QEのグリーン化がコロナ後の世界に定着する!?

2020年10月24日 09:08

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●ECB(欧州中央銀行)がグリーン量的緩和(QE)を示唆

 ECBがグリーン量的緩和(QE)に踏み切るのだろうか?ECBのシュナーベル専務理事は9月28日、グリーンQEの可能性を示唆した。

【こちらも】これからも注目されるESG投資とは?

 グリーンQEは、環境に配慮した事業が発行するグリーンボンド(グリーン債)を多く購入するなど、気候変動に焦点をあてたQEである。

 ESG(持続可能な社会の実現)投資とも合わさって、コロナ後の世界に定着するか?

●グリーンボンド(グリーン債)とは?

 グリーンボンドは環境に配慮した事業の資金を調達するための債券であるが、基準や世界共通のルールはない。

 ただし、環境改善効果があるプロジェクトに資金が使われているかや、目標やプロセスの明示、資金調達の管理、レポーティングなどで構成される、グリーンボンド原則はある。

 ESG投資を行う投資家に対してアピールになり、投資家にとってもESGの要件を満たしているので投資先として魅力がある。

 グリーンボンドの発行額は、2014年に約366億ドルだったが、2019年には6倍以上の約2312億ドルまで増加している。

 日本では2019年10月に東京都が発行。2020年1月にはオリックスが100億円のグリーンボンドを発行している。

●QEのグリーン化は定着するのか?

 ECBはコロナ後、7500億ユーロ(約89兆円)の量的緩和(QE)を導入するとしている。毎月数10億ユーロ規模の社債やCPの買い入れをしている。

 EUは2030年に温室効果ガスの55%削減(1990年比)を掲げており、環境に配慮した事業に投資することは取り組みをアピールすることにも、実質削減することにも貢献する。

 しかし、環境に対する取り組みは世界各国足並みがそろわない。トランプ政権が発足してから米国はパリ協定を離脱した。途上国と先進国との間でも利害関係が複雑に絡み合う。

 QEのグリーン化によって、既に発行されている、使途を環境・社会の持続可能性に貢献する事業とするサステナビリティ債の債券価格・利回りに、影響を与える可能性もある。

 QEのグリーン化とは聞こえはいいが、環境問題と同様に綺麗ごとだけでは前に進まない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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