バイデン大統領がパイプライン認可撤回 長期資産運用はESG投資に注目

2021年2月21日 16:41

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 トランプ前米大統領がパリ協定から離脱して以降、世界的な脱炭素への取り組みがやや鈍化したように感じられたが、バイデン氏の大統領就任を機に、一気に脱炭素・地球温暖化対策が加速していく実感がある。

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 バイデン大統領は就任直後に、カナダから原油を輸入するためのキーストーンXLパイプライン計画の認可を撤回している。地球温暖化対策へ強い意欲を見せており、次いで1月21日にはパリ協定への復帰を果たし、他の先進国と同様に『2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ』にすると力強い発言をしている。

 トランプ前大統領が地球温暖化へ懐疑的な姿勢だったのに対し、バイデン大統領は全面的に温暖化対策へ傾倒している。温暖化の真偽はともかくとして、バイデン大統領の政策によって、今後は脱炭素社会の実現へ向けた動きに拍車がかかることは確かだろう。

 となれば、今後成長が見込める企業は、いわゆるESG投資の対象となる『Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス=企業統治)』において、高い評価を得た企業となる。少なくとも化石燃料に大きく関わった企業が不利になる公算が高いのだ。

 従来の投資スタイルとして、投資先の選定は『企業の業績・財務状況・投資開発の実情』を優先的に判断材料としてきた。しかし全世界が積極的に地球環境へ配慮した活動を進める今、投資判断の優先順位が変更されつつあることを知っておくべきだろう。

 ESG投資はこれまでの財務情報のように明確に数値化できるロジックではないが、けっして将来の社会の希望というあいまいな価値判断というわけでもない。相対的な評価を指数化することは十分に可能で、ロジックとしても重要な投資指標ファクターとなるということだ。

 これまで数十年にわたって黒字が拡大してきた原油・石油関連の企業だが、ガソリン車の新車販売を抑制する国が拡大する見込みの中、それに追随する自動車メーカーを見ても先行き不安であるのは明白だろう。またサービス業が再生可能電力だけを利用するといった動きも進んでいる。脱プラスチックは個人レベルで意識されていることも含め、地球の環境へ配慮した企業は、これまで以上に肯定的に選択されていくだろう。

 そこで長期の資産運用だが、資金を堅実に増やすための投資と、相場の上下動を上手に捉えて利ザヤを稼ぐギャンブル投資とは違う。もっと長期スパンで相場変動を熟慮して、長期ポジションを建てて資産運用することが重要となる。

 つまり、目先は脱炭素と逆行する企業も投資のうま味を発揮するが、そういったところに手を出すのではなく、ESG投資を念頭において20年・30年後の世界経済を推察し、そこに向けて資金投入をすることが望ましいだろう。なお、このESG投資は20代や30代の人にこそ必要なノウハウで、老後資金の確保ための資産運用に是非役立てていただきたい。(記事:TO・記事一覧を見る

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