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【分析】DRAMは2028年まで不足、NANDは来年供給過剰へ:AIが引き起こすメモリ市場の二極化

(Micron.com)[写真拡大]
世界のメモリ市場では、DRAMとNANDフラッシュの需給動向が大きく分かれつつある。AIインフラを支えるDRAMは2028年まで構造的な供給不足が続く見通しだが、NANDフラッシュは2027年後半までに需給が均衡し、その後は供給過剰へ転じる可能性がある。企業の調達担当者は、自社が必要とするメモリの市場環境を見極め、それぞれに適した調達戦略を取る必要がある。
■導入
世界のメモリ市場は、2つの異なる需給問題に分かれている。メモリを大規模に調達する組織は、自社がどちらの市場に属するのかを把握しなければならない。AIインフラの中核を担うDRAMは2028年まで構造的な不足が続くとみられ、需給ギャップは緩和に向かう前の2027年にさらに拡大すると予想されている。対照的に、NANDフラッシュは2027年後半までに、供給制約のある市場から需給が均衡した市場へ移行し、最終的には供給過剰へ転じる見通しだ。これが、TrendForceが7月30日に公表したメモリ市場見通しの中心的な分析であり、DRAMとNANDフラッシュの買い手は、それぞれ全く異なる調達環境に直面することになる。
エンタープライズストレージの計画担当者やクラウドインフラチームにとって、自社がどちらの市場に属しているのかを理解し、適切なタイミングで行動することは、今回の予算策定期間における最も重要な判断の1つとなる可能性がある。
■DRAMの供給不足が2028年まで緩和されない理由
DRAMの不足は循環的なものではなく、構造的なものである。TrendForceが7月30日に公表した見通しでは、新たなファブの生産能力だけでは、2027年の調達計画に影響する時間軸で問題を解決できないことが示されている。同社の推計によると、需要に対する供給の過不足を示すDRAM市場の充足率は、2026年時点で約マイナス1%からマイナス2%だった。需要の伸びが供給能力の拡大を上回り続けるため、この不足幅は2027年にさらに拡大すると予想されている。
需給が一段と悪化する仕組みは明確であり、関連データでも裏付けられている。大規模に導入されるAIアクセラレータを支える広帯域メモリ(HBM)は、DRAMダイを3次元方向に垂直積層するアーキテクチャであり、同じ記憶容量を生産する場合、従来型DRAMよりもはるかに多くのウェーハ面積を必要とする。TrendForceの推計では、1GBのHBMを生産するために、標準DRAMで約4GBを生産できるだけのウェーハ面積が必要になる。Micronが開示したウェーハ生産能力に関する数値では、この比率は約3対1とされている。HBMはすでに、汎用DDR5の3〜5倍のウェーハあたり売上高を生み出している。この経済性が、メーカーにウェーハをHBMへ優先的に割り当てるよう促しており、新しいファブの生産能力が加わっても、その構図は変わらない。新設されたクリーンルームも既存設備と同じ最適化の問題に直面する。HBMの方がウェーハあたりの収益性が高いため、ウェーハはHBMへ優先的に配分されるのである。
大手DRAMメーカー数社が増産計画に着手しているものの、建設期間、製造装置の設置に要するリードタイム、原材料の準備などを考慮すると、2027年に稼働を始める新しいファブが意味のある生産量を生み出すのは早くても同年後半となる。供給量を実質的に押し上げるほどのビット生産への寄与は、2028年まで見込まれていない。韓国・平沢に建設されるSamsungのP5メガファブは2028年後半の量産開始を目標としており、SK HynixのM15X施設は2027年半ばまでに初期稼働を始める予定だ。UBSのアナリストは、世界のDRAM市場では少なくとも2028年第2四半期まで需要が供給を上回ると予測している。
こうした見通しは、メーカーの経営幹部による発言とも一致する。SK HynixのCEOであるKwak Noh-jung氏はReutersに対し、2027年は「供給の観点で業界史上最悪の年」になると述べた。MicronのCEOであるSanjay Mehrotra氏も、供給が逼迫した状態は2027年より後まで続くと予想している。AMDのバイスプレジデントであるDavid McAfee氏はComputex 2026で、DDR5価格が正常化するのは2028年になるとの見方を示した。
■AIが不足を緩和するどころか悪化させている理由
需要の伸びが加速しているため、需要側から需給が緩和する兆しもない。TrendForceは、北米のクラウドプロバイダーによる継続的な設備投資と、IntelおよびAMDの次世代CPUプラットフォームの投入により、2027年の世界のサーバー出荷台数は、2026年に記録した前年比17%増を上回るペースで成長すると予測している。
2つの技術的要因により、メモリ需要はサーバー出荷台数の増加から推測される以上に拡大している。第1に、AIサーバー1台あたりのHBM搭載量が増えている。2027年の市場投入が見込まれるNVIDIAのRubin Ultraプラットフォームは、GPUチップあたり384GBのHBMを搭載する設計となっている。現行のVera Rubin世代における288GBからの増加である。サーバー出荷台数が一定だったとしても、この世代移行だけでDRAMの総ビット需要は大幅に増加する。第2に、AIサーバー向けの新しいメモリインターフェース規格であるSOCAMMによって、従来のDIMMスロットよりも大容量のモジュール構成が可能となり、サーバー1台あたりのメモリ搭載量がさらに増えるとみられている。
Agentic AI(エージェント型AI)の商用化は、従来の供給不足に関する分析では十分に考慮されてこなかった構造的な要因を加える。個別のクエリを処理する従来の大規模言語モデルの推論とは異なり、エージェント型システムは推論と情報検索の反復サイクルを継続的に実行するため、メモリサブシステムに持続的かつ広帯域の負荷をかける。複数の処理段階からなるエージェント型ワークフローでは、各反復処理がDRAMを断続的ではなく継続的に使用する。そのため、推論セッションあたりの実効的なメモリ需要は、単純なクエリ数の指標から把握できる範囲を超えて増加する。
この需要拡大を前提とした企業間の長期的な取り組みも、すでに公表されている。NVIDIAとSK Groupは2026年7月25日、2ギガワット規模のAIデータセンターと、HBM4メモリの長期共同開発契約を含む5,000億ドル(約79兆5,000億円、1ドル=159円換算)超の戦略的パートナーシップを発表した。この契約によって、NVIDIAのVera Rubinおよび将来のプラットフォーム向けに、SK Hynixの先端HBM4生産分が複数年にわたって確保される。こうした調達構造は、同様の長期契約を持たない買い手が利用できる供給量を減少させる。
北米のクラウドプロバイダーは2026年を通じて設備投資を記録的な水準に維持しており、その結果として、一部のハイパースケーラーはフリーキャッシュフローがマイナスになったと報告している。TrendForceは、この動向を注視すべき変数として挙げている。DRAM価格が2027年まで高止まりすれば、クラウドインフラ支出に占めるメモリの割合は拡大する。これが最終的に調達を抑制するかどうかは未確定であり、同社も現時点では設備投資の縮小までは予測していない。
■これらすべてを説明するHBMのアーキテクチャ
HBMが不足を解消するのではなく、なぜDRAM全体の不足を引き起こすのかを理解するには、その製造方法を見る必要がある。標準的なDDR5 DRAMは、シリコンウェーハ上に単一のダイとして製造され、テストを経て平面型のモジュールに実装される。これに対してHBMでは、12〜16個のDRAMダイを垂直に積み重ね、シリコン貫通電極(TSV)と呼ばれる数千本の銅製接続部を通じて各層を接続する。さらに、CoWoS(Chip-on-Wafer-on-Substrate)と呼ばれる高度なパッケージング技術を使い、積層したダイ全体をシリコンインターポーザ上でGPUのすぐ隣に接合する必要がある。
ダイをミクロン単位まで薄くする研削、TSV用の穴あけ、銅の成膜、インターポーザへの接合など、各工程は製造能力を消費する一方、得られるメモリ容量が工程負荷に比例して増えるわけではない。その結果、同じファブをフル稼働させても、HBMを製造する場合の総メモリビット生産量は、従来型DRAMを製造する場合よりも大幅に少なくなる。一方で、HBMはウェーハあたり3〜5倍の売上高を生み出す。HBMを生産する限り、ウェーハ投入量を増やしても、ビット生産量が比例して増加するわけではない。TrendForceは、このウェーハ変換に伴う生産効率上の不利を、稼働率の上昇や新しいファブの追加だけではDRAM不足を短期間に解消できない主な理由として挙げている。
■NANDは転換点を迎えるが、1つの注意点がある
DRAMが一段と不足する方向へ向かう一方、NANDフラッシュは、高積層製品への移行という構造的に異なる理由によって、反対の方向へ進んでいる。
2026年、NANDサプライヤーは新しいファブを建設するのではなく、主に高密度な製造プロセスへ移行することでビット生産量を増やした。半導体業界全体のNAND向け設備投資額は2026年に前年比約5%増加したが、投資の中心は新施設ではなく製造プロセスの更新だった。同時に、SamsungとSK Hynixはウェーハ投入量を削減した。Samsungは約490万枚から468万枚へ、SK Hynixは190万枚から170万枚へ減らし、生産能力を利益率の高いHBMへ振り向けた。その結果、ファブへの投資額が比較的安定していたにもかかわらず、2026年のNAND市場では供給が制約された。
2027年には、特定の技術的要因によってこの需給構造が変化する。321層のSK Hynix V8世代、290層超のSamsung V9、332層のKioxia BiCS10は、いずれも2027年に本格的な量産段階へ移行すると予想されている。積層数が増えると、ファブ自体を拡張しなくても、同じダイ面積の中で垂直方向に積み重ねられるメモリセルが増えるため、従来の低積層製品よりもウェーハあたりのビット生産量が増加する。この高積層化によるビット供給の増加に、新しいファブの段階的な立ち上げが加わることで、2027年のNANDビット供給量は2026年よりも大幅に高いペースで増加すると予想されている。TrendForceは、NANDの充足率が2027年にプラスへ転じ、供給制約のある市場から需給均衡へ、最終的には供給過剰へ移行すると予測している。
エンタープライズストレージは、引き続き需要を支える最大の要因となる。1つのセルに4ビットを記録し、TLCよりもギガバイトあたりのコストを抑えながら高密度化できるQLC SSDは、クラウドプロバイダーがAIの学習および推論インフラを構築し続ける中で、NANDの追加需要のうち最大の割合を占めると予想されている。従来型ハードディスクドライブの構造的な供給不足が続いていることも、ストレージの発注を大容量QLCエンタープライズSSDへ移行させる大きな要因となっている。
ただし、企業の買い手が慎重に考慮すべき点が1つある。NANDの供給過剰は保証されていない。TrendForceは、Agentic AIの導入が飛躍的に進めば、高速SSDの需要が大幅に増加し、増加分の供給を吸収する可能性があると明示している。その場合、予想される供給過剰が生じる前に、NAND市場が需給均衡へ戻るか、再び供給不足に陥る可能性もある。その背景にあるのが、KVキャッシュの保存需要である。大規模言語モデルがより長いコンテキストウィンドウを処理すると、必要な作業用メモリがDRAMに収まりきらなくなり、一部が高速なNVMe SSDへ退避される。Agentic AIの導入が加速すれば、この退避需要が予想を上回って拡大し、企業の買い手が価格低下の恩恵を受ける前に、想定されていた供給余力を吸収してしまう可能性がある。供給過剰となる期間は短い可能性があり、そもそも供給過剰にならない可能性もある。
■各市場のバイヤーが今すべきこと
DRAMとNANDフラッシュの需給動向が分岐しているため、企業が取るべき対応も、主にどちらの部品を調達するかによって異なる。
DRAMの買い手、特にAIサーバーの導入や企業向けコンピューティング基盤の拡張を計画している組織にとって、有利な条件を交渉できる時期はすでに過ぎている。Meritz SecuritiesのシニアアナリストであるKim Sunwoo氏は、2026年後半にDRAMサプライヤーが供給できる量は需要の75〜80%にとどまり、2027年には60%台まで低下する可能性があると推定している。長期供給契約を結んでいない組織は、契約価格の上昇と、限られたスポット市場の在庫に直面する。2024〜2025年に一般的だった四半期ごとのスポット購入は、もはや現在の市場環境に適した調達戦略ではない。SK Hynixの2026年分のHBM、DRAM、NAND生産分は2026年が始まる前に完売しており、Micronも2025年分と2026年分のHBM生産能力を、それぞれの年が始まる前に契約済みとしていた。
エンタープライズSSDを必要とするNANDの買い手にとって、2027年後半までの期間は、複数年契約を有利な条件で交渉できる数年ぶりの機会になる可能性がある。ただし、Agentic AIという不確定要因によって、この機会が早期に失われる可能性もある。現在、エンタープライズSSDのリードタイムは、主要な半導体カテゴリーの中でも特に短い水準にある。TrendForceの予測どおりに供給量が推移すれば、大規模にストレージを導入する組織のサプライヤーに対する交渉力は、2027年後半にかけてさらに高まる可能性が高い。
PC、ノートPC、スマートフォンなどを購入する消費者は、企業の買い手とは異なる立場にある。端末価格の上昇が買い替え需要を引き続き抑制しており、この傾向を短期的に反転させる要因は見当たらない。企業向け市場でNANDの供給制約が緩和しても、メーカーが消費者向け製品への供給よりもエンタープライズSSDの利益率を優先するため、消費者向け流通市場の価格は2027年まで高止まりすると予想されている。
■全体像:AIによって二極化する市場
2026年の世界のDRAM売上高だけでも、予測値は6,187億ドル(約98兆3,700億円、1ドル=159円換算)に達しており、前年比303%増となる。世界のメモリ市場全体は、2027年までに1兆2,800億ドル(約203兆5,200億円、同レート換算)を超えると予測されている。これは従来予測の小幅な修正ではない。世界の半導体生産能力が、AIインフラへ根本的に再配分されていることを示している。この再配分は、DRAMメーカーに記録的な利益をもたらす一方、基本的なコンピューティング部品の価格を、低価格帯の消費者向け端末が市場から姿を消しかねない水準まで押し上げている。
DRAMとNANDフラッシュの乖離は、最終的にはAI需要の偏りを反映したものである。HBMとサーバー向けDRAMは、供給されるすべてのビットが争奪の対象となっており、調達条件は複数年契約、前払いの仕組み、戦略的パートナーシップによって決まる。NVIDIAとSK Groupによる5,000億ドル超の契約は、その構図を最も明確に示す例である。一方、より幅広い用途に使われ、供給元も分散しているNANDフラッシュは、需給曲線の反対側に近づいている。
半導体の需給計画担当者やテクノロジー投資家にとって、DRAMとNANDフラッシュという2つの市場を隔てる境界がどこにあり、それがいつまで続くのかは、2026〜2028年の市場サイクルを特徴づける重要なシグナルの1つとなる。NANDで有利な調達条件を確保できる期間は四半期単位だが、DRAMの供給不足は年単位で続く。
■注目ポイントQ&A
●DRAMの価格はいつ下がりますか?
TrendForceは、DRAMの需給が実質的に緩和するのは2028年以降になると予測しています。需要に対する供給の過不足を示すDRAMの充足率は、不足幅が2027年にさらに拡大した後、改善へ向かうと予想されています。2027年に稼働を始める新しいファブが本格的な生産量を供給できるのは2028年になることに加え、HBMのウェーハあたりの収益性が高いため、メーカーは汎用DRAMよりもAI向けメモリを優先し続けるとみられます。AMDのバイスプレジデントであるDavid McAfee氏とMicronのCEOであるSanjay Mehrotra氏も、正常化は早くても2028年になるとの見方を示しています。
●NANDフラッシュの価格は2027年に確実に下がりますか?
確実ではありません。TrendForceは、NANDの充足率が2027年後半にプラスへ転じ、供給制約のある状態から需給均衡または供給過剰へ移行すると予測しています。一方で、Agentic AIの導入が加速すれば、AI推論システムがコンテキスト情報を高速SSDへ退避させることによるKVキャッシュ関連の需要が増え、追加供給を吸収する可能性があるとも明示しています。その場合、供給過剰への移行が予想どおりに進まない可能性があります。企業の買い手は、2027年後半を有力な交渉時期とみなすことはできますが、確実な機会として扱うべきではありません。
●HBMの生産は、なぜほかの利用者にとってDRAM不足を引き起こすのですか?
HBMは、従来型DRAMと同じ容量のメモリを生産するために、約3〜4倍のウェーハ面積を必要とします。世界のDRAM生産量の90%以上を占めるSamsung、SK Hynix、Micronは、HBMと汎用DRAMの両方を生産しています。このため、HBMにウェーハを割り当てるたびに、そのウェーハで生産できたはずのDDR5またはLPDDR5Xが市場へ供給されなくなります。HBMはウェーハあたり3〜5倍の売上高を生み出すため、メーカーにはHBMへの配分を続ける強い経済的な動機があります。
●エンタープライズストレージのバイヤーは、NANDの供給過剰が到来する前に何をすべきですか?
大規模なエンタープライズSSDの調達を計画している組織は、価格が下がるのを待つのではなく、今からベンダーとの交渉を始めるべきです。NAND市場の需給環境は買い手に有利な方向へ動いており、現在のリードタイムもDRAMと比べて良好です。2027年後半から2028年に納入される製品の条件を早期に固めることで、市場が需給の変化を織り込み、価格交渉の余地が狭まる前に有利な立場を確保できます。特に、TrendForceがNANDの追加需要の最大部分を占めると予測しているQLCエンタープライズSSDが対象となります。ただし、AI推論ワークロードが予測より速く拡大した場合、供給過剰となる期間は想定より短くなる可能性があります。
元記事: DRAM Buyers Face Two More Years of Scarcity as NAND Tilts Toward Surplus
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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