コプロHD Research Memo(1):建設技術者派遣事業を展開、プラント業界向けを第2の柱に育成して成長を目指す

2021年5月7日 15:11

印刷

記事提供元:フィスコ


*15:11JST コプロHD Research Memo(1):建設技術者派遣事業を展開、プラント業界向けを第2の柱に育成して成長を目指す
■要約

コプロ・ホールディングス<7059>は建設技術者派遣・紹介事業を展開している。雇用した派遣技術社員(以下、技術社員)を大手ゼネコンを中心とする顧客企業に派遣している。技術社員の主な業務内容は、建設工事の施工管理(建築・土木・設備・プラント工事現場における工程管理、安全管理、品質管理、原価管理)及びCADオペレーター等である。

1. 技術社員の高い定着率などが強み
人財派遣ビジネスの4つの柱「採用・育成・マッチング・定着」を追求し、全国展開の支店ネットワークによる顧客拡大力、積極採用による幅広い人材ニーズに対応した流動性の高い人材基盤、充実した教育・研修やメンタルケア・サポートによる技術社員の高い定着率、質の高い技術社員と顧客企業との信頼関係に基づく高稼働率の維持などを特徴・強みとしている。サポート体制の充実やマッチング率向上によって技術社員の定着率を高め、質の高い技術社員の派遣によって既存顧客との取引拡大や新規顧客の獲得につなげるという好循環を生み出す。

2. 2021年3月期は一時的要因で減益予想
2021年3月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比12.9%増の14,819百万円、営業利益が同14.2%減の1,366百万円、経常利益が同13.7%減の1,368百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.9%減の901百万円としている。「派遣労働者の同一労働・同一賃金」に伴うチャージアップ(技術社員1人当たり契約単価の向上)交渉が想定よりも遅れているため、売上高が従来予想を下回る見込みとなった。さらに、上期に発生した一過性コストや、新型コロナウイルス感染疑いのある技術社員の自宅待機に伴う特別休暇取得に対する給与支払なども影響して、各利益を減益予想とした。

3. 2022年3月期は2ケタ増収増益で成長軌道に回帰する見込み
2021年3月期は一時的要因で減益予想としたが、コロナ禍においても専門性の高い技術社員に対する需要は高いことから、技術社員数は順調に増加しており増収基調に変化はない。また、第4四半期にはチャージアップ交渉に注力して売上原価率が回復傾向となっている。そして2022年3月期は、2021年3月期に発生した一過性コストの一巡や、チャージアップによる売上原価率の改善進展などで、2ケタ増収増益基調と成長軌道に回帰する見込みとしている。

4. 長期目標は2030年3月期売上高1,000億円、営業利益100億円
長期ビジョンには「業界NO.1ブランド」を掲げ、経営目標値を2030年3月期売上高1,000億円、営業利益100億円としている。重点施策としては、既存の建設業界向け技術者派遣の成長をベースとして、受注単価の高いプラント業界向け技術者派遣を第2の収益柱に育成して事業分野を拡大する。さらに海外展開や、M&Aを活用した新分野開拓も視野に入れており、2021年4月には、機械設計エンジニアの派遣事業を手掛ける(株)アトモスの発行済全株式を取得し、子会社化した。エンジニア派遣領域における事業ポートフォリオの拡大を通して、グループ全体の更なる事業成長と収益の安定性向上が期待できる。

国内の建設投資額が2011年の東日本大震災後に回復基調となっているのに対して、建設業界の就業者数は1997年をピークとして減少に転じ、2011年以降も横ばいで推移している。就業者の高齢化進展なども背景として、若年層を中心とする建設技術者派遣への需要は一段と高まっている。事業環境は良好であり、成長シナリオに変化はなく、中期的に収益拡大基調が続くだろう。

■Key Points
・建設技術者派遣事業を展開、プラント業界向けを第2の柱に育成
・2021年3月期は一時的要因で減益予想だが、2022年3月期は2ケタ増収増益で成長軌道に回帰する見込み
・成長シナリオに変化はなく、2030年3月期売上高1,000億円、営業利益100億円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《YM》

関連記事