PS5・Xbox購入者への関税還付は必要か ソニーとマイクロソフトが米国で集団訴訟の棄却申し立て

2026年9月5日 00:05

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記事提供元:Tech Times

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ソニー・インタラクティブエンタテインメントとマイクロソフト(Microsoft)が、米政府から企業に支払われる関税還付金の一部をゲーム機購入者にも返すよう求めた集団訴訟について、米連邦裁判所に棄却を申し立てた。両社は、購入者は公表された価格で製品を受け取っており、法的に認められる損害は生じていないと主張している。

同様の訴訟では任天堂も棄却を求めている。一方、携帯ゲーム機「Playdate」を手がける米Panicは、購入時に関税相当額を別項目として請求した顧客に対し、政府から受けた還付金を自動的に返金した。ゲーム機の価格と関税負担の関係を、裁判所がどのように判断するかが焦点となる。

■ソニーとMicrosoftが訴訟の棄却を申し立て

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは2026年9月初め、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に、PlayStation購入者による集団訴訟の棄却を申し立てた。ソニー側は、公正な市場価格で任意に購入した消費財について代金を支払ったことは、法的に認められる事実上の損害に当たらないと主張している。

Microsoftも8月21日、ワシントン州西部地区連邦地方裁判所に同様の申し立てを行った。同社は、原告が公表価格でXboxを購入し、支払った対価に対応する製品を受け取った以上、その取引自体に不当な点はないとの立場を示している。

Microsoftはさらに、同社の利用規約に含まれる仲裁条項と集団訴訟放棄条項を根拠に、裁判ではなく個別の仲裁手続きで紛争を処理するよう求めている。裁判所がこの主張を認めた場合、原告側が集団訴訟として手続きを進めることは難しくなる。

■最高裁がIEEPAによる関税権限を否定

一連の訴訟の背景には、トランプ政権が2025年に国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠として導入した関税がある。電子機器を含む幅広い輸入品が対象となり、輸入企業や小売価格への影響が広がった。

米連邦最高裁判所は2026年2月20日、「Learning Resources, Inc.対Trump」事件で、IEEPAは大統領に関税を課す権限を与えていないと6対3で判断した。これは関税政策そのものを憲法違反とした判決ではなく、IEEPAの文言から大統領の関税権限を導くことはできないとした判断である。

この判決を受け、対象となる関税を納付した輸入者に対する還付手続きが進められた。還付金は原則として関税を納めた輸入者に支払われ、商品を購入した最終消費者へ直接支給される仕組みではない。

■ゲーム機の値上げと還付金を巡る争い

Microsoftは2025年にXbox本体などの米国価格を複数回引き上げ、市場環境や開発費などの上昇を理由に挙げた。ソニーも同年8月、厳しい経済環境を理由として米国におけるPS5の希望小売価格を50ドル引き上げた。任天堂はNintendo Switch 2本体の価格を維持する一方、旧型本体や一部周辺機器を値上げした。

各社は値上げについて複数の経済要因を挙げており、特定の値上げ額がそのまま関税負担額に対応すると説明したわけではない。これに対し原告側は、企業が関税負担を価格に転嫁した後に政府から還付も受ければ、同じ負担について二重に利益を得ることになると主張している。

カリフォルニア州では、Amorey WalkerとBryce Foster-Quarlesが2026年5月、ソニーを相手取って訴訟を起こした。訴訟はその後、関連事件と統合されている。Xbox購入者のTrevor Hastingsも同年6月にMicrosoftを提訴し、事件は7月にワシントン州西部地区連邦地方裁判所へ移された。

任天堂に対しても、Gregory HoffertとPrashant Sharanが同様の訴訟を起こしている。任天堂は7月、購入者は提示された価格で購入するかどうかを判断し、合意した対価に応じた商品を受け取ったとして、訴訟の棄却を申し立てた。

■ソニーは年間約800億円の還付を見込む

ソニーグループは2026年度第1四半期の決算説明で、米国関税の還付額を通期で約800億円と見込んでいることを明らかにした。このうち約70%を4~6月期に受け取り、還付による利益の大部分がゲーム&ネットワークサービス分野に計上されたという。

同分野の第1四半期の営業利益は2,020億円となり、前年同期比37%増加した。ソニーは関税還付に加え、為替の影響やネットワークサービスの増収なども業績の変動要因として挙げている。

ソニー側は訴訟で、製品価格は関税だけでなく、インフレ、為替、部品費、物流費、競争環境、需要など、複数の要因によって決まると説明している。また、最高裁判決後に当たる2026年4月にも世界的な経済環境の圧力を理由としてPS5などを値上げしたことを挙げ、2025年の値上げと関税の間に原告が主張するような直接的な対応関係はないとしている。

原告側が不当利得の主張を成立させるには、関税負担がどの程度ゲーム機価格に反映され、それによって購入者がどのような損害を受けたのかを示す必要がある。一般的な物価への影響を示す経済研究は存在するものの、それだけで各社のゲーム機価格に含まれた関税相当額が確定するわけではなく、個別の価格決定との関係が審理上の争点となる。

■購入者に自主返金したPanic

Playdateを開発・販売するPanicは、関税負担を製品の基本価格に組み込まず、購入手続き時に明示された追加項目として請求していた。同社は政府から還付を受けた後、この追加料金を支払った顧客への自動返金を開始した。

返金額は購入内容などによって異なるが、米国内の購入者には12.36ドルが返金された例が報告されている。対象者は申請する必要がなく、原則として購入時に使用した決済手段へ返金される。

Panic共同創業者のCabel Sasserは、還付金について「私たちが保持すべきお金ではない」と説明した。政府への申請や顧客ごとの返金処理システムの構築には相応の作業が必要だったものの、追加料金として明確に区分していたことで、返すべき金額を追跡できたとしている。

Panicの対応は、価格全体を市場環境や複数のコストから決めたとする大手ゲーム機メーカーとの違いを示している。関税相当額を独立した項目として請求した取引では、政府からの還付額と顧客が負担した金額を対応させやすい。一方、製品価格全体に複数の費用が織り込まれている場合、関税だけに由来する部分を特定できるかが争点となる。

■裁判所は損害と不当利得の成立を判断へ

原告側の請求は、政府の関税還付金を消費者が直接受け取る権利を定めた連邦法ではなく、不当利得や金銭返還、州の消費者保護法などに基づいている。裁判所はまず、購入者に法的な損害が認められるか、原告側が示す関税、値上げ、還付金の因果関係が請求を成立させるのに十分かを判断する。

2026年9月4日時点で、ソニー、Microsoft、任天堂に対する訴訟の棄却申し立てについて、結論は示されていない。棄却されなければ、訴訟を同様の立場にある購入者全体の集団訴訟として認定できるかが次の主要な争点となる。

裁判所の判断は、ゲーム機メーカーが個々の購入者に返金しなければならないかを直ちに決めるものではない。まず原告側の請求を正式な審理へ進められるかが問われ、その後に因果関係や損害額、返還の対象となる利益の範囲が検討されることになる。

元記事: Sony and Microsoft Move to Kill Tariff Refund Lawsuits While Playdate Maker Pays Customers Back

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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