はてな Research Memo(1):法人向けサービスの強化により2022年7月期以降は高成長路線への復帰を目指す

2020年10月13日 15:01

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記事提供元:フィスコ


*15:01JST はてな Research Memo(1):法人向けサービスの強化により2022年7月期以降は高成長路線への復帰を目指す
■要約

はてな<3930>は、2001年設立のインターネットサービス企業。Webサイト上にユーザーがコンテンツを作成・投稿し、他のユーザーが閲覧するUGC(User Generated Content)サービスで市場をリードしてきた。国内最大級のソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」やブログサービス「はてなブログ」などのコンテンツプラットフォームサービスをベースに、その技術・ノウハウを生かして、コンテンツマーケティングサービスやテクノロジーソリューションサービス等の法人向けサービスへと展開している。

1. 2020年7月期業績概要
2020年7月期の売上高は前期比0.9%増の2,542百万円、営業利益は同38.8%減の276百万円と会社計画(売上高2,781百万円、営業利益287百万円)を若干下回って着地した。第3四半期に入って新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、コンテンツプラットフォームサービスにおける広告収入が落ち込んだこと、コンテンツマーケティングサービスも「はてなブログMedia」(オウンドメディアの構築・運用に特化したSaaS型CMS)の運用件数は前期末比29件増の104件と順調に増加したものの、運用メディア当たりの売上単価(CMSの利用料の他、コンテンツ制作料やコンテンツの拡散を図った広告料等)が減少したこと等が収益の下振れ要因となった。前期比の減益要因は、人件費とデータセンター(以下、DC)利用料の増加によるもので、それぞれ前期比で11.8%増、11.5%増となった。DC利用料についてはパフォーマンス向上だけでなく、安全性向上を図るための機能を拡充したことも増加要因となっている。

2. 2021年7月期業績見通し
2021年7月期の売上高は前期比4.5%増の2,657百万円、営業利益は同93.6%減の17百万円と増収減益を見込む。売上高については新型コロナウイルス感染症の影響が一定程度続く前提としており、コンテンツプラットフォームサービス、コンテンツマーケティングサービスともに2期連続減収を見込んでいるものの、テクノロジーソリューションサービスが前期比16.0%増と好調に推移し、両部門の低調をカバーする。マンガビューワ「GigaViewer(ギガビューワ)」※の採用が順調に拡大し、開発・運用料や広告・課金収入等のレベニューシェアが拡大するほか、SaaS型サーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」の導入顧客数も前期末比18.5%増と順調に拡大すること等が増収要因となる。一方、利益面では今後の成長に向けた人材投資を継続していく方針で、人件費が前期比14.6%増(従業員数は前期末比20名増の180名を目標)となるほか、DC利用料も同16.8%増とそれぞれ売上成長以上の増加を見込んでいることが減益要因となる。ただ、事業費用については毎年保守的に見積もる傾向にあるため、売上高が若干未達になった場合でも、利益計画は達成可能と弊社では見ている。

※GigaViewer:Webサイトでマンガを閲覧するためのソフトウェアで、ユーザーが快適に作品を楽しめるための各種機能を備え、また広告を掲載することでサービス提供者の運用コストを削減できるようになっている。


3. 中期成長見通し
同社は2022年7月期以降の中期目標として、売上高で年率15%程度の成長を目指している。「はてなブログ」については法人向けにも有料課金サービスを開始し、広告収入以外の収益基盤を育成していくほか、「はてなブログMedia」については運用メディア数の拡大とメディア当たり売上高の向上に取り組んでいく。また、「Mackerel」「GigaViewer」なども拡販を図り、3つのサービスをそれぞれ拡大していくことで成長を目指していく。2022年7月期以降も人件費やDC利用料は増加するものの、15%程度の増収率を実現できれば利益率も上昇に転じるものと予想される。

■Key Points
・2020年7月期業績は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、会社計画を若干下回って着地
・新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、2021年7月期の業績計画は保守的に策定
・BtoBビジネスの強化により2022年7月期以降は年率15%程度の売上成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《YM》

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