Qualcomm、GPU内でAI処理する「Adreno Neural Fusion」発表 UnityとUnreal Engineに統合

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Qualcommは2026年9月2日、次世代のフラッグシップSnapdragonプラットフォームに導入するグラフィックス技術「Adreno Neural Fusion」を発表した。GPUのグラフィックスパイプライン内にAI専用の「Adreno Matrix Cores」を配置し、AI超解像やフレーム生成に使うニューラルネットワークをGPU内で処理する。UnityとUnreal Engineにも統合されており、ゲーム開発者が既存の制作環境から導入しやすい構成としている。
Adreno Neural Fusionを搭載するSnapdragonプラットフォームの正式名称や製造プロセス、採用端末などは明らかにされていない。Qualcommは、ハワイ・マウイ島で9月22日から24日まで開催するSnapdragon Summit 2026で、次世代プラットフォームに関する追加情報を公開する予定だ。
■AI処理をグラフィックスパイプライン内で実行
Adreno Neural Fusionは、ニューラル処理、AI超解像、フレーム生成を一つのグラフィックスパイプラインにまとめた技術である。最大の特徴は、AIモデルの処理をNPUなどGPU外部の演算装置に委ねるのではなく、GPU内の専用演算コアで実行する点にある。
次世代Adreno GPUには、AIモデルの実行に特化したAdreno Matrix Coresが組み込まれる。Qualcommによると、同社がAI専用コアをAdrenoのグラフィックスパイプライン内に搭載するのは初めてとなる。
GPU内でAI処理を完結させれば、レンダリングに使うデータをほかの演算装置へ転送して結果を戻す処理を減らせる。データ移動に伴う待ち時間や消費電力を抑えながら、フレーム単位で画像を処理するAIモデルを実行しやすくなる。
この構成は、SnapdragonのAI処理をすべてGPUに集約するものではない。QualcommはNPU、CPU、GPUという主要な演算エンジンで行列演算を高速化する方針を示しており、Adreno Matrix Coresはグラフィックス処理と密接に関係するAIワークロードを担う。
■18MBの高速メモリでデータ移動を削減
Adreno Matrix Coresには、18MBの「Adreno High Performance Memory(HPM)」が組み合わされる。HPMはGPUに直接接続された低遅延のオンチップメモリで、タイルベースレンダリングのデータ、フレームバッファ、コンピュートワークロードなどをグラフィックスサブシステム内に保持する。
タイルベースレンダリングでは、画面を小さな領域に分割し、各領域の処理を高速なローカルメモリ上で進める。中間結果をオンチップに保持できれば、システムメモリへの読み書きを減らし、帯域の使用量やデータ転送に伴う電力消費を抑えられる。
Adreno Neural Fusionでは、この近接メモリと専用AIコアを組み合わせることで、画像の再構成に必要な処理とデータをGPUの近くに保つ。Qualcommは、データ転送の削減によってレイテンシと電力負荷を抑え、ゲームをより効率的に動作させられるとしている。
一部の発表資料を基にした報道では、Adreno Neural Fusionを有効にした場合、従来のソリューションに比べて消費電力を最大40%削減できるとしている。この数値はQualcommによる比較結果であり、対象となる処理や測定条件、実際のゲームにおける効果は、搭載製品の登場後に確認する必要がある。
■AI超解像で描画負荷を抑える
Adreno Neural Fusionが提供する主要機能の一つがAI超解像である。ゲームを表示解像度より低い解像度でレンダリングし、ニューラルネットワークを使って高解像度の画像を再構成する。内部解像度を下げることでGPUの描画負荷を抑えながら、細部を保った映像の出力を目指す。
Qualcommは従来、「Snapdragon Game Super Resolution(SGSR)」を提供してきた。SGSR 1は、アップスケーリングとシャープ化を単一のシェーダーパスで処理する空間的アップスケーリング技術である。後継のSGSR 2は、低解像度の色情報に加えて深度やモーションベクターなどを使う時間的アップスケーリングへ発展した。
SGSR 2はAdreno GPU向けに最適化されたシェーダーで処理するのに対し、Adreno Neural Fusionでは専用のMatrix Coresがニューラルネットワークを実行する。専用ハードウェアとオンチップメモリを利用することで、AIモデルを使った画像再構成を低い電力負荷でグラフィックスパイプラインに組み込むことが狙いとなる。
Qualcommは、従来のモバイル向けアップスケーリングで生じやすかった細部のちらつき、動く物体の残像、画像の軟化などを抑え、ディテールと動きの明瞭さを保つ設計だと説明している。実際の画質は、ゲーム側の実装、内部解像度、使用するAIモデルなどによって変化する。
■中間画像を作るフレーム生成にも対応
もう一つの主要機能はフレーム生成である。GPUが描画したフレームの間にAIで中間フレームを生成し、実際にレンダリングするフレーム数を抑えながら滑らかな表示を目指す。
AI超解像が一つのフレームの解像度を高める技術であるのに対し、フレーム生成は連続するフレームの間を補う技術である。両者を組み合わせることで、表示に必要なすべての画素とフレームを通常のレンダリングだけで生成する場合に比べ、GPUの処理量を抑えられる可能性がある。
一方、フレーム生成による見かけ上のフレームレートと、ゲームが入力を処理して実際のフレームを描画する速度は同じではない。生成フレームを表示する処理も加わるため、操作への応答を優先するゲームでは、開発者がフレーム生成の適用方法や遅延対策を調整する必要がある。
Adreno Neural Fusionの実際の効果は、ゲームの種類、基礎となるフレームレート、目標解像度、端末の冷却性能などに左右される。画質、滑らかさ、消費電力、操作応答のどれを優先するかに応じて、ゲームごとの設定が重要になる。
■UnityとUnreal Engineに統合
Adreno Neural Fusionは、主要なゲーム開発環境であるUnityとUnreal Engineに統合されている。Qualcommによると、開発スタジオは独自のレンダリングシステムを一から構築することなく、既存の開発ワークフローからAIを利用した画質向上や性能改善を導入できる。
ゲームエンジン側に対応機能が用意されることで、端末メーカーやゲームスタジオが個別に基盤部分を開発する負担を抑えられる。ハードウェアの登場に先立って開発環境が整う点は、対応ゲームを増やすうえで重要になる。
もっとも、UnityやUnreal Engineで制作されたすべての既存ゲームに、自動的に超解像やフレーム生成が適用されるわけではない。各タイトルの開発者が機能を有効にし、画質や性能、操作応答を確認したうえで実装する必要がある。どのゲームが対応するかは現時点で発表されていない。
■次期Snapdragonの詳細は9月下旬に
Qualcommは、Adreno Neural Fusionを採用する次世代Snapdragonプラットフォームの正式名称、SKU、製造プロセスを公表していない。今回の発表では、次世代フラッグシッププラットフォームに向けたGPU技術として、Matrix Cores、18MBのHPM、AI超解像、フレーム生成、ゲームエンジンとの統合が紹介された。
同社は8月25日、次世代Qualcomm Oryon CPUとFlexCacheアーキテクチャについても先行公開している。CPUに続いてGPUの構成を個別に紹介した形で、Snapdragon Summit 2026ではプラットフォーム全体の仕様が明らかになるとみられる。
Adreno Neural Fusionによる画質や省電力効果は、最終的なSoCの仕様だけでなく、スマートフォンの放熱設計、ゲームエンジン側の設定、各タイトルが採用するレンダリング方式にも左右される。Qualcommが示した最大40%の省電力効果を含め、実機での性能と対応タイトルが今後の焦点となる。
今回示されたのは、AI専用の演算装置と高速メモリをグラフィックス処理の近くに配置し、超解像とフレーム生成をモバイルGPUの標準的な機能として扱う方向性である。UnityとUnreal Engineへの統合によって開発側の導入経路も用意されており、次世代Snapdragon搭載端末でAIレンダリングがどのように活用されるかが注目される。
元記事: Qualcomm Adreno Neural Fusion Puts AI Inside Mobile GPU: Unity and Unreal Already Onboard
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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