G.SkillがEXPO ULL対応「Flare X5X」を発表、非X3D Ryzenでは低遅延化の効果も

2026年9月3日 10:25

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記事提供元:Tech Times

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G.Skillは2026年8月31日、AMDの「EXPO Technology: Featuring Ultra Low Latency」(EXPO ULL)に対応するDDR5メモリ「Flare X5X」シリーズを発表した。第1弾はDDR5-6000、CL36-36-36-76の32GBキットで、世界各地の市場で順次発売される。

EXPO ULLは、メモリの転送速度だけでなく、複数のサブタイミングをメーカー側で調整したプロファイルを利用できる仕組みだ。対応メモリとBIOSを組み合わせることで、手作業による細かな調整をせずにメモリアクセスの遅延を抑えられる。

一方、ゲーム性能への効果はCPU、画質設定、ゲームタイトルによって大きく変わる。独立テストでは、非X3DのRyzen 7 9700XがCPU側の処理に制約される条件で比較的大きく伸びた一方、96MBのL3キャッシュを備えるRyzen 7 9800X3Dでは差が小さいタイトルが多かった。ただし、X3Dモデルでも効果が確認されたゲームがあり、一律に恩恵がないとはいえない。

■EXPO ULLが調整するもの

AMD EXPOは、対応メモリに記録されたオーバークロック用プロファイルをBIOSから選択し、動作周波数やタイミングをまとめて適用できる技術だ。EXPO ULLはこれを拡張し、同じDDR5-6000などの転送速度を維持しながら、メモリメーカーが調整したサブタイミングを適用する。

調整対象には、DRAMのリフレッシュ間隔を示すtREFI、同一バンクグループ内で行う行アクティベート間の待ち時間を示すtRRDS、書き込み後の回復時間を示すtWRなどが含まれる。VDDP電圧もプロファイルに記録でき、対応システムでのメモリコントローラの安定動作に利用される。

TechSpotがテストしたG.SkillのTrident Z5 NeoX RGB DDR5-6000 CL36では、通常のEXPO構成と比べてtREFIが11,677サイクルから46,707サイクルへ延長され、tRRDSは8サイクルから4サイクル、tWRは90サイクルから72サイクルへ短縮されていた。同テストでは、このほかにもtRAS、tRC、tRRDL、tFAWなど複数のタイミングが変更されている。

tREFIを延ばすと、DRAMがリフレッシュ処理に費やす時間を減らし、CPUからの要求を処理できる時間を増やせる。tRRDSやtWRなどの短縮も、特定のメモリアクセスに伴う待ち時間の削減につながる。EXPO ULLは、このような複数の調整をメーカーが検証したプロファイルとして提供する点に特徴がある。

■既存メモリとの違い

EXPO ULLの利点は、対応メモリにメーカーが調整、検証したプロファイルがあらかじめ収録されていることだ。G.Skillは、対応するDRAM ICを選別し、製品ごとに社内検証を実施しているとしている。

既存のDDR5メモリでも、一部のサブタイミングをBIOSから手動で変更できる場合がある。そのため、低遅延設定そのものがEXPO ULL専用というわけではない。ただし、手動調整ではメモリやCPU、マザーボードごとの動作限界を確認し、十分な安定性テストを行う必要がある。

EXPO ULL対応製品は、こうした調整値をプロファイルとして呼び出せるようにし、手動設定と検証の負担を減らすことを狙ったものだ。実際に到達できる性能や安定性は、CPU、マザーボード、BIOSなどの構成によって異なる。

■Flare X5Xの仕様と発売形態

Flare X5Xの第1弾は、容量32GBの2枚組、DDR5-6000、CL36-36-36-76という構成だ。RGBライティングを搭載せず、黒を基調とした簡素なデザインを採用する。

G.Skillは、同製品がEXPO ULLに対応し、複数のメモリサブタイミングを調整したプロファイルを備えると説明している。各キットは出荷前に社内検証を受けるとしているが、発表時点では個別のサブタイミングや採用DRAM ICの詳細を公表していない。

このため、主要タイミングが同じTrident Z5 NeoX RGB DDR5-6000 CL36と、すべてのサブタイミングが共通するかは確認できない。既存製品を使ったベンチマーク結果はEXPO ULLの傾向を知る参考にはなるが、Flare X5Xの実測性能を直接示すものではない。

同シリーズは世界各地で順次発売される予定だ。日本での発売日、販売店、価格は発表時点で明らかにされていない。

■非X3D Ryzenで確認された性能向上

AMDは、Ryzen 7 9700X、GeForce RTX 5090、32GBのDDR5-6000を使用した社内テストを公開している。同社によると、30本以上のゲームを対象とした比較で、EXPO ULL構成は通常のEXPO構成より最大4%高い平均フレームレートを記録した。

TechSpotは、Ryzen 7 9700XとRyzen 7 9800X3Dに、通常のDDR5-6000 CL30、EXPO ULL対応のCL36およびCL30メモリを組み合わせ、5本のゲームを1080pと4Kでテストした。グラフィックスカードにはGeForce RTX 5090が使われている。

Ryzen 7 9700XとCL36のEXPO ULLメモリを組み合わせた1080pテストでは、通常のEXPOメモリと比べて『サイバーパンク2077:仮初めの自由』で7%、『Marvel Rivals』で約9%、『Assetto Corsa Competizione』で8%、『Marvel's Spider-Man 2』で9%、平均フレームレートが高かった。

よりタイミングを詰めたCL30のEXPO ULLメモリでは、『Marvel Rivals』『Assetto Corsa Competizione』『Marvel's Spider-Man 2』で約10%、『バルダーズ・ゲート3』で15%の向上が確認された。したがって、最大15%という結果はEXPO ULL全体の保証値ではなく、Ryzen 7 9700X、CL30メモリ、特定のゲームと設定を組み合わせたテスト結果である。

これらの結果は、ゲーム処理がCPUやメモリに強く制約される場面では、サブタイミングの短縮が性能向上につながることを示している。一方、GPU側が性能を決める条件では差が縮小する。

■X3Dモデルでもゲームによって結果が変わる

Ryzen 7 9800X3Dは合計96MBのL3キャッシュを備えている。大容量キャッシュに必要なデータが収まる場面ではメインメモリへのアクセスを減らせるため、通常のRyzenと比べてメモリ設定の影響を受けにくい傾向がある。

TechSpotの1080pテストでは、Ryzen 7 9800X3DとCL30のEXPO ULLメモリを組み合わせても、『サイバーパンク2077:仮初めの自由』の伸びは約1%、『Marvel Rivals』は約2%だった。『Assetto Corsa Competizione』でも平均フレームレートの増加は3フレームにとどまった。

その一方、『バルダーズ・ゲート3』では平均フレームレートが199fpsから217fpsへ約9%上昇した。Ultimate Ray Tracingを有効にした『Marvel's Spider-Man 2』でも、107fpsから119fpsへ約11%伸びている。

X3Dモデルでは多くのゲームで差が小さかったが、CPU負荷やメモリアクセスの特性によっては明確な向上が現れる。購入判断では「X3Dかどうか」だけでなく、実際に利用するゲームと設定に近いテストを確認することが重要だ。

■4Kでも一律に差が消えるわけではない

4Kでは映像処理の負荷が高まり、GPUが性能上限を決めることが多い。TechSpotのテストでも、『サイバーパンク2077:仮初めの自由』『Marvel Rivals』『Marvel's Spider-Man 2』では、4KにするとCPUやメモリ構成による差がほぼ消えた。

一方、CPUとメモリへの負荷が高い『Assetto Corsa Competizione』では、4KでもRyzen 7 9700XとCL30のEXPO ULLメモリの組み合わせが、通常のEXPO構成より平均フレームレートで11%高かった。『バルダーズ・ゲート3』でも、同じ組み合わせで120fpsから135fpsへ13%伸びている。

解像度だけで効果の有無が決まるわけではない。高解像度でもCPU側の処理が上限になるゲームでは、低遅延メモリが性能に影響する場合がある。

■対応BIOSと利用時の注意

EXPO ULLを利用するには、対応するAMD製CPUとマザーボード、対応BIOS、正しいシステム構成が必要だ。G.Skillによると、EXPOを有効にする前のメモリは、BIOSの初期設定ではSPDに記録された標準速度で起動する。

対応状況はマザーボードのメーカーと機種、BIOSのバージョンによって異なる。購入前には、マザーボードメーカーのサポートページやリリースノートで、EXPO ULLまたはEXPO 1.2への対応を確認したい。

EXPOはメモリのオーバークロック機能であり、公称設定を利用するにはBIOSでの有効化が必要となる。最大速度や性能は、メモリだけでなくCPUやマザーボードなどの構成にも左右される。また、オーバークロックの扱いや保証条件は、各メーカーや販売店の規定を確認する必要がある。

■価格判明後に用途と費用を比較

G.SkillはFlare X5Xの価格を発表していない。世界各地で段階的に発売する方針を示しているものの、日本での価格と発売時期も未定だ。

既存のEXPO ULL対応メモリは、登場当初に通常のEXPO製品より大幅に高い価格が付いた例があった。その後、TechSpotが2026年7月に確認したTrident Z5 NeoX RGB DDR5-6000 CL36の価格は約530ドルで、比較対象とした通常のG.Skill製CL36キットより約30ドル高かった。1ドル159円で単純換算すると、それぞれ約8万4300円、約4800円の差となるが、販売価格は時期や地域によって変動する。

非X3DのRyzenを使い、CPU側がボトルネックになるゲームで高いフレームレートを狙う場合、EXPO ULLは手動調整の手間を抑えながら性能を引き出す選択肢になる。X3Dモデルでは差が小さいゲームが多いものの、一部では向上が確認されている。

最終的な価値は、Flare X5Xの実売価格と実機テストが明らかになってから判断する必要がある。主要タイミングが同じ既存製品の結果だけで性能を決めつけず、使用するCPU、ゲーム、画質設定に近い条件で比較するのが妥当だ。

元記事: G.Skill Flare X5X Launches: 15% Gaming Gains for Non-X3D Ryzen, Almost Nothing for X3D Owners

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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