担当者の交代が重なったことから、現在の脚本が過去に発表された設定をどこまで引き継いでいるかは明らかになっていない。
それでも、新たな世代のジェダイを育てるという基本構想は、知識や技能を次世代へ伝える難しさを考える格好の題材になる。レイは古いジェダイ・オーダーの教育課程を幼少期から経験した人物ではなく、銀河規模の危機の中で、ルーク・スカイウォーカーやレイア・オーガナから断続的に教えを受けた人物である。その経験をどのような教育制度へと組み替えるのかが、物語上の重要な焦点になり得る。
■ジェダイの継承を暗黙知から読み解く
哲学者マイケル・ポランニーは、言語や文書だけでは完全に表現できない知識を「暗黙知」として論じ、「人は語ることができる以上のことを知ることができる」と表現した。身体で身につける技能や、経験を通じて培われる判断力は、手順書だけでは伝えにくく、実践や観察、指導者との関係を通じて受け継がれる。
ライトセーバーの扱い、フォースへの意識の向け方、危機下での判断といったジェダイの技能にも、この暗黙知という発想を重ねられる。書物やホロクロンに知識を残すことと、それを状況に応じて使える人物を育てることは同じではない。レイが直面するのは、失われた記録を集めるだけでなく、自身の経験を他者が学べる形へ変換する課題である。
ここで問題になるのは、レイが新組織の中心人物であると同時に、限られた指導者の一人でもあることだ。一人の経験や判断に教育が集中すれば、技能を効率的に伝えられる半面、その人物の視点や経験が組織全体の基準になりやすい。
一方、レイは旧ジェダイ・オーダーとは異なる経歴を持つ。幼少期から家族と切り離されて訓練されたのではなく、成人後に人間関係や喪失を経験しながらフォースを学んだ。こうした背景は、旧来の方法をそのまま再現するのではなく、異なる教育や共同体を築く可能性を物語に与えている。
■フィローニ作品は新共和国時代の物語を集約
フィローニ監督作は、新共和国を中心に据え、「マンダロリアン」「ボバ・フェット」「スター・ウォーズ:アソーカ」などDisney+作品で展開されてきた物語を結び付ける映画として発表された。公開されている物語の詳細は、レイ主演作以上に限られている。
フィローニはかつて、グランド・アドミラル・スローンを新共和国時代の主要な敵役と位置付け、「軍事戦略家として相手の先を読む人物」であることが魅力だと語っている。「スター・ウォーズ:アソーカ」では、別の銀河へ追放されていたスローンが帰還し、新共和国と帝国残党を巡る物語が次の段階へ進んだ。
公式発表では、フィローニ作品が「マンダロリアン」「ボバ・フェット」「スター・ウォーズ:アソーカ」などの連動する物語を締めくくると説明されている。一方、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」が映画にどのように関わるかや、スローンが映画の中心的な敵になるかについて、具体的な筋書きは発表されていない。
フィローニは2026年1月、Lucasfilmの社長兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任した。リンウェン・ブレナンは共同社長を務める。キャスリーン・ケネディは社長を退き、映画プロデューサーとしての活動に戻った。フィローニが単独で両企画の製作を決定できるわけではないものの、Lucasfilmの創作面を率いる立場となったことで、今後の「スター・ウォーズ」の物語設計における役割は大きくなっている。
■スローンの強みを意思決定の構造から考える
スローンは、敵対する文明の芸術や文化を観察し、そこから思考や行動の傾向を読み取る戦略家として描かれてきた。この設定は、ジョン・ボイドが提示した意思決定モデル「OODAループ」を連想させる。
OODAは、観察、状況判断、意思決定、行動を意味する英語の頭文字である。単に素早く決断するだけでなく、得た情報を過去の経験や文化的な枠組みに照らして理解し、変化する状況に適応し続けることを重視する。相手より効果的に状況を把握し行動できれば、戦力の規模だけでは決まらない優位を得られるという考え方だ。
芸術を通じて敵の思考様式を推測するスローンの手法は、相手と遭遇する前から「状況判断」の材料を集めておくものと解釈できる。作品内では極めて高い精度で戦術的な予測へ結び付けられるため、スローン固有の知性を表現する仕掛けとして機能している。
文化と視覚認知の関係については、心理学者リチャード・ニスベットや増田貴彦らによる異文化心理学の研究がある。水中の映像を用いた実験では、米国人の参加者が目立つ魚など前景の対象に言及しやすかったのに対し、日本人の参加者は背景や対象同士の関係に言及する傾向を示した。
この研究が示すのは、文化的背景と注意の向け方に集団レベルの傾向が見られるということであり、個人の行動を芸術だけから一意に予測できるということではない。それでも、文化が情報の捉え方に影響し得るという発想は、スローンが戦う前に相手の文化を研究する設定を読み解く補助線になる。
■帰還したスローンと新共和国の対応力
フィローニ作品のもう一つの軸になり得るのが、帝国崩壊後の新共和国が脅威へどう対応するかという問題である。「マンダロリアン」や「スター・ウォーズ:アソーカ」では、新共和国の官僚機構が帝国残党の活動を十分に把握できず、現場から寄せられる警告に迅速に対応できない様子が描かれてきた。
これに対してスローンは、明確な指揮系統と戦略を持つ人物である。「スター・ウォーズ:アソーカ」シーズン1の終盤では、限られた戦力をまとめて別銀河から帰還した。今後の争点は、スローンの戦力規模だけでなく、分散した帝国残党をどのように束ねるのか、新共和国が脅威を認識して対応するまでにどれだけ時間を要するのかという組織間の競争になる。
組織研究における高信頼性組織の考え方は、複雑で危険な環境でも重大事故を避ける組織に共通する実践を扱う。カール・ワイクとキャスリーン・サトクリフは、失敗の兆候への注意、単純化を避ける姿勢、現場の状況への感度、回復力、階級より専門知識を重視する判断などを主要な原則として整理した。
この枠組みを重ねると、新共和国の課題は単なる兵力不足ではなく、現場の警告を集め、複数の解釈を検討し、必要な知識を持つ人物へ判断を委ねられるかという情報処理の問題として見えてくる。スローンの帰還は、新共和国が反乱同盟軍として戦っていた時代の方法から、統治機構として危機に対応する方法へ移行できているかを試す出来事になる。
■創設者の経験を超えられる組織とは
レイ主演作とフィローニ作品では、扱う組織も時代も異なる。前者はジェダイという知識と実践の共同体を新たに築く物語であり、後者は新共和国という政治組織が、帝国残党の脅威に対応する物語である。
それでも両作には、過去の失敗から生まれた組織が、その教訓を次の時代にどう適用するかという共通構造がある。古い制度をすべて復元すれば、以前の問題も引き継ぎかねない。一方、過去への反発だけを基準に新制度を設計すれば、状況が変わったときに別の弱点が表面化する。
レイにとって重要なのは、自身の経験と技能を伝えるだけでなく、次世代のジェダイが異なる視点を持ち、互いに判断を修正できる共同体を築けるかどうかである。新共和国にとっては、帝国への反省から権力や軍事力を抑制しながらも、新たな脅威を軽視せず、現場の知見を政策へ反映できるかが問われる。
こうした共通点は、両作が実際に組織論を直接扱うことを示すものではない。現時点で明らかになっている物語の骨格から、作品を読み解くための一つの視点を引き出したものだ。映画がどの主題を中心に据えるかは、脚本や製作がさらに進むまで分からない。
Production Weeklyへの掲載は、2企画の本格始動を確定させるものではないが、正式な中止も発表されないまま長く続報が限られていた状況では、開発継続をうかがわせる材料となる。レイによるジェダイの再建と、新共和国に迫るスローンの脅威が劇場映画としてどのように描かれるのか、まずはLucasfilmによる正式な製作情報が待たれる。
元記事: Star Wars New Jedi Order and Filoni Signal Pre-Production: Do Institutions Outlive Their Founders
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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