8月の百貨店とSC売上、2カ月ぶりマイナスに 全国的な緊急事態宣言が影響

2021年9月25日 08:17

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 日本百貨店協会と日本ショッピングセンター協会が8月度の売上高を発表し、ともに2カ月ぶりに前年同月比マイナスとなった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う全国的な緊急事態宣言の影響に加えて、オリンピックの無観客開催や天候悪化が要因とみられている。

【前月は】7月の百貨店とSC売上、2カ月ぶりにプラス コロナ前の水準には届かず

■前々年比もマイナス幅が拡大

 24日、日本百貨店協会が8月度の全国百貨店売上高概況を発表した。売上高は前年同月比(店舗数調整後)11.7%減の2,783億3,192万1,000円となり、2カ月ぶりにマイナスとなった。さらに新型コロナウイルスの影響がない前々年比はこれまで縮小傾向にあったものの、8月の前々年比は32.1%減で、7月の17.4%減から14.7ポイント拡大した。

 商品別では引き続き高級時計、宝飾品、ラグジュアリーブランドなど高級品が好調だったほか、巣ごもり需要から和菓子、総菜、ワイン、ウィスキー、ビールなどが健闘した。

■名古屋のみプラス

 都市別では10都市中9都市がマイナス。特に札幌(前年同月比:15.9%減、以下同じ)、仙台(14.1%減)、横浜(14.6%減)、大阪(11.9%減)、広島(17.7%減)が2桁割合のマイナス。唯一、名古屋のみが6.1%増とプラスだった。

 都市以外の地区は全てマイナスだったが、中部のみ前年同月比7.7%減と1桁割合のマイナスに留まった。他は2桁割合のマイナスで、特に東北(19.0%減)、四国(25.0%減)、九州(20.7%減)で大きく落ち込んだ。

 商品別売上高では美術・宝飾・貴金属のみ前年同月比1.5%増とプラス。マイナスだったものの中では子供服・洋品(21.7%減)、その他家庭用品(20.7%減)、食堂・喫茶(25.6%減)などで大きく落ち込んだ。

■ショッピングセンターも2カ月ぶりにマイナス

 同日、日本ショッピングセンター協会が8月度のSC販売統計調査報告を発表した。売上高は前年同月比11.6%減の3,925億8,409万4,000円となり、百貨店同様に2カ月ぶりにマイナスとなった。

 また新型コロナウイルスの影響がない前々年比は28.3%減で、7月の16.3%減から12.0ポイントマイナス幅が拡大した。

 新コロナウイルスの影響が拡大したことに加え、オリンピックの無観客開催、九州北部や中国地方で記録的な大雨により、来館者数の減少につながった。

 業種別では感染防止策が浸透しつつある「シネマ」、巣ごもり需要に応じた「家電」「生鮮食品」「総菜」「テイクアウト食品」が堅調だった一方、時短営業や酒類提供禁止が続く「飲食」、購買意欲が低迷する「ファッション」が不調だった。

■ショッピングセンターも名古屋のみプラス

 売上のうち、テナントが前年同月比12.8%減の3,045億9,389万1,000円。キーテナントが同10.5%減の879億9,020万3,000円となり、どちらも全体同様に2カ月ぶりにマイナス。

 大都市やその他の地域はほとんどがマイナス。唯一名古屋のみが前年同月比2.6%増とプラスだった。また京都(8.3%減)、広島(7.8%)、福岡(2.9%減)、東北(7.9%減)、四国(2.7%減)などでマイナス幅が小さめ。反対に札幌市(22.7%減)、大阪市(17.7%減)、北海道(18.9%減)などでマイナス幅が大きめだった。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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