為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、日米金利差拡大の思惑残る

2022年10月29日 15:11

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記事提供元:フィスコ

*15:11JST 為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、日米金利差拡大の思惑残る
【今週の概況】
■米利上げペース減速予想もドルは下げ渋る

今週のドル・円は下げ渋り。週初10月24日のアジア市場で日本政府・日本銀行による円買い介入が実施されたことから149円台後半から145円台半ばまで反落したが、日米金利差拡大の思惑は後退せず、25日に149円台前半まで戻した。米利上げペースは12月より減速するとの観測が広がり、27日の東京市場で145円11銭まで反落したが、27-28日開催の日本銀行金融政策決定会合で現行の金融緩和策を維持することが決まり、2023年以降も利上げが行われる可能性は低いとの見方が浮上したことから、28日の東京市場でドル買い・円売りが再び活発となった。

28日のニューヨーク外為市場でドル・円は、147円15銭から147円86銭まで上昇した。
この日発表された9月コアPCE価格指数は8月実績を上回っており、高インフレは持続していることから長期金利は上昇し、ドル買い・円売りが優勢となった。ドル・円は147円48銭でこの週の取引を終えた。今週のドル・円の取引レンジは、145円11銭から149円71銭となった。ドル・円の取引レンジ:145円11銭−149円71銭。

【来週の見通し】
■ドルは下げ渋りか、日米金利差拡大の思惑残る

来週のドル・円は下げ渋りか。日本政府・日本銀行は状況に応じて円買い介入を行う方針であること、景気に配慮して12月より米利上げ幅の縮小が予想されていることから、ドルの上値はやや重くなりそうだ。しかしながら、米国のインフレが短期間で弱まる可能性は低いこと、英国やユーロ圏の経済見通しは不透明であり、ポンドやユーロが米ドルに対して下落した場合、ドル・円の取引でもドル買いが強まる可能性があることから、リスク回避的なドル売り・円買いがただちに強まる可能性は低いとみられる。

日米金利差の拡大予想もドル・円相場に対する支援材料となる。日本銀行の黒田総裁は10月28日に行われた会見で「円安の進行は先行きの不確実性を高め、企業の事業計画策定を困難にするなど、わが国経済にとってマイナスであり、望ましくないと考えている」と述べているが、物価見通しについて「来年度でも物価上昇率が目標の2%を安定的に達成できるような状況にはならない」と指摘している。日銀は物価安定目標を達成するまで現行の金融緩和策を維持する可能性が高いこと、それによって日米金利差のさらなる拡大が予想されることはドル買い材料になるとみられる。


【米・10月ISM製造業景況指数】(11月1日発表予定)
11月1日発表の米10月ISM製造業景況指数は50.0と、9月実績の50.9を下回る見通し。ただし、製造業の減速は限定的とみられ、早期回復を見込んだ金利高・ドル高につながりやすい。

【米・10月雇用統計】(11月4日発表予定)
11月4日発表の米10月雇用統計では、失業率は3.6%、非農業部門雇用者数は前月比+20万人と予想されており、前回からやや悪化する見通し。ただし、平均時給が市場予想を上回った場合、金利高・ドル高の要因となりそうだ。

予想レンジ:145円50銭−149円50銭《FA》

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