【分析】AlphabetもNVIDIAのMediaTek投資に参加、NVLink FusionとUALinkが並走するAI接続競争

2026年9月3日 11:16

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記事提供元:Tech Times

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NVIDIAは2026年8月31日、台湾の半導体設計大手MediaTekが発行した転換社債に35億ドル(約5565億円、1ドル=159円換算)を投じると発表した。MediaTekによる総額39億ドル(約6201億円)の社債発行にはAlphabetも参加したが、投資額は公表されていない。

この取引は、NVIDIAの独自インターコネクト技術「NVLink Fusion」と、GoogleやAMD、Microsoftなどが参加するオープン標準「UALink」が、単純な二者択一ではないことを映し出している。大手クラウド事業者は特定の方式だけに将来を委ねるのではなく、複数の技術や供給網に関与しながら選択肢を確保している。

■NVIDIAがMediaTekへの投資で狙うもの

NVIDIAが取得したのはMediaTek株ではなく、将来一定の条件で株式に転換できる転換社債である。35億ドルは今回の発行総額の約9割に相当する。Alphabetも同じ社債発行に参加したものの、投資判断の具体的な目的やNVLink Fusionとの直接的な関係は明らかにしていない。

NVIDIAとMediaTekは投資に合わせ、AIインフラ、PC、車載コンピューティングの各分野で協業を拡大する。MediaTekはNVLink Fusionを採用し、ハイパースケーラーやクラウド事業者が独自のAIアクセラレータをNVIDIAのラックスケールシステムへ組み込むための、事前検証された開発経路を提供する。

NVIDIAにとって重要なのは、大手クラウド事業者が自社設計のアクセラレータを増やしても、それらをNVLinkベースのラックに接続できる環境を広げることだ。NVIDIA製GPUだけでなく、他社や顧客が設計するXPUも同じインフラに取り込めれば、NVIDIAはスイッチ、ネットワーク機器、CPU、ラックアーキテクチャなどを通じてシステム全体への関与を維持できる。

両社はすでに、パーソナルAIコンピュータ「DGX Spark」に搭載されるGB10 Grace Blackwell Superchipで協業している。今後はDGX Sparkと「RTX Spark」の複数世代にわたりPC向けチップを共同開発するほか、MediaTekのDimensity Autoを中心とする車載分野でも連携を続ける。

■カスタムAIチップをNVLinkへ接続

NVLink Fusionは、顧客が設計したアクセラレータやCPUをNVIDIAのラックスケールAI基盤へ接続するための技術と知的財産の組み合わせである。顧客は演算処理を担う独自部分の開発に集中しながら、NVIDIAが提供するスケールアップ接続、ネットワーク、ラック、冷却、電力供給などの構成を利用できる。

チップパッケージ内では、オープンなダイ間接続規格であるUCIeに対応したチップレットを介し、カスタムシリコンをNVLinkへ接続できる。顧客が設計するコンピュートダイの内部にNVLinkプロトコル全体を直接実装する方式ではなく、接続機能をチップレットとして組み込む構成だ。

ラックレベルでは、NVIDIAの第6世代NVLinkが最大72基のアクセラレータを全対全で接続する。NVIDIA公表値では、XPU当たり毎秒3.6TB、72基のドメイン全体で毎秒260TBの帯域幅を提供する。

一方、NVLink Switchやその制御技術を含む中核部分はNVIDIAが提供する。顧客は独自の演算チップを開発できるが、NVLink Fusionのラックを構成するにはNVIDIAのスイッチや関連製品が必要になる。このため導入時には、開発期間を短縮できる利点と、インフラの中核部分をNVIDIA製品に依存する度合いの両方を検討する必要がある。

■NVHBMでメモリまで統合

NVIDIAは8月26日、NVLink Fusionを拡張するメモリアーキテクチャ「NVHBM」も発表した。NVHBMは、通常はXPUのコンピュートダイ上に置かれるHBMのメモリコントローラを、HBMスタックの基盤となるベースダイへ統合する。

メモリコントローラやインターフェースが占める面積を減らせれば、XPUのコンピュートダイ上で演算回路などに使える領域を広げられる。NVIDIAによると、標準的なHBM4E構成と比べて、XPUのコンピュートダイで利用可能な面積を最大25%拡大し、メモリ帯域幅を最大30%高め、HBMの消費電力を15%減らせるという。これらを組み合わせたXPU全体の性能向上率として、同社は最大30%を掲げている。

いずれもNVIDIAが示した設計上の目標値であり、2026年9月時点では量産製品を用いた独立した性能検証は公表されていない。製品選定では、実際のシリコンやラック構成で得られる性能、消費電力、歩留まり、供給条件を確認する必要がある。

Amazon傘下でAWSの独自AIチップを開発するAnnapurna Labsは、NVHBMで協業する最初の企業となる。AWSは次世代のTrainium4をNVLink Fusionに対応させ、AWS製アクセラレータとNVIDIA製GPUを共通のラックスケールアーキテクチャに組み込む計画だ。

■GoogleとAWSはUALinkにも参加

NVLink Fusionの有力な代替候補が、ベンダー中立のスケールアップ接続規格を目指すUALinkである。UALink Consortiumは2024年、AMD、Broadcom、Cisco、Google、HPE、Intel、Meta、Microsoftなどによって設立された。AWSも現在は同コンソーシアムのボードメンバーである。

UALinkは複数の企業が対応するアクセラレータやスイッチを開発できるようにし、単一企業の接続技術やスイッチ製品への依存を抑えることを狙う。仕様上は、単一のポッド内で最大1024基のアクセラレータを接続でき、200Gbpsのレーンに対応する。

2026年4月に公表されたUALink 2.0では、ネットワーク内で一部の演算処理を行うインネットワークコンピュートなどが追加された。アクセラレータ、スイッチ、チップレット、管理機能を含む製品開発も進められているが、仕様の完成と、対応製品が大規模な本番環境で利用できる状態になることは分けて考える必要がある。

AMDのラックスケールAI基盤「Helios」はUALinkの採用を掲げる一方、初期システムではEthernetを物理基盤として利用する構成も採用している。UALink対応製品が市場へ移行する途中では、既存のEthernet技術を組み合わせる方式と、専用のUALinkスイッチを使う方式が並行して展開される可能性がある。

そのため、2026年から2027年初めにカスタムAIチップを本番導入する企業にとって、選択肢は「NVLink FusionかUALinkか」という規格名だけでは決まらない。対応チップやスイッチの供給時期、ラック全体の検証状況、既存設備との互換性、将来の交換可能性まで含めて判断する必要がある。

■Alphabetの投資が示す複線化

AlphabetがMediaTekの転換社債を取得した一方、GoogleはUALink Consortiumに参加し、仕様策定にも関与している。さらにGoogleは、自社の第8世代TPUとして、学習向けの「TPU 8t」と推論向けの「TPU 8i」を発表しており、用途ごとに異なるアーキテクチャを展開している。

MediaTekがGoogleのTPU供給網で役割を拡大していることも複数の調査会社や報道機関が伝えている。ただし、MediaTekは決算説明で最初のAIアクセラレータASICの顧客名を明らかにしておらず、Google向け製品の具体的な設計分担や契約条件には公表情報と業界予測が混在している。

Alphabetによる社債取得だけをもって、同社がNVLink Fusionへ直接投資したと断定することはできない。それでも、UALinkに関与するGoogleの親会社が、NVIDIAとの連携を深めるMediaTekにも資金を投じた事実は、AIインフラ大手が複数の技術経路と供給網を並行して確保している状況を象徴している。

AWSも同様に、UALink Consortiumの運営に参加しながら、Trainium4をNVLink Fusionへ対応させる方針を示している。オープン標準の形成に関与することと、現在利用できるNVIDIAのラックスケール技術を採用することは、異なる期間と用途に備える意思決定として両立する。

■拡大するMediaTekのAI ASIC事業

MediaTekはスマートフォン向け半導体を主力としてきたが、データセンター向けのカスタムAI ASICを新たな成長分野に位置付けている。同社は2026年のデータセンター事業売上高が20億ドル(約3180億円)を超えるとの見通しを示し、2027年のAIアクセラレータASIC市場を最大800億ドル(約12兆7200億円)と予測している。

Counterpoint Researchは、GoogleのTPU関連プログラムを主な要因として、MediaTekが2028年にAIサーバー向けコンピュートASIC出荷の約26%を占め、出荷数が500万基に近づくと予測している。これは調査会社による将来予測であり、先端パッケージの供給能力や製品開発の進捗によって変わり得る。

MediaTekがNVLink Fusionを採用したことで、同社はコンピュートダイの設計だけでなく、メモリ、接続用チップレット、先端パッケージ、ラック検証まで含む統合サービスを提供しやすくなる。独自の演算回路を開発したい一方、ラック全体を一から設計・検証する負担を避けたい顧客が主な対象となる。

この役割は、Broadcomなどが強みを持つ大規模なカスタムASIC設計と必ずしも同一ではない。MediaTekはGoogle関連と報じられる大規模案件を進めながら、NVLink Fusionを利用する別のクラウド事業者やAI企業にも設計・統合サービスを広げる構えだ。

■選定の軸は導入時期と交換可能性

AIインフラを調達する企業にとって重要なのは、どちらの規格が最終的な勝者になるかを予想することではない。自社のシステムが各方式にどの程度依存し、将来別のアクセラレータやスイッチへ移行できるかを把握することだ。

NVLink Fusionは、NVIDIAが提供するラックスケール基盤と既存の製品群を利用し、カスタムXPUの開発や導入に伴う統合作業を減らせる。一方で、スイッチやネットワークなどの中核部分にNVIDIA製品を必要とするため、世代更新時の選択肢や価格交渉力への影響を検討しなければならない。

UALinkは、複数ベンダーが同じ仕様に対応する競争環境を目指している。将来的な交換可能性を高められる可能性がある一方、導入時点で必要なスイッチ、アクセラレータ、管理ソフトウェアがそろっているかは個別に確認する必要がある。

NVHBMも採用する場合、NVIDIAの技術はインターコネクトだけでなくメモリ構成にも組み込まれる。性能や消費電力の向上が製品上で確認されれば有力な選択肢となるが、調達側は性能目標だけでなく、メモリ供給元、互換性、ライセンス、複数世代にわたる移行計画まで評価する必要がある。

AlphabetとAWSの動きが示すのは、NVLink FusionとUALinkのどちらか一方だけに将来を委ねる必要はないということだ。両社ほどの投資力を持たない企業でも、導入を急ぐ領域と標準化を待てる領域を分け、時間軸と代替可能性を基準にインフラを設計することはできる。AIチップ相互接続の競争は、単一規格が直ちに市場を独占する争いではなく、複数の技術と供給網が並走する段階に入っている。

元記事: NVLink Fusion vs UALink: Why Alphabet Is Funding Both Sides of AI Chip Interconnect War

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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