相場展望5月27日 冴えない相場展開は、テーパリングを予期したか? 米経済指標(5/28個人消費支出、6/4雇用統計)に注目

2021年5月27日 09:24

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)5/24、NYダウ+186ドル高、34,393ドル(日経新聞)
  ・ビットコインの反発を好感し、市場心理が改善し、株式の買いを後押しした。長期金利も1.6%前後で落ち着いていることからハイテク株を中心に買いが先行し、経済活動の正常化期待から景気敏感株も上げた。

【前回は】相場展望5月24日 米国株式は、経済指標好調に比べ、鈍化がみられる 『インフレ懸念』を織り込み始めたか?

 2)5/25、NYダウ▲81ドル安、34,312ドル(日経新聞)
  ・本日発表の経済指標が全般的に予想を下回ったのを受け、米10年国債利回りが1.56%に低下、ドル円も円高・ドル売りとなっている。
  ・前日までの続伸で、このところ値持ちが良かった景気敏感株を中心に短期的な利益確定売りに押された。
  ・金利低下が、銀行株にとって売り材料となったが、ハイテク株の買い支えとなった。
  ・ワクチン普及が追い風となって旅行・レジャー関連株が買われ、相場を支えた。

 3)5/26、NYダウ+10ドル高、34,323ドル(日経新聞)
  ・米国でワクチン接種が進み、経済活動の正常化を後押しするとの見方から、寄付き直後は買いが先行した。ただ、NYダウは過去最高値に近づいており、買い一巡後に短期的な利益確定売りが出て伸び悩んだ。

●2.米国株は、テーパリングを予期し、冴えない相場展開となっている?

 1)ワクチン接種の累計で3億回近くに迫っており、経済正常化に大きく寄与している。レストラン業でも客数が戻ってきて、パンデミック前の水準に戻りつつある。

 2)4月FOMC(連邦公開市場委員会)の議事録要旨が公開され、「幾人かのメンバーが資産購入の段階的縮小の議論をした」との内容に市場はサプライズな反応を示した。パウエルFRB議長の従前からの発言からは予想できないものだった。

 3)住宅価格上昇が急激に進み、家賃上昇がインフレを後押しするとの見方が強まってきた。家賃は政府支援策で、伸びは低く抑えられている。この政府支援策終了する9月以降と、住宅価格上昇による家賃への反映が秋以降と見られる。物価指数(CPI)の約3分の1を占める家賃の上昇が、インフレ上昇圧力につながる恐れがある。

 4)労働市場でも、求職者数が減少し、人手不足が生じ、賃金上昇につながっている。

 5)経済正常化進展と雇用情勢の戻りから、市場はテーパリング(金融緩和の段階的縮小)の実施は2023年から前倒して、2022年初めと織り込み始めたと見られる。テーパリングで、金融市場への資金供給が減少することになる。それが、冴えない株式市場の要因になっていると思われる。

 6)米インフレ懸念を測る意味で重要な経済指標(5/28個人消費支出、6/4雇用統計)の公表が待たれる。

●3.米3月住宅価格指数は前年同月比+13.3%上昇と、2005年以来の大幅伸長(ブルームバーグより抜粋

 1)新型コロナ流行をきっかけに都市部のアパートから郊外の住宅を求める動きが広がる中、低い住宅ローン金利に支えられ、不動産市場は過去1年間活況を呈してきた。

 2)住宅の在庫不足も価格上昇につながった。

 3)建設資材、特に木材が+300%上昇するなど建設コストの上昇も寄与した。

●4.米経済指標(5/25発表)は全般的に予想を下回った(フィスコ)               

 1)4月新築住宅販売件数: 86.3万戸と予想95.0万戸・3月91.7万戸を下回った。

 2)5月消費者信頼感指数: 117.2と予想118.8・4月117.5を下回った。

 3)5月リッチモンド連銀製造業指数: 18と予想19を下回ったが、4月17から上回る。

●5.米・4月シカゴ連銀全米活動指数が0.24と、予想1.20・3月1.71から下振れ(フィスコ)

●6.アマゾン、映画製作のMGMを84.5億ドルで買収(日経新聞)

●7.フォード、電気自動車への投資を2025年までに300億ドル超に拡大(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)5/24、上海総合指数+10高、3,497(亜州リサーチ)
  ・4日ぶりに反発し、金融・不動産株が買われた。反面、資源・素材株は安かった。
  ・中国国家発展改革委員会は5/24、工業用金属など原材料の価格高騰を抑制することを協議し、過度の投機を厳罰に処す方針を示した。非鉄・鉄筋など主要商品の先物価格が安く推移した。      

 2)5/25、上海総合指数+84高、3,581(亜州リサーチ)
  ・中国国内のワクチン接種が5/24時点で累計5億人超に達したと報告。経済活動の早期正常化が期待される流れとなった。
  ・人民元高の進行も追い風となり、金融セクターが相場を牽引した。
  ・2018年6月以来の高値水準で推移した。

 3)5/26、上海総合指数+12高、3,593(亜州リサーチ)
  ・域外マネーの流入を好感し、高値で推移した。
  ・人民元高の進行も追い風となった。
  ・業種別では、不動産の上げが目立ち、消費関連株もしっかり。反面、ハイテク株は冴えない。

■III.日本株式市場

●1.日経平均推移

 1)5/24、日経平均+46円高(日経新聞)
  ・ワクチンの大規模接種が東京・大阪で始まり、経済活動の正常化期待で+300円近く上昇したが、戻り待ちの売りや利益確定売りで上げ幅を縮小した。

 2)5/25、日経平均+189円高、28,553円(日経新聞)
  ・米国株高を受けて、日本株も買いが先行した。
  ・国内のコロナ新規感染者数の増加抑止やワクチン接種の進展が期待され、買いが入った。
  ・もっとも、28,500円台では戻り待ちの売りや、利益確定の売りが出て、上値を追う動きは限られた。

 3)5/26、日経平均+88円高、28,642円(日経新聞)
  ・米国市場下落を受け、日本株も朝方は安く始まったが、売り一巡後は急速に下げ渋り上昇に転じ、5日間の続伸。
  ・空売りの買い戻しと、長期金利上昇で売られたグロース株に買いが入った。高齢者を中心にワクチン接種が進展し、ワクチン相場を期待した買いも入りやすかった。

●2.5月末~6月初旬公表の米重要経済指標に注目

 1)日経平均は上昇ながら、新安値銘柄数が多く、相場内容は強いとは言えない
          5/21   5/24   5/25   5/26  
   日経平均   +219円  +46   +189   +88
   新高値銘柄数  67    94    80    56
   新安値銘柄数  60    73    79   126

 2)信用買残高が5/21時点で3兆2,687億円と高水準であることは、売り圧力が強いことを示している。この売り圧力を吸収できるか、今後の相場展開を決める重要な要素となりそうだ。

 3)日本株最大の買い手である日銀は、相場が急落してもETF買いをしない状況が続いている。最大の買い手・日銀の相場不在が、需給関係に大きな影を及ぼしている。そのため、外人短期筋にとっては安心して「買い仕掛け」が出来ない環境にある。また、決算発表という好材料が出るシーズンも終え、材料難の時期にあるため株式の出来高が1日当たり10億株前後と薄商いになっている。

 4)米経済指標の最近の数値は、高水準ではあるものの予想に対して下振れが見られるようになってきたことに注意したい。

 5)米国インフレ進行を見極めるため、5月末~6月初旬の米経済指標の発表に注意したい。
  ・5/28 米4月個人消費支出
  ・6/04 米5月雇用統計

 6)現時点では、株式市場は勢いが失われつつあり、しかも、方向感を見失っているように見受ける。米経済指標が明らかになって、市場に方向感が出るまで、じっくりと見る方が良さそうだ。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6594 日本電産       電気自動車主要部品メーカー、業績好調。
 ・3776 ブロードバンドタワー データセンター運用、赤字幅縮小。
 ・6035 アイ・アールジャパン 企業IRに特化したコンサル、業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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