JSPは戻り歩調、21年3月期営業利益に再上振れ余地

2020年10月13日 08:26

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 JSP<7942>(東1)は発泡プラスチック製品大手である。中期成長ドライバーとして、自動車部品用ピーブロックなど高機能・高付加価値製品の拡販を推進している。21年3月期は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響で減収減益予想だが、営業利益に再上振れ余地がありそうだ。株価はやや小動きだが、3月の安値をボトムとして戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。

■発泡プラスチック製品大手

 発泡プラスチック製品の大手である。押出発泡技術をベースとするポリスチレン・ポリエチレン・ポリプロピレンシートなどの押出事業(産業用包装材、食品用包装材、広告用ディスプレー材、住宅用断熱材など)、ビーズ発泡技術をベースとする発泡ポリプロピレン・発泡ポリエチレン・発泡性ポリスチレン製品などのビーズ事業(自動車衝撃緩衝材、家電製品緩衝材、IT製品輸送用通い函など)、その他事業(一般包材など)を展開している。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は押出事業35%、ビーズ事業60%、その他5%、営業利益構成比(連結調整前)は押出事業37%、ビーズ事業61%、その他2%だった。収益は販売数量、為替、原油価格、原料価格と販売価格の差であるスプレッド、プロダクトミックスなどが影響する。

■自動車部品用ピーブロック拡販など成長戦略推進

 長期ビジョン「VISION2027」で、目標値に28年3月期売上高1800億円、営業利益180億円、営業利益率10%を掲げ、成長戦略を推進している。

 基本方針は、差異化戦略(押出事業のスチレンペーパー、ミラボード、FPD関連保護材ミラマットエース、高断熱材ミラフォーム、ビーズ事業のピーブロック、エレンボールNEOなど)の推進、成長戦略(4つの成長エンジン=自動車部品、建築住宅断熱材、FPD関連保護材、新たな事業領域)の推進、人材育成やコーポレートガバナンス強化など経営基盤の強化としている。

 自動車部品用発泡ポリプロピレンのピーブロックは、自動車軽量化要求に対応する製品として需要が急速に拡大し、日系自動車メーカーのシートコア材などへの採用が広がっている。中期成長ドライバーとして期待される。

 省エネ基準適合義務化対象拡大で需要拡大している「ミラフォーム」については、関西工場(兵庫県たつの市)の隣接地に新工場が完成(19年1月)して東西2大生産拠点体制を構築している。

 新製品ではミラフォーム畳(衝撃緩和型畳床)「ふわり」を発売し、デンカ<4061>と共同開発した建築構造物向け軽量・不燃ボード「スチロセメン」の早期製品化を目指している。さらに新型コロナウイルス感染対策商品として、飛沫防止パーティション「JSPデスクウォール」や、飲食店用に特化したパーティション「ミラボードSP」を販売開始している。

■21年3月期減収減益予想だが営業利益に再上振れ余地

 21年3月期の連結業績予想(7月31日に売上高を50億円下方修正、営業利益を2億円上方修正)は、売上高が20年3月期比11.8%減の1000億円、営業利益が37.1%減の32億円、経常利益が38.6%減の32億円、そして純利益が39.5%減の22億円としている。配当予想は20年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比10.5%減の248億15百万円、営業利益が7.0%減の9億16百万円、経常利益が17.8%減の8億32百万円、純利益が33.4%減の5億42百万円だった。

 新型コロナウイルスに伴う巣ごもり需要で食品分野の一部製品が増加したが、全体としては自動車分野を中心に世界的な経済収縮の影響を受けて減収減益だった。押出事業は5.3%減収で2.7%減益、ビーズ事業は12.5%減収で5.1%減益だった。

 ただし経済活動の再開で、国内では食品容器用などが好調に推移し、海外では自動車用発泡ポリプロピレン「ピーブロック」の需要が想定より早期に回復軌道に乗り始めているため、第2四半期累計予想を上方修正(売上高を15億円、営業利益を13億円、経常利益を12億円、純利益を8億円、それぞれ上方修正)した。

 下期については新型コロナウイルスの影響が従来の想定よりも長期化して緩やかな回復にとどまることを想定した。北米および中国は前年を上回る見込みだが、国内、南米、欧州、東南アジアが前年を下回る見込みで通期売上高を下方修正した。ただし固定費削減効果などで営業利益を上方修正した。当面は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響が意識されるが、期後半の緩やかな需要回復を勘案すれば、通期営業利益に再上振れ余地がありそうだ。

■株価は戻り歩調

 株価はやや小動きだが、3月の安値をボトムとして戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。低PBRも評価材料だろう。10月12日の終値は1669円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS73円80銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2729円87銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約524億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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